第46話 待ち伏せ
月曜日。
学生から社会人まで殆どの人類はこの日が嫌いだろう。
かく言う僕も月曜日がきらいだ。
自由を謳歌できる国民のための休日。
日曜日。
その次の日ともなれば憂鬱だったり気怠く感じるのもまた致し方ない。
そんな月曜日の昨日となる日曜日。
その日はどうも冬柳さんの家と久豆流の家のお食事会が開かれたらしい。
お食事会とは名ばかりで実際はお見合いの延長戦みたいなモノだったらしい。
つまる所以前冬柳さんが僕に対して行った公開告白に物申したい久豆流が親の権力を全力で行使してあの公開告白を潰して冬柳さんを確実に手に入れる為の行動に出た訳だ。
高級レストランで親を交えた婚約話の強行。
はっきりいってもうどうしょうもない。
万事休す。
冬柳さんは久豆流の婚約者になり僕は冬柳さんから振られる。
そんな未来が確定したかと身構えた。
いや、正直もうどうしょうもないと覚悟していた…。
相手は超大手企業の御曹司だ。
金に物を言わせどんな滅茶苦茶な事だってやってのけてしまえる実行力を持っている。
その上冬柳さんのお母さんがあんな感じの人だし…結果は最悪といえた。
しかし結果だけを見ればそんな事にはならなかった。
食事会に行く前、冬柳さんは言っていた。
「任せて!これで終わらせるから!」
と…。
そして彼女は本当に終わらせて来た……らしい。
お食事会が終わった次の日の月曜日。
学校で彼女は言った。
「要は連中に私が息子には相応しくないと理解させれば良いのよ!それを晴れの舞台でハッキリさせれば何も問題はないわ!我ながら完璧な作戦だわ!!」
「え…と、つまりその為に高級レストランに行ってきたの?」
「ええ!そうよ!」
「お母さんとか大丈夫?」
「多分滅茶苦茶キレてるわ!勘当されるのも覚悟の上よ!」
「ええっ!?それは不味くない?」
「大丈夫よ!お父さんが家賃払ってくれてるし今まで通り一人暮らししてれば大丈夫!!」
と、彼女は言った。
嫌な事から解放されたのか冬柳さんはとても晴れやかな顔をしている。
付き物が取れたとは正にこんな感じの顔を言うのだろう…。
一方で彼女の婚約相手の久豆流はまだ登校していない。
予鈴がまだなっていないから遅刻ではないが後数分しか猶予は残されていない。
もしかしたらショックの余りに学校を休むんでは無いかと懸念していたら…
彼は遅刻ギリギリでやって来た。
普段は余裕を持って優等生らしい態度を取っていたが今は全身から負のオーラをまき散らしている。
「おはよー!久豆流君!」
「久豆流君おはよう!どうしたのギリギリじゃ~ん」
クラスのそこそこ可愛い系のギャル達が話しかけるが彼は無視して取り合わない。
それでもギャル達は懲りずに話し掛けるがとうとう彼はそのギャル達を煩わしく思ったのか…
「うるさいよ…少し静かしていてくれないか?」
とギャル達を遠ざけた。
ギャル達はバツが悪そうに久豆流から距離をとる。
久豆流は尚も不機嫌そうにブツブツとなにやら独り言を呟いていた。
それから時間は進み、昼休憩前の小休み時間の事だ。
三時間目の5分休み、僕は授業中からずっと我慢していた"小"を致すためにトイレへと向かった。
その途中で久豆流に捕まってしまった。
「やぁ、真島」
「……何?」
「何じゃないだろ?全く察して欲しいもんだよなぁ?」
所謂待ち伏せってヤツだろうか…?
面倒な奴に絡まれた。
察して欲しいなぁなんて言われてしまったら意地でも察っしたく無いのが正直な所だが残念な事におおよその所は察せてしまう。
「言わなくてもわかるだろう?はぁ…仕方ない…君みたいな庶民にも分かる様に言ってあげるよ?感謝してよね?」
「……何?」
「お前、雫と別れろよ!」
「……。」
まぁ…そんな事だろうとは思ったよ。
彼が僕なんかにわざわざ声をかける理由なんてそれしか無いもんな。
はあ…。
面倒くさ。




