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清楚の皮を被った自己中メンヘラ美少女JKの冬柳さんと僕は上手く付き合って行けるのだろうか?  作者: ムラタカ


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第38話  お父さん登場

車からおりてきたのは30後半から40代前半くらいにみえる紳士的な雰囲気を持つイケメン男性だった。


彼は緩やかに車から下車し、僕のところまで歩いて来て…


「やぁ、そんなに警戒しないでほしいな」


等と言い放った。



普通、身元不明の他人にいきなり話し掛けられたら警戒するのが普通だし、逆にしないのは人としてどうかとも思う。

故にこの正体不明の男性からの要望を聞くのは僕的にはかなり難しい。


「まぁ君の態度も仕方ないとは思うよ、名乗りもしない男にいきなり警戒するなと言われてもそうなるよね?」


「え……まぁ…」


「僕の名前は冬柳兼政、君の恋人、冬柳雫の父親だよ。」


「はい?」


「うん?」


「……………」


「…………」


「はい?」


「いやいや君ねぇ?長い長考を挟んで絞り出した答えが2度目のはい?かい?いくらなんでもそれはボキャブラリーが乏しいと僕は思うよ?」


「いやだっていきなり彼女のお父さんが不審者ムーブかましてくるなんて普通思わないですから…」


「初対面の彼女のお父さんを不審者扱いとはボキャブラリーに欠けるが度胸はあるみたいだね…」


「………。」


何だこの人…

色々とぶっ飛び過ぎだろ?

なんなんだ…いったい何の用で僕の前に来たんだ…?

普通に怖いんだけど?


「え……と…お前に俺の娘はやら~んとかのあれですか?」


「あはは!僕はそんな古風な事を言うタイプのお父さんじゃないから安心してくれよ!」


「え…と…じゃあ娘さんを僕にくれる気ありありと?」


「君がそれを望むならね」



なんなんだ…本当に…

本当に考えが読めない…。

何も思っているのか…

何を考えているのか…

それが全くわからない。



「まぁ君にあの子を抑え込めるだけの甲斐性があればの話だけどね…嫌になったらいつでも手を引いてくれて構わないよ?僕は君を責めたりはしないから安心するといい。」


「…単刀直入にお伺いしますけど…僕に何の用でしょうか?」


「そうだね…君と今後の話をしたいと思ってね。」


「今後…ですか…?」


「あぁ、君は雫の事を愛しているかい?」


「え……、何故そんな事を…」


「僕もコレで一応は人の親でね、娘の恋の行方が気になるのさ、雫は君にご執心でね、だが僕からすれば君にそこまでの魅力があるのかは甚だ疑問だ、1人の親としては気にはなるだろ?」


「っ………」


「愛している!…そう君は断言出来ないでいる…そんな男に娘を任せるのはいささか不安だよ、親としてはね」


「………。」


「しかしこのままいけば雫は久豆流家のご子息の元に嫁がされるだろう、ほぼ間違い無くね」


「貴方はそれが不満なんですか?」


「そうだね〜…、一般的な視点で見ればこれ以上無い程幸せな事だろうね、何せ久豆流家は世界的大企業だ、そこの傘下に入れるなぞ願っても敵わない奇跡だろう…しかしこの奇跡も雫の美貌あったればこその必然だね…しかし雫本人はとても強い感情を持ってこれを拒絶している。君と結ばれる為にこの理想的な縁談をあの子は拒絶している」


「……」


「そして僕もあの子の意思を尊重したい。

娘の嫌がる事を押し付ける大人にはなりたくないんだよ」


「貴方は…反対なんですか?」


「娘の嫌がる事を強制して喜ぶ親が何処にいる?」


「冬柳さんの母親…お母さんは強制してるじゃないですか…」


「………はぁ…そうだね…確かに…はは…痛い所をつくね」



今までの何処かつかめない不思議な雰囲気が四散し、くたびれた大人の男性らしいどんよりとした空気が冬柳父にまとわりつく。



「……」


「雫の母親…僕の妻はね…実家の古い因習に囚われたままの哀れな女だよ…。

若かりし頃の僕はそんな所から彼女を連れ出して救い出したいと必死だった。しかし…僕は彼女の事を何も理解していなかったよ…彼女の心は昔も今も変わらず因習に囚われ羽交い締めにされている……いや、彼女自身が因習そのモノとなっているんだ。」


「そのモノ…?」


「彼女の両親…雫にとっての祖父母は自身の子供に洗脳教育を施していた…衰退し退廃した冬柳家を元の大企業に押し戻す為の駒として…彼女が僕と結婚したのも雫と言う子供を産んだのも全ては冬柳家再建のため。」


「……じゃ…」


「久豆流家程じゃ無いが僕の実家も中々裕福でね…妻とは高校生の頃に知り合い、その頃から付き合っていた。

互いに好き合っていたと思っていたんだよ…理想の恋人同士とね…まさか実家との太いパイプを繋ぐための交際だとは思ってなかった…あの頃の僕は若かった…そんな事にも気づけずにいた…。」


「愛しているから結婚したんじゃないんですか…?」


「無論愛している。今もね…初恋なんだよ。」


「まっ…まじっすか…」


「惚れた弱味だね…正直1人の女にここまで入れ込んだ事はあの頃から今に至るまで無かったんだよ…」



……。

この人は多分佐渡タイプの人間なんだろう…。

圧倒的なカリスマ…魅力を持つ冬柳母に魅了され彼女から言われるままに付き合って結婚した…。

確かに冬柳さんの美貌もあの人の遺伝だとするなら納得の綺麗さだった。

とても40近い年齢の人には見えなかった…精々20代くらいにしか見えなかった程だ。

男一人を魅了するくらいわけ無いんだろう。


「僕は彼女を愛している…だから彼女の言うことは叶えてやりたい…でも道具に徹するつもりは無い…娘の自由まで明け渡すつもりは無いんだよ」


「………」


この人は冬柳直系の人達みたいに変な視点で物を見ない。

変なフィルターがかからない極々有り触れた視点で物を見てるんだ…。

親の為に犠牲になる子供がいるなんておかしい。

そんな普通の価値観を持っているんだ…。



「ぼ……僕は…不安なんですよ…」


「不安…?」


「冬柳さんは……彼女は本当に僕の事が好きなのかなって?」


「……。」


「僕はいまだに彼女から向けられてる好意が本物なのか確証が持てない…いつか…何でもない理由で振られる…そんな日が来るんじゃないかって気が気じゃないんですよ…」


「…君自身はちゃんと雫の事を思ってくれてるんだね」


「好きですよ…始めて出来た彼女で…あれ程強い感情を向けられて…ちょっとウゲッてなる事もあるけど……僕は…チョロいんで…絆されますよ…でも彼女のまえで好きなんて言えない…そう正直に感情を吐露したら…彼女は僕を飽きる…そんな気がするから…」


「はあ…お互い…難儀な女を好きになってしまったね」


「ですね…でも」


「でも?」


「おじさんはモテそうっすよね、僕みたいに冬柳さん以外からは全く見向きもされないってことは無さそう」


「あはは!まぁ僕もこれでイケメンだからね!」


「うわ~自分で言っちゃったよこの人!」


「あはは!」


「くく……ふふ。」


高校生と30半ばのおっさん。

歳は離れてるけどやはりそこは男同士…。

通じるところはやはりある。


「君と娘の恋がどう転ぶかは君達次第だ…他人が…まして親が口出しする様な物じゃない…だから後悔や悔いが残らない選択をしな、それが僕から言える最低限の忠告だ」


「……」


「ただ君と娘の選んだ道がどんな物でも僕はそれを全力で応援する、それは誓おう。それが親としての責務だ。」


「……はい。」


「今日君に話したかったのはまぁそんな所だ…悪かったね突然」


「あはは…」


そうして突然の彼女の父親との談義は終わった。

本当に突然でろくに話す事も出来ないまま終わった…。

なんか言わないでもいい事まで口走ってしまったのは…すこし後悔だ…。







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