第21話 正義感
それから数日が経過しての事だ。
桜田さんの周りに…と言うか桜田さんに集中的に被害が出ていた。
「はぁ…」
「その…大丈夫…?」
「あはは…大丈夫……多分」
桜田の露骨に気落ちした姿に佐渡は心配そうに声をかける。
無理もない。
ここ連日して桜田の周りに奇妙な事…と言うよりおかしな事が頻発する様になった。
桜田さんの筆記用具や体操着に水着、上履きやお弁当箱等が頻繁に消えて無くなる。
と、思えば数日後に掃除用ロッカーの上やゴミ箱、他クラスの教卓の上等から見つかったりするらしい。
誰かの仕業なのは明らかだが誰がなんの為にしているのか、目的も動機も何一つ解らない。
そんな状況が続いていた。
その現状に桜田さんは心身共に疲れ切っていて見ていられないレベルで焦燥していた。
彼氏である佐渡からすれば彼女のそんな姿を毎日見てるのに助ける事も出来ない現状はもどかしくて堪らないだろう。
その事について僕はおもむろに彼女、冬柳さんに問いかけてみる事にした。
すると彼女は思っていた通りの言葉を返してきた。
「知らないわよ…興味も無い」
「いやいや、そんな薄情な…」
「当人達に解らない事が私達に解る訳ないじゃない…そもそも私達には1ミリも関係ないのだからほっとけば良いでしょ?」
「………」
僕は冬柳さんをじーと見つめる。
すると彼女ははぁ…と溜息を吐いて答えた。
「今の私達ってとても危うい立場にいるのよ?これ以上恨みをかって反感を買いたくはないわ」
「元はと言えば冬柳さんの自業自得でしょ?それに僕達は佐渡や桜田さんに借りがある、借りをこのままにしとくのはどうかと思うけど?」
「はぁ…貴方って変な所で真面目よね…まぁいいわ、やれるだけやってみましょう。」
そう彼女は言った。
「今回の事件、下手すれば私達の仕業にでっち上げられかねないのよね」
「佐渡も桜田さんもそんな事しないだろ?」
「……はぁ…あの2人がじゃないわよ、私だってあの2人がそんな事をするとは思ってないわ…真犯人……それか他のクラスメイトの連中よ」
「他のクラスメイト…」
「今や私と貴方はあのクラスで爪弾き者よ…ヘイトや恨みをかってたとしても不思議じゃないわ…」
「……」
「だから犯人探しをするにしても私は表立って動かないつもりだから、そのつもりでいてね」
いつになく消極的だ。
まぁ自分の事に直接関わる事でも無いのならこんなモノなのかも知れない。
あの2人には恩がある。
僕なりに今回の騒動をなんとかして…その恩に報いたい。
分不相応にも僕はそんな事を思っていた。




