第20話 予兆
何のかんのあって冬柳さんと桜田さん、佐渡の陽3人組は一応の仲直りをした。
また、冬柳さんは猫を被らなくなり、基本的に素の状態でいることが多くなった。
まぁそれでも大多数の相手に対して基本ベースは清楚で大人しい美少女を演じてはいるみたいだが。
クラスカーストトップのカップルである佐渡桜田コンビが過去に冬柳さんにされた事を水に流し交友関係を再構築した事は他の生徒達にとってまさに予想外の出来事だった。
男子の中では未だ冬柳に対する人気は色褪せてはおらず今尚その人気は健在…それどころか彼女の本来の性格…やや毒舌できつい印象はこれまでの清楚で優しいママ味のある頃の彼女とのギャップと真島が彼氏なら俺らもワンチャンあるんじゃね?
的な浅はかな考えが以前よりもより冬柳への人気を強く過熱させていた。
今日も冬柳へと軽はずみに軽率に告白するチャラい男子がいた。
「冬柳さん、俺と付き合おうよ!ね?俺の方が真島なんかより君を夢中にさせてあげられるぜ?」
「うふふ、ご遠慮させてもらいますね?私はその真島君なんかが良いんですよ、真島君如きに好意を寄せている私如きではきっと貴方とはきっとつり合いが取れません」
「いやいやそんな事無いって!ね?」
「そうなんですか?でも貴方と付き合って、もしつまらなかったら貴方はどんな責任の取り方をしてくれるんですか?」
「え?責任?」
「当たり前ですよね?だって貴方は私が愛している真島君と別れて自分と付き合えとそうおっしゃっているのですよ?それで私が大切な真島君と断腸の思いで別れて貴方と付き合ってそれで後悔する様な結果に終わった時貴方はどんな責任の取り方をしてくれるんですか?」
「は…?いやいや…大袈裟過ぎない…?たかだか付き合うくらいで…」
「うふふ、貴方にとってはたかがと思う事柄でも私にとっては大事な事なんですよ?付き合う事で私は貴方と言う人間に時間を割かなければいけません、知っていますか?時間は有限なんです、過ぎ去った時間は帰って来ないんですよ?貴方と言う人間に時間を浪費してそれで結果が伴わければ何もかも無駄になるんですよ?貴方はその」
「あぁ~もう良いよ!!なし無し!告白なしで!!」
こんな感じで、下らない一時の下心で告白に踏み切った愚か者達は開き直った冬柳雫の本性の前に力尽きる事になるのだが…。
それとは別に小さな事件がまた起ころうとしていた。
「ちょっと……私の教科書どっかいったんだけど」
「え?ちゃんと探したの?」
「机の中もカバンにも入ってないし…」
「忘れてきたとか?」
「えー?今日ちゃんとカバンの中入れてきたし!!モー何で無いのよ〜!」
桜田さんと佐渡が何やら騒いでいた。
どうやら教科書が見つからないらしい。
桜田さんはあれで毎日まじめに教科書は家に持ち帰り教科書とかは机の中に入れっぱなしにはして無いらしい。
ギャルのクセに無駄に真面目である。
この時点ではただ教科書を忘れた、なくした程度の話に終始していた。
だから後にこれが大きな問題に発展していく最初の出来事になるだなんて誰も予測していなかった。




