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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第四章 『RAID5』から

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49 成長期な少女

「ぶ、武器はこれだよ。剣で・・・・あっ・・・」

「コレか? 聖剣、魔力は安定してるが・・・剣だとどうしても接近戦になることが多い。まだ、危険だ。遠距離で擁護するほうがいいんだけどな。戦闘慣れしれないし」

 ルピスの言う通り、美憂は2人の魔法少女を瞬時に片付けたらしい。

 ファナが着いたときには、魔法少女は消えていたという。


「おにい! もう、返して!」

 美憂が強引に剣を取った。


「私が勝ったんだよ! 一人でできたもん!」

「運が良かっただけだ。銀の『魔女』とか得体のしれないものになる可能性だってあるんだ。今の美憂が遭遇すれば、即死だ」

「でも・・・・」


「接近戦は駄目だ。後方に回って、戦闘の様子をしばらく見ていろ」

「っ・・・・・」

 剣を両手で持って、口をわなわなさせる。


「まぁまぁ」

 カマエルが間に入った。


「カイト、過保護過ぎだって。美憂だって契約した魔法少女だ。魔法は一通り使えるし、戦闘能力だって、問題ない」

「今回はたまたま勝てたんだろ。美憂、勝手に出るなよ」

 きつく叱った。


「おにいなんか・・・おにいなんかもう知らない!!」

「美憂・・・」


 バタンッ



「あ、美憂!」

 アクアが立ち上がる。

 美憂が勢いよく部屋から出ていった。


「あーあ、カイト、美憂から嫌われちゃったよ」

 アクアがため息をついていて、ソファーに座る。


「美憂ちゃん今回頑張ったんだから、褒めてあげてもいいじゃない?」

「いきなり魔法少女2人撃破はすごいよ」

 ノアがお菓子をつまみながら言う。


「美憂が考えが甘いところがあるんだよ。潜在能力があっても、力は使いこなせなきゃ意味がない。少しでも気を抜けば死ぬ場所にいるって理解してないんだ」


「わかってないなぁ・・・・・」

 アクアとフィオーレが顔を見合わせて息をつく。


「私、追いかける?」

「・・・まぁ、美憂のことは後でなんとかするよ」

「そ」

 ファナがドアから離れた。


 モニターに映る地図を見ながら、ハーブティーに口をつける。

 空軍第2部隊から第4部隊は、全員セレーヌ城に戻るように指示していた。

 エリアマップはほぼ完成されている。


 空軍第一部隊を犠牲にして、な。


 シロナに魔法少女の多く感じられる場所をピックアップしてもらっていた。

 どうせ戦闘になるなら、こちらから潰していったほうがいい。


 どこかで『黄金の薔薇団』とも戦闘になるだろうな・・・。

 


「カイト様、そこで横になっている魔法少女は・・・・?」


「ん・・・呼んだ?」

 ベッドで寝ていたルピスが急にむくっと起き上がる。


「夢見の魔法少女、ルピスだ」

「おはよう。カイトも寝る? 一緒に寝ようか?」


「えぇっ!?」

 ルナリアーナとティナが同時に声を上げた。


「一緒に? 一緒に? って?」

「誤解を生むような言い方をするな。彼女は魔法少女の中でも特殊な力を持っている。予知夢を見ることができるらしい」


「予知夢・・・」


「そう。だから、私、一日の大半は寝てるんだぁ」

 ルピスが目をとろんとさせながら言う。


『彼女は、空軍第一部隊の機体にいました』

「それって、大丈夫なの? 予知夢って本当?」

 シロナの言葉に、ティナが眉を吊り上げる。


「はっ・・・敵魔法少女のスパイって可能性もあるよね!」

 ノアが鍵を握り締めていた。


「あの子敵意は無いよ。全く闘気を感じない。敵意があったらすぐ殺そうと思ってたけどね」

 リルムがルピスを睨みつける。


「魔法少女に、確かに夢見の魔法少女はいるの。予知能力に特化した子。私も昔、見たことがある。今回も参加するとは・・・」

「今のところ、ルピスの言ってることは全て当たっている。しばらく七陣魔導団ゲヘナに入れるつもりだ。よろしくな」


「よろしくー」

 ひらひらと手を振る。



 カタン


「アクア、お菓子美味しかったよ」

 食器を揃えて立ち上がった。


「あれ? カイト、どこ行くの?」

「研究室だよ」

「ふうん、熱心ね」

 ファナがソファーに座り直す。

 アクアの作ったお菓子を食べながら、ハーブティーを飲んでいた。

 

「私、カイト様とお風呂に入りたいのに・・・」

「どうして、ルナリアーナはそんなにお風呂にこだわるの?」


「え? え・・・えっと・・・」

『言われてみれば、ルナリアーナのおっぱいは大きくなった気がします』


「きゃっ!! あっ・・・止めて!」

『もみもみ、もみもみ。うん、確かです』

 シロナの声が背中越しに聞こえた。


「ルナリアーナ、エロ過ぎる・・・そ、それはエロいって」

「リルムにはまだ早い! 見ちゃ駄目」

「え? あたし、別にいいのに」

 フィオーレが必死に話していた。


『もみもみ。柔らかい、大きい。おそらくFカップはある。最近Gになった?』

「えー!? 大きすぎる」

 全員の声が重なった。


「なんか、大きくなっちゃって。成長期かな? きゃっ、そこは・・・」

「カイトの前でやっちゃ駄目だからね!」

「私は触られてる側だって、別に触ってほしくなくて・・・。きゃっ・・・・あっ・・・いや、あ、そこも駄目・・・・」

『ここが感じやすい。なるほど』

「もう! えちえちな声がカイトに聞こえちゃうってば!」


「ドア閉めちゃうね!」

 

 バタンッ


 ノアの声で、勢いよくドアが閉まる音がした。




「はぁ・・・疲れるな、魔法少女って」

 頭を搔く。


「カイトは人気者でいいねぇ。どこにいてもハーレム築いてる」

「にやにやしながらついてくるなよ」

「あいにく、俺は一途なんでね。魔法少女にエロさは感じないかなー」

 カマエルがふわふわ浮きながらついてきた。


「まだ、エリンのことが好きだったのかよ。ストーカーの域だな」

「ぶっちゃけ、カイトには言われたくない」


「泉の女神エリンのこと?」

「・・・?」

 ルピスが枕を抱えたままついてきていた。

 目を擦って、眠そうにしている。


「ねぇ、君、夢見の魔法少女なんだよね? 魔神と契約してるの? あと、なんでエリンちゃんのこと知ってるの?」

 カマエルがルピスに近づく。


「エリンちゃんは今世に名を残さなかった女神だ」

「ひとつめ、私は夢見の魔法少女。ふたつめ、魔神と契約してる。真名は言わない。みっつめ、泉の女神エリンの生まれ変わりは、魔法少女になってるから」


「え・・・・?」

「夢で見た。女神の記憶を持つ魔法少女、エリンのことを。歌と踊りがとっても上手い・・・」

「待って待って、エリンちゃんが魔法少女!?」

 ルピスが頷く。


「カマエル、エリンの行方は知らないのか?」

「・・・人間に生まれ変わってるって話は聞いてる。でも、どうしてエリンちゃんが魔法少女戦争なんかに関わってるんだ・・・?」

「そこまでは夢に出てこなかったよ」

 枕を抱きながら話す。


「予知するよ。あと10日でゲーム『RAID5』は『RAID6』に移行する。この世界が壊れそうになっても保護できるってこと。逆を言えば、バージョンを上げなきゃ、保護できない仕様になるってこと」

 ルピスの瞳が、いつの間にか黒から青に変化していた。


「上昇に備えて」

「備えてって・・・・」

「どうなるんだよ」


「オンラインゲームとして本格稼働する。プレイヤーが魔法少女戦争に加わることになる。全ては『ロンの槍』の意志」

 

「!!」

 言い切るとルピスが瞼を閉じた。

 顔を上げて目を開くと、元の黒い瞳に戻っていた。


「ん? 今、重要な夢の話してたよね? 私、自分の話した予知を忘れちゃうことあるの」

「あぁ、かなり重要だな」


「・・うーん・・・・」

 カマエルが腕を組んで、唸っていた。


「ふわぁ・・・言うこといったと思う。寝てきていい?」

「いいよ。部屋は・・・ノアに聞いてみて」

「りょーかいー」

 ルピスが大きなあくびをしてから指令室のほうへ戻っていった。

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