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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第二章 電子世界

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34 Emergency

『空軍第4部隊、賢者ガルダ・・・。魔法少女の数は、いまだに不明。ステルス攻撃のため、どこから攻撃されているのかわからず。防御を駆使しながら安全なところに降りようとしています』


 ガガガガガッ ガタンッ


「大丈夫!?」

『だ・・・大丈夫です・・・・でも、通信が・・・・・』

 この数秒でもかなりの攻撃を受けているようだ。


 一刻を争う。


「今から行くからそれまで耐えてくれ。アクア、魔法陣展開の用意を。ファナ、NO201・・・じゃなくて、シロナ、空軍機に乗り込む準備をしてくれ」

「了解」


『かしこまりました。操縦モードを確認・・・』

 アクアがマントを後ろにやって杖を出していた。


「ティナは・・・」

「わかってる。私はここにいて、他の軍も見てるから。カイトは行ってきて」

 ティナがモニターを見つめながら、不安そうな表情を隠していた。


「あぁ、ありがとう」

『陸軍に待機を命じたほうがいいと思いますよ』

 シロナがモニターを見ながら呟く。


『陸軍第1部隊はちょうど休憩中ですね。人手が足りないことが想定されます。念のため、陸軍第1部隊の魔法少女に転移の準備を・・・』

「そうだな」


「この子は?」

 ルナリアーナが、シロナをまじまじと見る。


「なんか、リリスに似てる気がする・・・」

「あまり見てると胸揉まれるわよ」

 ティナが口を出す。


「胸!?」

 びくっとして、胸を隠していた。


『でっかいのしか揉みません・・・』

「わ、私だって大きいもん!」


『ティナのほうが大きいですね。ルナリアーナの胸は寄せてるから大きく見えますが実際のところは、Cカップというところでしょうか』


「・・・△◇×〇〇〇×!!!!!」

 ルナリアーナが声にならない声を上げる。


「シロナ、その辺にしろ。時間がない」


『承知しました。友好関係を築くのにいいかと思ったのですが』

「真逆だ」


『?』

 シロナが一歩下がった。


「ルナリアーナもむきになるなよ。彼女は、まだ学習途中の魔法少女のアンドロイドだ。詳しくは帰って来てから説明する」

「・・・・はい」

 ルナリアーナが赤くなった頬を膨らませていた。


「おぉ・・・魔法少女のアンドロイド・・・ということは血がないのか。血が無いと、味見もできないな。美味しそうなのに」

『血はありません。噛みます?』

「血がないならいらないよ」

 ラインハルトがシロナに近づいてぼそぼそ話していた。



「私たちも一応戦闘の準備しておくね」

 フィオーレが槍を出していた。


「いつでも呼んでね」

「私のことも、是非是非呼んでください!」

「わわっ・・・ルナリアーナ」

 ノアに被せるように、ルナリアーナが割り込んでくる。



「あたし、ついていく」



「え・・・?」

「・・・・・」

 端のほうで本を読んでいたリルムが、初めて声を出した。

 予想外の行動に、一瞬、時が止まったようだった。


「リルム・・・」

「空中戦でしょ? あたし、空中戦に強いから」

 自分の身長よりも長い杖を出してこちらに歩いてきた。


「でも、いきなり戦闘だから・・・別の機会に行ったほうが」

「ううん。戦えるから」


 ノアが止めようとしていたが、リルムが無視してアクアに近づいた。




 ドドドドドドドドドド


『うわっ・・・』

『きゃっ!!』

 モニターの映像がガタガタ揺れている。 


「急ぐぞ。ティナ、後で連絡する」

「みんなのことよろしくね」

「あぁ」


 カラン


 アクアが鍵を出す。

 地面に転移用の魔法陣が展開されていた。


「直接、空軍機と繋がってるから、気をつけて乗ってね」

 緊張しながら、杖を両手で握り締めていた。





 シュンッ


 ガタンッ


「!?」

「あわわ・・・」

「っと・・・」

 転移した瞬間、転びそうになったアクアを抱える。

 第4空軍機の床は斜めになっていて、物がガタガタ落ちていた。


「カイト様!」

「エンジンは無事か?」

 コックピットの椅子に手を置きながら離す。


 操縦しているのは、5人の賢者と魔導士だ。


「魔法少女、魔導士、賢者、戦士たちが防御魔法で直接攻撃されないよう守っています。でも、防御に全てをかけると、敵機から避けられなくて・・・」

 賢者ガルダが額から汗を滲ませながら言う。


「このままでいい。シロナ」

『はい』

「操縦を代わってやってくれ。5人ともよく耐えてくれた、休んでいてくれ」

「え・・・・・」


『かしこまりました。席、お借りします』

 シロナが強引に席に座った。


「ひ・・一人で操縦できる船では・・・」


『問題ありません』

 シロナがモニターを何台が空中に表示して、傾いた機体の様子を見ていた。


 指を動かして、素早くコードを流していた。

 ボタンを押していきながらハンドルを握る。


『魔力が少なく、あと20分で燃料切れとなり墜落します。敵機の攻撃を防御しながらいくとなると・・・今の魔力量から算出、3分以内に墜落するでしょう』

「すぐに降りられるところは?」

『ありません。山岳地帯で、平坦な場所が見当たりませんね』

 シロナがエリアマップを表示して淡々と言う。


 ガタン


 話している間にも、機体は大きく揺れていた。

 モニターを見ても、確かに敵が映っていない。


 見えない何かの攻撃を受けている。


「もう、魔法少女の魔力も限界に近づいてるんだ。僕が防御魔法を代わってくるよ」

 アクアが柱に捕まりながら言う。



「あたし、敵を倒しに行ってくる」

「リルム?」

 リルムが斜めになった床を、滑らかに飛んでいった。

 緋色の髪がなびく。


「シロナ、このまま操縦していてくれ! 俺はリルムを追う」

『かしこまりました』

 デッキへ向かうリルムを追いかけていった。



 ぶわっ


 強い風が吹き込む。


 空軍機を囲むようにシールドが張られていた。

 数人の魔法少女や魔導士、賢者たちが疲弊しながら、シールドを保っている。


 ゴオオオオオ

  

 ドン ドン ドン


 シールドが討たれるたびに、水の波紋のように歪んでいた。

 代わる代わる魔法を放ち、ギリギリ、機体に当てないようにしているようだった。

 攻撃を分析している余裕もないって感じだな。


「きゃっ」

 吹っ飛びそうになった魔法少女を、武器を持った戦士たちが抱えた。


「ありがとう。ごめんなさい」


「リルム様・・・カイト様・・・」


「・・・・・・」

 リルムが無視して、空軍機のデッキに立っていた。



「何をする気だ?」

 緋色の目を、こちらに向ける。


「みんなはカイトを認めたみたいだけど、あたしは別にどうでもいい。でも、これで終わりだから、気にしないで。あたしの空いた席に、ファナを入れるといい」


「は!?」

 リルムが鍵を出して、自分の手首に巻き付けた。

 大きな杖を天に掲げる。


 嫌な予感がした。

 魔法少女の分霊となる鍵・・・命を代償とする魔力の上昇の仕方だ。



 ― 全無効・・・ ―


 ザッ


「止めろ!」

「っ・・・」

 詠唱を言い終わる前に、リルムを抑え込む。

 ファナがすっと横切っていった。


 数秒で、空に向かって大きな魔法陣を展開する。


 ― 全無効化攻撃返クリアランスフルカウンター― 

 

 ぶわっ・・・


「なっ・・・・・」

「ぎゃああぁぁぁぁああああああ」


 何体かのドラゴンが炎に巻かれて落ちていく。


「多重にステルスをかけてたのね。私には効かないけど」

 ファナが白銀の髪をふわっとさせた。


「ライハ!!!!」

「リーラン!!」

 機体を囲むドラゴンに乗った魔法少女たちと、ゴブリンらしき者が現れた。

 自分たちの攻撃を喰らったドラゴンと魔法少女たちが消えていく。


 別の魔法少女が飛び降りて、落ちていくドラゴンに浮遊魔法をかけようとしていた。


「いったん引き返す!」

 先頭のドラゴンに乗っていた男が合図を出すと、一斉に下に降りていった。

 魔法少女だけでも100人はいるように見えた。



「逃がさな・・・」

「ファナ」

 追いかけようとするファナを引き留めた。


「え? 逃げちゃうよ」

「今はみんな疲労困憊してる。立て直しが必要だ。追いかけるのは後にしよう」


「・・・・・」

 リルムの腕を押さえながら言う。

 しばらくもがいていたが、敵が消えたのを見ると抵抗しなくなった。


「はーい」

 ファナが周囲を見渡してから、手を降ろした。


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 全員がファナの圧倒的な力を見て、言葉を失っていた。


「・・・集団行動って難しいな」

 ファナが不服そうに杖を回していた。

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