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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第一章 魔法少女戦争のはじまり

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27 清らかな③

 魔法少女は軍隊を持つ傾向にあるのは、ロストグリモワールに記載があった。

 ロンの槍の持ち主がが世界を命運を定めるため、関わるのは魔法少女と主だけに限らない。

 一国の軍が魔法少女に仕えていた例がいくつもあることも知っていた。


『アンドロイドだからって、甘く見ないで』

 リエルが額に汗を滲ませながら言う。


『実力は確かよ。強い魔法少女たちが何人も来たけど、あのアンドロイドたちにやられたの。攻撃が読めなくて・・・』

「カイト、どうする?」

「アレが一気に来る。本当はアンドロイドが魔法を使えるはずがないのに」

「肉体にしか宿らないのが魔力だもんね。あの魔法少女たちが力を・・・」

 フィオーレが槍をぐっと握り締めた。


「ねぇ、カイト、大丈夫・・・かな?」

「心配ならリエルの後ろに下がってろ。俺が引き受ける」

「そ・・・そんなわけない! 私は七陣魔導団ゲヘナの7人の魔法少女の一人。敵に背を向けたら契約した魔神の名を落としてしまう」

 フィオーレが震えているのを必死に隠しているのが分かった。


「私も問題ない。戦える」

 ノアが大剣を持ち直す。


 電子世界に入って、アンドロイド軍を形成するとはな。

 モニターを表示して、真ん中にいたアンドロイドをアップにした。

 手を動かして、コードを引き抜く。

 

 ゴォオオオオオ


「!!」

 鎧を着たアンドロイドの目が紫色に光った。


「1軍から動け! 3軍まで陣形と戦術はコード006の通りだ。やれ! 私たちの・・・・魔力が・・・」

「私たちの魔力を全てを使って!」

 ミイナとセナが絞り出すように言う。


「はぁ・・・はぁ・・・」

 普段、5人で動かしていた軍隊を2人でやろうとしているんだ。

 魔力切れだろうな。


 リエルが何か言いたげな表情で、視線を逸らす。

 

「卑怯だけど・・・・今、あの2人を倒せば・・・・」

「もう魔力は移ってる。無駄だ」

 コードを見ながら言う。


「もってあと数時間の命だろう。とにかく俺らを殺したいんだろうな」

「・・・・・・・・」

 ノアが目をぎゅっとつぶって、息を吐いた。


 魔法少女戦争なんかなければ、こいつらも普通の女の子として過ごせたんだろうな。


「ごほっ・・・」

 ミイナは鼻血を噴き出し、口からは血が流れていた。 

 セナがその場に倒れた。


「いけ・・・・殺せ・・・」

 最後の力を振り絞って、白い杖を掲げたのが分かった。


「来る」

 ノアが武器を構えた。

 モニターにコードを映しながら、剣を構える。



 ザアアアァアァァァァァアアアアア


「あっ・・・・」

 アンドロイド軍隊が飛び上がり、約100体の軍隊が俺たちの頭上を囲うように止まった。


「ノア、できるだけ防御に」

「うん・・・」

「いいって、2人とも。さっきから戦闘で魔力からかなり使ってるだろ?」


 言いながら、モニターに2つのコードを映して比較していた。


 鼻で笑う。

 思っていた通りだ。


「カイト?」

「俺がやるよ。2人はここで休んでいてくれ」

「え!? 休むって・・・」


『電子世界の戦いは違う! 古くからの魔神の力をもっても、あれは・・・』

 リエルが言いかけた言葉を遮って、アンドロイド軍隊が動き出す。


 ― 射程距離、タイショウブツ、存在を確認 ―


「うわっ、しゃべった!!!」

「ノア、しっかり」

「う、うん」

 フィオーレが槍を天に向ける。



 ― 魔導砲発射用意ブレードキャノン ― 


 シュウウゥウウウ


 アンドロイドたちが手をこちらに向けて、全く同じ力を集めていた。


 コードの文字をコピペして、剣に触れる。

 剣が文字を読み込んで浮き上がらせていた。

 俺の意思通りに動く、馴染む剣だ。


 ― 発射 ―


 ― 無効化タスクキル


 カッ


 空に向かって勢いよく剣を振ると、黒い閃光が放たれる。


 ジジジジジジ ジジジジジジ


 アンドロイド軍隊が動きを止めた。

 目の光りが暗くなっていく。


 ― エラー、エラー、エラー ―


 ― エラーコード不明、例外処理 ―


 ― 復旧のため、離脱 ―


 同じ言葉を一斉に口にしていた。


『嘘・・・剣に電子世界のコードを埋め込むなんて・・・』

 リエルが翼をたたんで、天を仰いでいた。


『時代に合わせるとは。さすが、魔神・・・・』


「え・・・カイト、どうゆうこと? 今の何?」

「何があったの?」

 ノアが大剣を伸ばして、シールドを展開しようとしたまま固まっていた。

 

 ザアァァアァァ


 空中で止まっていたアンドロイド軍隊たちが一斉に降りていく。

 作りが荒いな。


「ゲームでデバッグしたときに見たキャラとコードが似てたんだ。アンドロイド自体はAIに作らせたんだろうが、突貫で作ったんだろう。あまり見てなかったんだろうな」

「ん? ん? ん? こーどがにてるから・・・」


「難しければ無理にわかろうとしなくていいって。戻ったら説明する」


「ん? うん」

 ノアが混乱して頭を動かしていた。


「き・・・貴様・・・・」

 ミイナが血を流しながら、這うようにしてこちらを睨んでいた。


「お前らの主はそうゆう奴らだったってことだ。お前らに勉強することに、時間を割くのが面倒だったんだよ。簡単に言えば、魔法少女戦争は他人事ってとこだ」


「っ・・・・・・」


 人工知能で動くアンドロイド軍隊は、おそらく学習能力が満たされていない。

 想定外のことにかなり弱いようだ。


 第1軍と呼んでいた奴らが急に戻され、他のアンドロイドも同様に処理を変更して組み直しているはずだ。

 少し時間を稼げそうだな。


「あとの軍も俺がやるよ。フィオーレ、浮遊魔法で俺を下まで運べるか? 浮遊魔法はまだ覚えてないんだ」

「い、いいけど・・・」

 フィオーレが戸惑いながら指に光を灯して、俺の足元に魔法陣を展開した。


「持続時間は30分だから」

「了解。さんきゅ」

 手を上げて、地面を蹴った。


「カイト! 私も行く!」

 ノアがふわっと飛んで、俺の後ろについてきた。


「ん? どうしてついてくるんだ?」

「もしカイトが前みたいになったら困るから」

「ならないって。すぐに片付けるよ」

 ノアからは未だに疑惑の目を向けられている。


 記憶が薄れているけど、相当暴れたからな。

 リリスがいなければ、被害はもっと拡大していただろう。


 まぁ、ノアは俺があの状態になっても止められないと思うが。


「見張りだからね」

「はいはい」

 地面に足をつける。

 

 モニターのコードを見ながら、アンドロイド軍隊の動きを見つめていた。


 ― エラーにつき、自動復旧中 ―


 ― 復旧完了、バックアップから復元 ―


 アンドロイドの声は機械的だったが、不気味なくらいに一斉に話す。

 ノアがびくっとして俺の背中に隠れた。


「声が・・・怖い・・・しゃべってる。亡霊みたい・・・」

「亡霊なら、まだいいかもな」

 アンドロイド軍隊の目が緑色の光りを放つ。

 

 2体のアンドロイドのコードは完全一致、指示内容にだけ違いがあるようだ。

 コードを流しながら、剣を持ち替える。


「ん?」

「とりあえず、一気に壊すって意味だ」

 短く詠唱し、剣にコードを刻み直していた。


 ゲームの知識、魔法の知識さえあれば戦える。


 ― 読み込み中 ―


 このアンドロイド軍隊のいるゲームは、『エターナルファイル』というゲームだった。

 1年前にリリースされた体感型オンラインゲームで、鎧のアンドロイドはティズという青年が王妃の呪いを受け、殺戮人形と化したときの姿。

 元は1体だが、量産して移行したんだろう。


 『エターナルファイル』は、俺は一部しかデバッカーをやっていない。

 でも、所属企業の依頼リストには情報が入っていたはずだ。


 代表に聞いてみるか。


「カイト、大丈夫なの?」

 ノアが後ろから俺の服をつまんでいた。


「問題ないって。そんなに不安になるなよ」

「だって・・・・この敵の数だよ?」

 剣にモニターをスクロールして、剣に刻んだコードを組み直していく。

 アンドロイド軍隊の1体1体が自分の周りに魔法陣を展開していた。


 ザッ


 後方にいたアンドロイド軍隊が飛んで剣を持ち、こちらに向かって来るのが見える。

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