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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第一章 魔法少女戦争のはじまり

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26 清らかな②

『彼女たちは聖なる魔法を使うから、君は下がっていたほうがいい。少なくとも、セラフィムとの契約した魔法少女なんだから』

「ただ突っ立ってるのは性に合わないんだよ」


『君は昔からそう。でも、今回は・・・』

「昔のことなんかどうでもいい。俺は、今の俺だ」


『・・・・・』

 リエルはリシュウとフウカの前で、翼を広げて戦闘から守っていた。


 魔法少女が外したゴーグルを手に取る。

 ガラスに光を通すと、チャットのような文字が見えた。

 会話を見る限り、リスナーは何が起こったのかわからず、混乱しているようだ。


「触るな! 」

「セナ、早く電源を切って」

「もちろん」

 セナがEmargencyの文字を表示して、ゴーグルを外していた。

 真っ暗になったゴーグルを屋根に捨てる。


「リエル様は裏切ったのね。2人も契約した魔法少女が死んだのに何もないなんて・・・」

「リエル様は魔法少女なんかどうでもいいものね」

 ココとミイナが冷たく言う。


『それは・・・・』

 リエルが両手を握り締めて口をつぐんだ。


「初めに裏切ったのはお前らのほうじゃないのか? セラフィムは穢れに弱いのに、リスナーに言われるがまま好き放題やって来たんだろ? こいつは、あと一歩遅ければ堕天する」


「そんな根も葉もない話、聞かないわ!」


『・・・・・』

「・・・・・・・」

 こいつら、リエルの翼の色が変色していることに気づいていないのか?


「極大魔法・・・」

 ココとミイナが杖をかざす。

 クロスすると、重なる部分から魔力の渦を感じた。


 ― 聖光乱舞ラスターメイブ


 天に光が差し込むと同時に、黄金の刃が降り注いだ。

 雨のようだ。


 ― ルピス ― 


「え・・・?」 

 瞬時に剣を出して突き立てる。


 ― 雷豪のスネーク

 

 ジジジジ ジジジジジジ


 黒い稲妻が這うようにして空中を通っていく。

 黄金の刃は全て焦げて落ちていった。


「今の魔法は何? ただの人間がこんなに魔法を使える?」

「ま、まぐれにきまってる。私たちを混乱させる罠だ」

 ココが冷や汗をかいて、杖を両手で持って固まっていた。


「ココ! 動いて!」


 ― 豪炎フィグア ―


 ノアが大剣を振って、炎を巻き起こした。


「フィオーレ!」

「任せて!」

 フィオーレが槍から手を離して、空中に浮かせる。

 手を動かして、詠唱すると、炎の中に槍が突き刺さった。


 ゴォオオオオ


 とぐろのように炎が巻き付き紫色に変わっていく。


「これは・・・猛毒!?」

 ミイナが下がろうとしたが、ノアが先回りしていた。 


「許さない。絶対に許さない。私たちの仲間に手を出したこと、後悔させてやる」


「私たちセラフィムと契約できたんだから。本気を出せば負けるわけがない」

 ミイナが杖を回して、5つの魔法陣を展開する。


「ノア!」

「何度やっても同じこと。容赦しないから」


 ― ルオフェルロール ―


 ノアが大剣を何倍にも伸ばして、赤く輝かせた。


 ブワッ


 大きく振って、魔法陣を裂いて消滅させた。

 ノアの大剣の刃は炎のように燃えている。


「実力の差がわかった? わからないなら、もう一度行くよ」

 ノアが息切れ一つせず、ミイナを睨みつけていた。

 フィオーレがノアの傍に立つ。


「怪我は?」

「全然」

「私も余裕。徹夜で戦える」

 

 シュッ


 フィオーレが槍を引き寄せて空中でキャッチしていた。


「ミイナ、ココ・・・どうする?」

「アンドロイド軍隊に任せようよ」


「お前らの主はあいつか!?」

 ココが2人を無視して、俺のほうに目を向けた。


「違うわ。カイトじゃない」

「フン、嘘をついてるに決まってる」


「・・・なるほど。怯える必要はないってことね」

「忘れてた。主を倒せば魔法少女戦争は終了。あんたたちもいなくなる。主と魔法少女は距離があったほうがいいのに。電子世界に連れてくるから」

 ココが笑いながら杖を回した。


「別に俺が戦うのも構わない。相手してやる」

 剣を下に向けて、屋根を歩いていく。


「み、みんな! 一気に攻めるよ」

「2人にバフを」

 セナがミイナとココに攻撃と速度のバフをかけていた。


「させない」

 フィオーレが槍を漆黒に染めた。

 走って、俺を横切っていく。


「まとめていくからね!」

「うわっ」


 ドンッ


 槍を巨大化させて、3人の魔法少女に向かって突き刺した。


 ドドドドッドドドドドドドド


「!!」

 聖堂が崩れていく。

 ミイナが浮遊魔法で2人を浮かせて、反対側の屋根に降ろした。

 ココがギリギリのところでかわして、フィオーレの後ろに回っていた。


「フィオーレ! 後ろ!」

「っ・・・」


 キィンッ


「カイト」

 フィオーレの前に立って、剣で杖の動きを止めた。


「で? どうするつもりだ?」


「この時を待ってた」

 ココがにやっと笑う。


「2人はアンドロイド軍隊の軌道準備を。私はこっちを倒すから」

「りょーかい」


「だ、駄目!」

 フィオーレが俺を突き飛ばそうとしたが、手を掴んで抑える。


「心配するな」

「だって・・・・」

 杖から溢れるような聖なる魔力を感じた。


 この土地を流れている清らかな水のような力だ・・・。

 

「魔神は聖水に弱い。お前は魔神と関係が深いな?」

「だからなんだ?」


「今から使うのは聖女の祈りによって湧き出た、魔神を制するための水。魔神の肉体を焼くように、じわじわと腐らせる水だ。辛く苦しんで死ぬよ。そこの魔法少女を捧げるなら許してやるけど?」

「クソみたいなこと言うな」


「じゃあ、私の魔力でさらに強化!」

「カイト!! 下がってて、お願い。私が防ぐから!」


「いい」

 庇おうとするフィオーレを強引に後ろにやった。

 不思議と負ける気はしなかった。


「終わりだね」

 ココが勢いよく杖を振る。

 水は数百もの矢のような形を生成して、俺を取り囲んでいた。

 

 全てがスローに見えた。

 ノアが慌ててこちらに走ってくる。

 俺は屈んで、剣を持ち替えて、ココの心臓を狙っていた。


 しゅうぅううううう


「え・・・・?」

 俺が動くよりも遥かに早く、赤い魔法陣が現れる。

 放たれた聖水の矢はすぐに蒸気となって消えていった。 


「!?」

 金色の指輪を見つめる。

 ぐるぐると渦を巻くように輝いていた。


「リリス・・・・?」


 後ろを振り返る。


 リリスはいないのに、リリスを感じる。

 この無駄のない魔力、力の使い方、全てはリリスに繋がった。


 俺に魔法を施していたのか?


 手を見つめる。

 いつの間に・・・。


「なんだ? この魔法は。私の杖が・・・」


 魔法陣の中から黒い手のようなものが何本も現れる。

 ココの杖を掴んで漆黒に染めていた。


「は・・・離れない」

 杖を離して逃げようとしていたが、別の黒い手がココの首を掴む。


「ココ!!」


「いやぁあああああ」


 ザアアァァァァ


 ココの体が漆黒に染まっていった。

 風が吹くと同時に消えていく。


「な、何・・・今の・・・・」

「・・わ・・わからない・・・・」

 ノアとフォーレも呆然としていた。

 

「ノア、フィオーレ気を抜くな」

「ご、ごめん」

 2人がはっとして武器を構える。


『リリス?』

 リエルが小さく呟く声が聞こえた。


「な・・・何? 今の・・・セナ、見たことある。あんな不気味な魔法・・・」

「無い。でも、ミイナ切り替えて。私たちだけでも、やらなきゃ。確実に生き残って主に、私たちの主に現状を報告しなきゃ」

 セナがミイナの手を握り締めた。


「うん・・・・」

 ミイナが目を擦って、頷く。

 セナの手を離して、アンドロイドの軍隊のほうを見降ろした。


 ― XXXXXXX XXXXXXXXコード ゼロ 言語認識モード オン ―


 セナが前に出て魔法少女の鍵にキスをする。

 鍵は純白の杖になって、先端にはラピスラズリのような魔法石が埋め込まれていた。


 ザッ


 停止していたアンドロイド軍隊が、一斉にこちらを見上げた。


「軍隊に告ぐ。魔法少女戦争が始まっている。ここに居る、魔法少女4人、およびココを殺した人間の抹消を命ずる。たとえ・・・・」

 声を詰まらせた。


「たとえ・・・私たち魔法少女の魔力がが朽ちたとしても、全力で殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!」

「殺せ! 殺せ! 確実に殺せ! 魔神を倒すのは私たちだ。聖なる魔力は必ず奇跡を起こす。みんな、奴らを殺せ」

 2人が目を真っ赤にしながら高々と叫んでいた。 

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