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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第一章 魔法少女戦争のはじまり

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17  セレーヌ城と魔法少女②

「ブロックできたの?」

「まぁな。さっきのリリスの雷属性の魔法から割り出した」

「えっ、ほんの数秒だったのに、すごいね」

「別にすごくないって」

 リリスが歩きながら目を丸くした。


 指を動かしてモニターを出す。

 セレーヌ城の周辺の地図を映した。


「魔法少女の位置も把握できるようになってる」

「青い点が魔法少女の位置? 白がその他の人?」

「あぁ、よくわかったな」


「私は魔力でわかるんだよ」

 リリスが自慢げに言う。


「でも、この魔法少女戦争の舞台となっているゲームが何なのか、プレイヤーが来るのかどうかはわからない」

 花音がどうしているかもわからなかった。

 エジプト神を祀るエリアだ。

 ナナキがいるから、危険ではないだろうけどな。


「そこまで焦ってないよ。私強いし」

「リリスは何かデバフかかってたりするわけじゃないんだろ?」

「うん! どこにいても、バトルフィールドと同じ感覚。しいて言えば、自分のバトルフィールドが一番戦いやすいけどね」

 リリスが聖堂の扉を開けた。


「わわ、みんな集まってる」

 リリスが慌てて赤いカーペットを飛んでいった。

 ゆっくりと扉を閉めて、リリスの後ろをついていく。


 七陣魔導団ゲヘナの魔法少女7人は聖堂に集まるようにいわれていた。

 中には大きな魔法陣が描かれていて、7つの蠟燭には魔神の名が刻まれているのだという。


「えー!? ティナが!?」

「えっと、しょうがなく・・・だけどね」

 ティナが言いにくそうにしていた。


「あら、まぁ」

「急展開、びっくり」

「マジで? マジで契約したの?」

 魔法少女たちが俺とティナが契約したことを話していて、声を上げて驚いていた。

 相変わらずやかましい。


「カイト」

「あいつはブロックしたから金輪際ティナの前に現れない。安心しろ」

「べ、別に現れても怖くないし。で、でもありがと」

 ティナがツンとしながら言った。

 

 なんか、俗にいうツンデレみたいな奴だな。


「丸く収まってよかったね」

「なんかいい雰囲気?」

 フィオーレが口に手を当てる。


「違うってば!」

「ずーるーい! カイト様が二重契約していいなら、私とお願いしたかったのに。ねぇ、カイト様!」

「ルナリアーナは結局誰と契約したの?」


「来栖まりなっていう配信者の女の子。魔女の家系で魔法少女のことは知ってたからすんなり契約は進んだ。でも、カイト様・・・・」

「うわっ・・・ルナリアーナ」

「カイト様って温かい」

 ルナリアーナが抱きついてきた。


「ルナリアーナ、あまり大胆なことはよくないと思うの」

「離れろって、はしたないな!」

「アクアはうぶなのよ。カイト様、初夜は私としましょ」

「何の話だよ」

「照れないで」

 上目遣いで言う。


「あらあら」

「べ、べ、別にうぶじゃねーよ。でも、ここは公共の場! 公共の場でそうゆうことしちゃいけないから言ってるんだ!」

 アクアが顔を真っ赤にして文句を言っていた。


「公共の場じゃなくて聖堂なんだけど・・・」

 ティナが頭に手をやって、ため息をついた。




 ドンッ


 ミシッ


「!!」

 床に亀裂が走った。


「り・・・リリス」

「司祭が来るわ。ちゃんと並んでー」

「・・・・・」

 リリスがにこにこしながらこちらを見ていた。 

 ルナリアーナが渋々離れる。


「はは、仲がいいことはいいことじゃないか」

「!?」

 振り返ると俺と同い年くらいの青年が立っていた。

 目は細く、笑うと尖った牙が見えた。


「ラインハルト」

「アクア、君の魔力には驚かされたよ」

「剣に魔法をまとわせるコツを掴んだからな」

 アクアが腕を組んで息を巻いていた。


「つか、ラインハルト、どこにいたんだ?」

「いろいろ探索ってとこかな。まさか7人目に君が来るとはね、リリス」

 ラインハルトがマントを後ろにやってリリスの前に立つ。


「ん? 知り合いなの?」

 ノアが首を傾げる。

 ローズクォーツの薔薇模様のピアスが光っていた。


「古くからの知り合いだね。リリス、君が七陣魔導団ゲヘナに入るのは久しぶりじゃない?」

「そうね。300年ぶりかな」

「300年!?」

 アクアがリリスを見つめる。

 他の魔法少女たちも、リリスが不死であることを知らないらしい。


「リリス、ラインハルトって誰だ?」

「ヴァンパイアの魔導士。毎回、魔法少女戦争が始まるたびに七陣魔導団ゲヘナに入ってるの」

「寿命が来ないものでねぇ」

 白銀の髪をかき上げた。


「紹介が遅れてごめんね。初めまして、えーっと、今は?」

「如月カイトよ」


「?」

 俺が答える前にリリスが言った。


「カイトくん、よろしくね。僕はラインハルト=ワラキュア、七陣魔導団ゲヘナの4人の魔法少女の主だよ」

「4人って・・・じゃあ、契約している魔法少女は・・・?」


「アクア、ノア、フィオーレ、リルムの主だ」

 黒いマントを後ろにやって頭を下げた。


「僕の魔力では4人の魔法少女との契約が限界なんだ。リリスと君が入ってくれて心強いよ」

「・・・・リリスはともかく俺は別に・・・」


「リリス、彼に剣を渡してないのかい?」

「まだ、ね。あとで渡すわ」


 ラインハルトは俺のことを知っているような口ぶりだった。

 俺もどこかでこいつを見たことがある。


 何かのゲームのキャラに似てるのか?

 それとも・・・。


「ねぇ、リリス。300年ってどうゆうこと?」

「そんな前から生きてるの?」

「魔法少女になってどれくらいなの?」

 リリスへの質問が次々に出てきていた。


「・・・仲間であるからには言わないわけにいかないか」

 少し面倒くさそうに息をついた。


 リリスが自分がロンの槍を巡る魔法少女戦争のはじまりの戦いからいること、

 三賢の罪により、不死の呪いを受けていること、

 七陣魔導団ゲヘナに過去12回所属していたことを淡々と話した。


 三賢の他の2人にはなるべく触れないようにしていた。

 みんな1回では吞み込めないようで、質問を探していた。


「不死って・・・じゃあ、どうして今までの魔法少女戦争で・・・」


 バタン


 3人の司祭たちが聖堂に入って来た。

 ティナが言いかけた言葉を止めて、口をつぐんだ。


 ベルナスが指を動かしてモニターを出す。


「皆に報告がある」

「天使と契約した、聖なる魔法少女たちが動き出した」

「っ・・・・・」

 魔法少女たちが顔をしかめる。


「ふうん」

 リリスがふわっと飛んで、魔法陣の中に入った。


「じゃあ、作戦を立てなきゃね」

「作戦?」

「彼女たちは私たち魔神を契約した魔法少女を真っ先に狙って来る。私たちを悪だと思っているから」

 魔法陣の魔力が高まっていくのを感じた。


「強さも天使による。いきなりセラフィムと契約した魔法少女にあったら、私たち3人は必要よ」

「ううん。聖なる魔法少女に会ったら、私が行きたいの」

「リリス、まさか・・・・」


「私が殺しに行く。直接ね」

 口元に指を当てて杖を出した。


「は? リリスがって・・・」


「言うと思ったよ。リリスはそうゆう魔法少女だ」

「私たちが必要ないってこと?」


「元々、戦闘が好きなんだよ。リリスは」

 ラインハルトが他の魔法少女たちをたしなめるように言う。


 俺から見たリリスは違う。

 リリスは三賢の2人を救いたくて、強がっているだけだ。


「癇に障りますがぁぁぁ、その魔力なら何も言えないデスねぇ」

 アモデウスが両手で頭を抱えながら、天を仰いだ。


 ジジジジジ・・・


「アモデウス様」

「ハハハハハハハハハ、これほどまでに魔神の力を感じるのは初めてだ」

 狂ったように笑いながら言う。


「確かに。魔神がどうしてこんなにも力を高めるのか。魔神の祝福、新しい時代の幕開けを感じるな」

「リリス、この力は君がいるからなのか?」

 ベルナスとラミュートがこちらを見ていた。


「魔神が望まない詮索はしないでね」

 リリスが強い口調で言う。


「・・・・わかってる」

「じゃあ、いいけど」

 手を伸ばして、何かを詠唱し始めた。


 明らかに強い魔神が近くにいるのを感じる。

 魔力が違った。

 6人の魔法少女たちが少しおびえているのを感じる。


 3人の司祭は興奮している。

 ラインハルトが、ノアに何か耳打ちしているのが見えた。


「・・・・・・・」


 リリスとラインハルトは、おそらく俺に何かを隠している。

 俺も馬鹿ではない。

 2人の行動から推測できること・・・。


 おそらく、昔、俺はこの魔法少女戦争に関わったことがある。

 2人にも会っていたのだろう。


 ロンの槍は手にしたことがないが・・・な。

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