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魔法少女戦争 ~ロストグリモワールを俺は知っている~  作者: ゆき
第一章 魔法少女戦争のはじまり

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16 セレーヌ城と魔法少女①

 七陣魔導団ゲヘナの拠点はここから少し歩いたところにある、海辺の国セレーヌの城になっていた。


 7人の魔法少女、補佐をする312人の魔法少女。

 ベルナス、アモデウス、ラミュートという3人の司祭、約1000人の剣士、ランサー、召喚士、賢者、魔導士で構成されているのだという。



 ティナは金色の巻き髪で、少し大人びた少女だった。黄色いロリータ系の服を着ていて、ハキハキとモノを言う魔法少女の中心的な子だ。


 ルナリアーナはなぜか俺に好意を持って寄って来る。短いくるんとした髪と大きな瞳が特徴的な子だ。紫の華やかな服を着ていて、胸には赤い宝玉が光っていた。


 アクアは青髪で一番身長の低い少女だ。ぶっきらぼうで、自分のことを僕といい、男のような口調で話すが、スタイルがよく、ちらちら胸が見えそうになるので、ノアに注意されていた。


 ノアはたれ目のおとなしい少女だ。華奢な体だったが、力は一番強いらしく、戦闘時には主に大剣を使うらしい。ピンクの柔らかい服を着ていた。


 フィオーレは天然でいつもにこにこしている少女だ。あまり怒ることはないらしく、いつもおっとりしているらしい。透き通るような水色の衣装を着ていて、背中に大きなリボンがついていた。


 赤い髪の長い少女はリルムというらしい。燃えるような赤い服を着ていて、話したことはないが、底抜けに明るい性格をしていたらしい。

 今は精神的な面で、戦闘の前線には出ず、休養中なのだという。

 7人の魔法少女が集まる場でも、誰かの後ろに隠れていた。


 ベルナスが一通り七陣魔導団ゲヘナについて説明してから去っていった。



「ここが私たちの部屋・・・広くて綺麗だね」

「ん? あぁ」

 ソファーの背に寄りかかる。


 ゲームのモニターを出して、情報をメモしていた。


「えっ、それってもしかしてVRゲームで使ってるモニター?」

「うん。あのポロとかいうAIが現れたときに辿っていって、モニターを出す方法が分かったんだ。まだこの国のことしか情報を集められないんだけど」

「す、すごいね・・・私たちも電子機器の中にいる時、こうゆうモニターで会話してたよ。でも、コードばかりだね」 


「ちょっと探りを入れてるからね。デバッグモードなんだ」

「デバッグ?」

「開発者やテスターが使うモードってこと」

「んー、なるほど?」

 リリスが目を丸くしてこちらを覗き込んだ。

 魔法に関しては詳しいが、電子機器に関しては疎かった。


「おぉっ・・・切り替わった!」


「調査中なんだ。色々と先手を打っておいたほうがいいだろ?」

「うん。へぇ・・・魔法じゃないのに、不思議・・・」

 画面を切り替えて、プレイヤーが入って来ていないかを確認する。

 まだ、ログインの痕跡はない・・・。


 コードは俺がテスターでやったゲームに似てるが、エリア全体は見ていないからまだ分からないな。


「そういや、美憂はまだ庭園にいるのか?」

「知世って子と一緒にいるよ。さっき覗いてきたら仲直りしたみたいだし、美憂ちゃんには絶対に手を出さない制約になっているから」

 リリスが立ち上がる。


「魔神との制約は絶対なの」

「・・・・そうか。安心したよ」

 リリスが窓を開けていた。

 さわやかな風が吹き込んで、カーテンが大きく膨らむ。


「七陣魔導団ゲヘナって思ったより大きい組織なんだな」

「古い組織なの。秘密結社みたいな感覚かな。私が魔法少女になって少ししてからできた組織だよ」

「今まで入ってたことはあるのか?」


「んー、13回目だよ」

 リリスが指で数えながら言った。


「へぇ、多いのか少ないのかわからない数字だな。今いる6人の魔法少女とは馴染めそうか?」

「私、そうゆう馴れ合いって苦手だからなぁ」

「まぁ、俺も暴れた手前、仲良くできる気がしないが・・・」


「そうだね。私たち嫌われまくってるもん」

「はっきり言われると傷つくな」

「そう? 私は慣れてるよ」


 ルナリアーナ以外はまともに話していない。

 ベルナスも義務的な説明だけだった。


「あとでセレーヌ城を・・・」


「きゃぁあああ!!!」


「!?」

 突然、廊下のほうから、ティナの悲鳴が聞こえた。


「ティナに何かあったのか?」

「あ、カイト。待って」

 モニターを消して、廊下へ飛び出ていった。




「やめてください、お許しください・・・・」

『許さない。俺が、お前の主で王になると言っただろう?』

「七陣魔導団ゲヘナで決まったことなので仕方ないのです」

『はぁ? それで、俺が認めると思ってるのか?』


 バタン


 扉を蹴って開ける。


「あ・・・主様!! もう辞めてください!」

『仕置きだ』

 服のはだけたティナが壁に押さえつけられて、触手のような手がティナの身体をまさぐっていた。

 顔を赤くして汗を垂らしながら、息を切らしている。


 正面にはモニターがあった。

 がさついた男の声はモニターから出ている。


 ― 邪眼の波動ブレイク ―


 ザッ


「大丈夫か?」

 ティナに駆け寄る。

 リリスが瞬時に触手を封じ込めた。


 モニターを見ると、汚らしい髭の生えたおっさんが映っていた。


『は? なんで男が出てくるんだ?』

「キモいことするなよ。クズが」

 画面に向かって言う。


『俺はティナの主だ。主には逆らえないだろう、さぁ、続きだ。誰かの見ているところで、さっきのをやるってのもいいかもなぁ』

「や・・・やめてください・・・」


「もう大丈夫だから」

 リリスが自分が羽織っていたマントをティナにかける。

 地面から触手が現れた。


『そっちの子も美少女だな。そうだ、二人まとめて』

「・・・・・」


 リリスが無言で睨みつけると、モニターがぷすぷすと煙を噴いていた。

 触手が固まる。


『は!? 何してくれるんだよ!!』

「話しかけるな、ゴミが」

『なんだ? 急に男が出てくるとか、あり得ないだろ!? 聞いてなかったぞ!? こんなことしてただで・・・・』

「黙れ。気色悪いな」

 モニターを出して、位置のコードを探していた。


『お前、こんなことして・・・』


 接続箇所は・・・ここだ。

 このコードを選択、キルして・・・。

 

 バチンッ


 モニターが消えると同時に、触手も消えていった。


「あ、主との繋がりが・・・」

「たった今切ったよ」

 モニターを切り替えて、あのキモい男が入ってこないことを確認する。


「そんな・・・」

「あんな奴と二度と繋がるなよ。とりあえずブロックの方法を考えてやる」


 奴が残したコードからキーとなるものを探して、この世界に接続できないようにすれば・・・。


 ID変えてくる可能性もあるから、顔認証で弾くか。

 なかなか難しいが、リリスの魔法と融合させれば何とかいけそうだ。


「なんてことを・・・き・・・切られたら、私、主が・・・」

「落ち着いて。いつからこんなことされてたの?」


「契約したとき・・・。誰もいなくなったら、私のことおもちゃみたいに・・・でも、王になるって言ってからこんなことしなくなったんだけど」

「最低な主ね」

「・・・どうしようもなかった。電子世界から主を見つけるなんて難しくて・・・最初は闇の魔力が高く、いい人に見えてしまったの。主には逆らえないし・・・」

 はだけた胸を押さえながら言う。


「主との契約変更はできるのか?」

 モニターを消して、ティナの前にしゃがむ。


「で・・・できないことは無いと思うけど・・・」

「俺が君の主になるよ」


「・・・・・・・」

 ティナが顔を真っ赤にして涙を浮かべた。


「できない! そんなことできないわ」

「君の部下を殺したのは悪かったよ。無理にとは言わない。次の主が見つかるまでの繋ぎでいいだろ?」

「そうじゃない・・・・」

 絞り出すように言う。


「わ・・・私の身体はもうずっと前から穢れてしまった・・・だから、あんな主がちょうどいいの。自分で見つけるから」

「すぐにでも主が必要だろ?」


「・・・・・・」

「リリス、二重契約になるけど、契約していいか?」


「・・・カイトは私だけだったのに・・・。でも、この状況なら仕方ないね。私も七陣魔導団に入ったし、主が同じほうが都合がいいかもしれないし」

 リリスがティナの背中に手を置く。


「カイト、ティナをよろしく」


「え・・・・」

「あぁ、ティナ。落ち着いたら契約を頼む」


「っ・・・・・」

 堰を切ったように、顔を覆ってわんわんと泣き出してしまった。

 まだ14歳くらいの少女に、えぐいことをする主もいるんだな。


 魔法少女を人形としか見ない主・・・か。

 

 おそらくゲームや生成AIで慣れしてしまっている今は、画面の中の少女を犯すことくらい、何でもないんだろうな。

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