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2014.9.28

『「超」文章法』野口悠紀雄著


 読了。

 これで通算何冊目だろうか、文章関連の書籍は。十冊は読んだかな。

 で、ネットに挙げられたその手の講座も含めて、こういう種類の文章を数多く読んできたところの感想をそろそろ纏めてみてもいいかと思う。


 ハウツー本や指南書の類には、私の所感では二種類が存在するような気がする。

「とにかくおだててくれて、やれるような気分にさせて、自信に繋げてくれる、読み心地の良いタイプ」と、

「解析が主で、自己主張的発表の場と捉え、論文的難解さが含まれる、少々敷居が高そうに見えるタイプ」とだ。


 もちろん、人気の上では前者が圧倒的に評価が高いようにも思う。知名度や売上で観たらそうだ。だが、参考文献で名が挙げられる書籍となると、逆転してくる。後者のタイプはまた、読者にかなりの読解力と理解力、それに見識を求めてくるのも特徴か。ある程度の知識はあるものという前提で語られる物が多い。

 なので、読者は書かれてある内容をある程度は自身で発展応用して取り込まねばならない。マニュアル本との違いというべきか、そのまま真似をすれば巧くいくという事柄は対象になっていない。


 で、後者はまぁ、そんな具合で「うんうん唸りながらなんとか読み解く本」であるのに対し、前者はというと、「毒にも薬にもならない」という感じだ。「あなたは出来るのよ、」と励ましてくれはするが、具体的にこうすれば良いとかいうヒントはほとんど貰えない。心地良く読めるというだけで、実はない。

 世の中は、一握りの成功者と大多数の芽が出なかった人々とで構成されるわけだが、そのカラクリを如実に表しているようで興味深い。これは「ハウツー本」の話をしているわけで、実がない本がもっとも需要が高いという意味を考えると、非常にオモシロイと思うのだ。売れ筋順で置かれた本棚には様々な見えない意図があって、それもまたオモシロイ。


 この本の中でも悪文の紹介では、もっとも性質の悪い悪文は「羊の皮を被っている」と表現している。つまり、実が無いことを誤魔化すための美辞麗句とソフトな語り口で出来ていると看破する。

 なぜ実が無いような書籍を書くのか? その内容をそもそも理解出来ていないからという事もあるし、断定的にして責任を求められたくないからだとの理由もある。だが、ハウツー本に関して言うなら、おそらく「自身の会得した、本当に重要なノウハウをばら撒きたくない」に尽きるのではないかと思う。だから、具体的な事は書かないのだ。プロの作家のハウツー本も、非常に抽象論で、要領を得ない。なんというか、教えてやる気がないのだと思う。


 ソフトな文章で書かれた講座というものは、実が無い。無意識に、肝心のところは教えたくないという心理が隠されているのだろう。ハウツーであるなら、実用的な情報を盛り込むべきで、他は削るべき文字群のはずなのだから、理由としては「実用的なネタがない」か「出し惜しみ」あるいは「ハウツーと銘打ちながら、実際は精神論であるから」という辺りしかないわけだ。

 実用的な情報というものはまた、既存の情報の逆転思考という事も多いのだから、自然と喧嘩口調が多く見受けられるものだ。平和的な本には新しい価値観は盛り込まれていないと思う。


 だが、惜しむらくは、人々はこういう悪賢いキツネのような文章を好んでしまうために、実の無い実用書というものほど人の推薦にも載りやすくなる。人の善意を信じた者ほど馬鹿を見るというのは、一つの真理だな。


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