第十二章 開花祭編 裏話4
毒にも薬にもならない、お話の裏話や伏線解説です。
開花祭編の第二百十八話「アイラとハラルドのデート」~第二百二十四話「マリアとケイとカモミール」までをここでは少し裏話を踏まえつつ、お話します。
※ネタバレを含みます。
ネタバレが大丈夫だよ! という方、すでに完結まで読んだよ! という方はこちらを読むと、よりお話が楽しめるかな、と思います。
*第二百十八話 アイラとハラルドのデート
アイラとハラルドのデート回(その1?)になります。
おしゃれには無頓着だったアイラが、ここでは、身支度に気合を入れてデートに遅刻してしまっています。お話全体を通して、アイラの心境の変化を感じていただけていれば幸いです。
裏話としてお蔵出ししておくと、開花祭編は三月一日です。一応、現代の暦に合わせて、春の始まりを告げるこの日を開花祭としました。
一話目は開花祭後(三月中旬くらい)をイメージしておりまして、そこからここまでの月日が合うようにプロットの時系列と、カレンダーとをにらめっこした記憶があります。
お花が登場するので、出来るだけ実際の季節に合わせたい、という強い思いがあり(謎のこだわり)こういう形になりました。
さらにお蔵出しすると、実際に書いていく中でずれが発生したため、王城編~調香師との出会い編にかけて、かなり時間軸が怪しいです。時空が歪んでる説があります。(苦笑)
デートスポットを色々と悩んだのですが、ケイのプレゼント(髪飾り)の一件があったので、ハラルドの勤めている博物館をデートスポットにしました。
*第二百十九話 思いをつなぐ場所
ハラルドがアイラにプロポーズをする回。
タイトルの「思いをつなぐ場所」は、博物館と、ハラルドのプロポーズの二つにかかっております。
博物館みたいな、歴史とか貴重なものとかをおさめている場所は、過去からの思い出を閉じ込めている場所かな、と思ったので、思いをつなぐ、と言い換えました。
プロポーズは言わずもがな、ですね。
ここで、かんざしが特別な贈り物であること、あなたを守りたいという意味があることが作中で書かれておりますが、これはケイの髪飾りを暗示しております。
*第二百二十話 同じ歩幅、同じ時間
アイラがハラルドのプロポーズを受ける回です。
アイラは、あまり人前で泣いたりしませんが、ここの回、ハラルドの前だけでは涙を浮かべております。ハラルドには心を開いている証拠ですね。
ちなみに、二人は当初から、対照的なところもあり、似ている所もあり、という感じで描写してきましたが、この回で、「同じ」歩幅で、「同じ」時間で歩いていく二人の様子が描写されています。
二人が違うところも、似ているところも受け入れて、同じ方向を向いて人生を歩んでいくことを感じ取っていただけておりましたら幸いです。
とにかくタイトルに悩んだ回でしたが(もともとは、二人は共に、とかだったように記憶しております)、結局、作中の文章を引用することになりました。
*第二百二十一話 恐怖を乗り越えて
マリアとケイのデート回(その1?)ですね。
最後の最後で、最悪な始まり方でしたが……今思うと、最後くらい素直にデートさせてあげなよ、と思います。すみません。大反省です。
ちなみに、ケイの「貴様の顔は覚えた」のセリフは、本当です。(西の国編、クレプス・コーロ編でもその片鱗がうかがえます)
ケイが、マリアを守ってくれる騎士なのはもう最初から決まっていたことでしたが、ここにたどり着くまでに長かったな、と思いますし……この後、ケイは今まで通りの不器用っぷりなので、そこがまた、素直にうまくはいかないな、と思ったりもしました。(苦笑)
*第二百二十二話 あなたを愛します
マリアとケイのデート回その2です。
ケイがマリアに、ラストでプレゼントを贈る回でもありますね。
一応補足なのですが、このお話の冒頭で、冬だというのに、と書いているのですが、三月は春とは言えまだまだ花が咲くには少し早い時期なので、あえて冬、と書いております。分かりにくくてすみません。
タイトル「あなたを愛します」は、ここのお話で登場するバラ(ムース)の花言葉です。
バラのムースを二人は、開花祭だから、という理由でお店から交換するように言われ、実際に交換するのですが……お互いに「あなたを愛します」という意味を贈りあっています。
二人が、「自らの思いが相手に伝わりますように」とお願いしているのは、マリアは当然、バラの花言葉を知っているからであり、ケイは、「開花祭に好きな人にプレゼントを贈る」ことは、告白を意味する、と考えているからです。
*第二百二十三話 誠実な愛
マリアとケイがお互いに思いを告白するお話。
タイトルの「誠実な愛」は、ケイのプレゼントしたバレッタの、ビオラの花言葉になっています。
それに加えて、お互いに、相手を思いやり、一番に考える愛情を持っているので、そんな二人にもかかっておりますね。
ケイがマリアの騎士となるように、と初めから考えていたことは散々書いてきたのですが、それがまさかこんなに時間のかかることだとは正直思ってもみませんでした。(苦笑)
一部を除いて、ほとんどプロット通りの進行だったと思うのですが……このお話を書き終えて、ようやく安心できた、という感じです。
*第二百二十四話 マリアとケイとカモミール
マリアがケイにプレゼントを贈る回です。
実は(?)、第一話のタイトル「マリアとカモミール」にケイを加えたタイトルになっているのですが、お気づきいただけましたでしょうか。
正直に言えば、これが実質の最終話なので、こういうタイトルになっています。
それから編は、書くつもりはしていましたが、どちらかというと個人的には、後日談とか、番外編とかの位置づけに近いような感覚だったので、このお話は終わり方もきっちりまとめております。
カモミールの香りを嗅いだケイは、過去のことに思いを馳せ、そして「マリアの時間をもらったんだ」と気づきます。
「時間をもらう」というとなんだかちょっと変な感じですが、人生の時間を共有する、くらいな意味でとらえていただければわかりやすいかもしれません。
ラストで、マリアが祖母の笑みを見るのですが、今までは祖母の背中を追いかけてきたマリアが、ついにここで祖母と並んだ(または追い越した)のを、表しております。
私、に続く言葉はご想像にお任せします!
これにて、開花祭編も無事に終了です。実質の最終章なので、今までで一番長い章となりました。
皆様に、少しでも楽しかった! と思っていただけておりましたら、感無量です。
それから編もありますが……本当に、ここまでお手にとってくださった皆様には、頭が上がりません。
本当にありがとうございます!




