第十二章 開花祭編 裏話2
毒にも薬にもならない、お話の裏話や伏線解説です。
開花祭編の第二百四話「ナッツオイルを探して」~第二百十一話「思いを馳せて」までをここでは少し裏話を踏まえつつ、お話します。
※ネタバレを含みます。
ネタバレが大丈夫だよ! という方、すでに完結まで読んだよ! という方はこちらを読むと、よりお話が楽しめるかな、と思います。
*第二百四話 ナッツオイルを探して
マリアがナッツオイルを探すお話。(タイトルそのままですね)
パーキンのところではナッツオイルが見つからず、メックのところへ電話をするのですが、実質最後の章、みたいなところもあったので、出せるだけキャラを出したいな、と思った次第でした。
ちなみに、メックのお手紙にも「青」のシーリングワックスがついてますね。
商品のお届けが来週くらいに、と言っていて、マリアはここで「郵送」を考えていますが、実際はメックが直接来て手渡ししてくれるので、この後のメック登場回でマリアもびっくりしております。
*第二百五話 バザー
マリアとミュシャ、ハラルドの三人でバザーへ行く回。
ハラルドは、イベントごとが好きです。ちょっと意外かもしれませんが……クレプス・コーロ編でも、クレプス・コーロのチケットを買うために朝から広場に並んでいました。(アイラ談)
イベントごと、というと騒がしいイメージがあるかもしれませんが、ハラルドの場合は、そういう「特別なこと」というか、歴史に名が残るようなことに興味があるのです。
ミュシャと別れて、香水瓶を選ぶ二人ですが、これはこの後、第二百六話「ケイの憂鬱」の伏線的な感じになっております。
*第二百六話 ケイの憂鬱
ケイが、バザーでマリアとハラルドの関係を誤解するお話です。(笑)
騎士団のお仕事も久しぶりに出てきたような気がしますね。ケイ頑張れ! な回であり、ミュシャと少し距離が縮まっている回でもあります。
クレプス・コーロ編では、グィファンとケイの仲をマリアが誤解したので、開花祭編では、マリアとハラルドの仲を、ケイに誤解してもらいました。(苦笑)
ミュシャがちゃんと訂正してくれておりますが、ケイはこれでさらに焦っておりますね。
最後で、ミュシャがケイを「マリアの騎士様」と呼ぶのですが、ケイのお名前の由来がここではっきりと書かれております。
*第二百七話 香水瓶とシクラメン
ハラルドが、アイラへ渡す香水瓶を決めるお話。
個人的には結構お気に入りの回になりました。
シクラメンの花言葉「内気」「はにかみ」はハラルドをイメージしています。特に、はにかみの方は、アイラとの恋路を楽しむハラルドの、ちょっと照れたような笑みが花言葉にもぴったりかな、と思って採用しました。
ここで登場する美しい香水瓶は、エジプシャンガラスのものです。ぜひ、調べてみていただけると、より一層楽しめるのでは、と思います。
*第二百八話 ケイとエトワール
ケイとエトワールが二人で晩御飯にいく回。
開花祭編は、ケイもメインの一人なので、いろんな人がケイと二人でお話に出てきます。
エトワールもずいぶんと久しぶりな登場になったな、と思いますが、ケイからしてみれば恋の先輩なので……開花祭編で、ケイのサポート役として、頑張ってくれました。
エトワールは、ケイがマリアに思いを寄せていたことは知っていますが、それも夏休みくらいまでのこと。そこから先の二人の進展については、あまり詳しくはなく、シャルルとの噂ばかりを聞いているので、ケイが好きな人のことは想像の範疇でしかありません。
そんなわけでここでは、エトワールは誰のことだろうか、と考えているわけですね。
*第二百九話 作戦会議
ケイとエトワールが開花祭に向けて作戦会議する回です。
ケイはとにかく色恋沙汰に疎いので、エトワールの的確なアドバイスが大変役に立つ、という感じですね。ケイも、シャルルには頼れず、トーレスにはからかわれる、ということもあって、エトワールに甘えております。
エトワールはこの回で、ケイが好きな人が誰なのか、なんとなく察している、という感じですね。
ここで、「デート」をエトワールが進めておりますが、ばっちり、この後の伏線となりました。
*第二百十話 カモミールの香り
マリアが、ケイへ贈る香りを調香するお話。
久しぶりの調香回となりました。しかも、あんまり普段は登場しない「カモミール」が主役です。
カモミールは、マリアとケイの出会いの香りであり、このお話の最初に登場した香りでとても重要な役割を担っています。
初めから、最後にケイにはカモミールの香りを、と思っていたので、ようやく書くことが出来て嬉しかったです。
ここで登場するカモミールは、はじまり編の裏話でお話した通り「ジャーマンカモミール」ですね。
祖母リラも同じく挑戦しておりましたが、うまくは使いこなせなかった香りでもあります。
最終的に、憧れのリラを超える調香師になってほしかったので、マリアには頑張ってもらいました。
実際、ジャーマンカモミールを調香で使うのは、かなり難しいと思われます……。
*第二百十一話 思いを馳せて
祖母リラの過去と、ケイへ、マリアが思いを馳せるお話。
マリアの祖父のお話が出てくるのは、後にも先にもここだけですが、祖父はかなり早くに亡くなっているので、ほとんどお話に出てきません。
さてここで、リラの過去について、せっかくの裏話なのでお蔵出しさせていただきます。
リラは、シュトローマーと同じ城下町にある学園に在籍し、その後、調香師として生まれ育った小さな海辺の町で店を営みます。
店を始めたころに、とある貴族の男がやってきて、リラは恋に落ちるのですが、貴族の男は残念ながら遊び人で、リラとは本気の恋ではありませんでした。(ライラックのお花は、まさにリラのお話でした)
しかし、貴族の男がつけている香水が良い香りである、と一部の貴族の間で噂になっていきます。
その後、リラは見合い結婚をして、息子(マリアの父)を授かりますが、夫(マリアの祖父)は亡くなります。
息子を一人で育て、息子が洋裁店を街の広場に出すころ、リラの名前も徐々に国へ広まっていき、王妃様の専属の調香師として雇われることになりました。(この後、息子の独り立ちということもあって、パルフ・メリエへと移転します)
シャルルの父が訪れるのはちょうどこの移転直前ですね。
そんなわけで、リラは恋というものはあんまり信用しておらず(マリアが運命をあんまり信じていないのと同じような感覚ですが)、マリアもそんなわけで、リラから恋について学ぶことはなかったのでした。
マリアの調香が終わったここまでが、開花祭編の第二部、という感じでしょうか。
残るは、ハラルドの調香、そして、みんなの開花祭ですね。
ぜひぜひ、この後もお楽しみにいただけますと幸いです♪




