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キャラ紹介・設定・番外編 等  作者: 安井優
本編裏話・伏線解説(ネタバレ含む)
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第十一章 ミュシャの独立編 裏話

毒にも薬にもならない、お話の裏話や伏線解説です。

ミュシャの独立編の第百八十三話「ミュシャの依頼」~第百九十三話「二人の道」までをここでは少し裏話を踏まえつつ、お話します。


※ネタバレを含みます。

ネタバレが大丈夫だよ! という方、すでに完結まで読んだよ! という方はこちらを読むと、よりお話が楽しめるかな、と思います。

*第百八十三話 ミュシャの依頼

 ミュシャから調香依頼を受けることになる回です。


 今までは、幼馴染みというか、お友達であり、家族的な立ち位置だったミュシャが、お仕事のパートナーとして、初めてマリアに調香をお願いしています。


 ミュシャの依頼は、相手をよく知る分マリアにとっては作りやすいですが、それと同時に、ミュシャもマリアのことをよく知っているので、手を抜けませんし、ここまでマリアが成長してきた力量を試す、という意味ではとっても良い相手になりました。


 ここのラストで、マリアも人気があるんだから、という話があるのは、この後のマリアの旅立ちへの伏線的な感じになっております。



*第百八十四話 新たな仕事

 ミュシャの依頼とは別に、パーキンからのお仕事依頼が来るお話。


 この辺は、ミュシャの独立編といいつつ、この後の開花祭編や、マリアの旅立ち(それから編)への仕込みとして色々と細かく描写を入れております。

 パーキンの依頼は、開花祭編へ向けたもの。仕事の量が増えている描写は、それから編へ向けたもの、という感じですね。


 ちなみに、パーキンの依頼内容がテスターなのは、マリアが「他の人の調香にもっと触れてみたい」と思って旅をするためのきっかけを作るためです。



*第百八十五話 マリアのお勉強

 マリアが、パーキンからのお仕事をこなす回ですね。


 クレプス・コーロ編が恋愛要素多め、そしてこの後の開花祭編も恋愛のお話となっているので、比較的ミュシャの独立編はお仕事要素が多いのですが、ここはそれが顕著です。


 こういったインプットを増やしたことが、後に、ミュシャからの調香依頼に影響を受けることとなるので、そういった意味でも結構大事な回でした。



*第百八十六話 キングスコロンの新商品

 パーキンとカントスと一緒に、新商品を考える回。


 三人寄ればなんとやら。そんな雰囲気のあるお話です。個人的には、これからを担う調香師組の回は後にも先にもここだけなので、かなりお気に入りの回になりました。


 イニシャルを取って、ピー・シー・エムのブランドロゴをパーキンが用意していますが、シーはカントスの名前のイニシャルであり、クリスティの名前のイニシャルでもあります。

 キャラクター裏話で、カントスの名前の由来を書きましたが、そこにあえて頭文字は「シー」と書いたのはこのためです。

 パーキンは(分析や調査に余念がないので)、クリスティのことも知っています。



*第百八十七話 新しい香りを

 ミュシャから依頼された香りを作る回です。


 一話で二つ分の調香を登場させ、本当に香りの描写だらけですね。(三つ目はこの後、ミュシャ達と一緒に皆様に楽しんでいただこう、とあえて描写を省いています)


 一つ目はいわずもがな紅茶の香り。二つ目のアップルの香りは、カルヴァドスというアップルブランデーをイメージしています。


 アップルを使った調香は、実はこの回が初めて。

 リンゴの木の花言葉「名誉」から、マリアがミュシャから仕事をいただけたことを「名誉あること」と感じていることにかけてみました。



*第百八十八話 ミュシャの店

 ミュシャのお店にお邪魔する回です。


 初めてミュシャの生まれ育った町(階段街、と個人的に読んでいますが)とミュシャの父親が登場しています。

 裏話として、階段街は、街の広場と東都の間にある町ですが、高低差の激しい土地で、その名の通り、いたるところに階段があるのが特徴です。

 同じ国なのに、東都があまりにも異文化なのは、この山が昔は越えられなかったから、という理由が一応あります。(山の西と東で昔は違う国だった、と思ってもらえればわかりやすいでしょうか)

 ミュシャの生まれ故郷はそんな二つの町のちょうど中間地点にあり、どちらの影響も受けているので、芸術的な街並みです。


 また、ミュシャのお店に、リンネが来たことがある、という部分ですが。こちらは、第百八十二話「陽祝い」の裏話でお話した通りで、マリアへのプレゼントを二人で選んでいたのでした。



*第百八十九話 ルームフレグランス

 マリアの作った香りを、ミュシャとミュシャの父親にお披露目するお話。


 ここでは、三つ目の香りについて。飲み物シリーズの今回の調香ですが、三つ目はアクア(お水)をイメージしています。

 実際はトンカビーンズとかも入っているので、かなり甘い香りになると思われますが……清潔感のある、みずみずしい香りで、人々の心を潤す、みたいなイメージでした。


 香りを通して、ミュシャとミュシャの父親が、自分が今までにこなしてきた仕事(過去)を振り返っていますが、これもマリアの「時を売る」お仕事の一つの成果ですね。


 ちなみに、この一つ前、第百八十八話「ミュシャの店」の最初の方で、マリアから石鹸のような香りが~みたいな描写があるのは、この残り香を表していました。



*第百九十話 マリアのこれから

 マリアが旅に出るという選択肢を得る回です。

 いわずもがな、それから編へとつながっていきます。


 元々、プロット的にもマリアは最後に、国で一番の調香師となるためにも国中を旅することになっていましたが、その背を誰が押すかは決めていませんでした。

 ミュシャの独立編を書きながら、きっとマリアを本気で応援してくれるのは、いつだってミュシャだっただろうな、と思い、ミュシャの口から「旅にでも出れば」と言ってもらうことになりました。

 ただ、完全に手放しではミュシャも応援はしないだろう、と……ケイとの仲を縮めてもらいつつ、なんとか応援してくれる形をとりました。(苦笑)


 最初から最後まで、ミュシャには不憫な役回りをさせてしまったな、と反省しています。



*第百九十一話 ミュシャとケイ

 ミュシャからケイへコンタクトを取るお話ですね。

 最初から出ている二人なのに、きちんと二人セットで書いたのはこれが初。長い冷戦でした。(苦笑)


 ミュシャは、マリアが旅に出るだろう、とすでにこの時点で感じているので、旅に出るマリアの心配ばかりしています。

 そんなわけで、旅の最中に何かあっても騎士団の人なら助けてくれる、と不本意ながらケイにその役目を頼もう、というところですね。

 マリアの気持ちにも気づいていて、だからこそ、ミュシャはケイがあまり好きではないのですが。(苦笑)

 シャルルを選ばないあたりが、マリアのことをよく知るミュシャらしいです。



*第百九十二話 雪が包む思い

 ミュシャとケイが二人でマリアのことをお話する回。


 ミュシャは基本的には人見知りですし、特にケイのことは苦手ですが、ここでミュシャなりに頑張っています。

 実は、「ミュシャの独立」というこの章のタイトルは、実際にミュシャがお店を出して独り立ちをする、という意味と、今までマリアと一緒だったミュシャが、完全にマリアへの思いを断ち切って、他の人にマリアを託す、という二つの意味がありました。

 後半は「自律」だったり、「子(親)離れ」が近いですね。


 この回では、ケイの名前の由来も出てきます。

「マリアを一番に守ってほしい」というミュシャの願いは、マリアの騎士になってくれ、と言い換えることが出来ますね。



*第百九十三話 二人の道

 マリアが旅に出ることを決意し、ミュシャもまた「独立」を決意する回です。


 ここのラストで、ライラックの香りが再び登場します。ミュシャがまいているマフラーに、香水がついていますね。

 ライラックは、ミュシャにとってはマリアを象徴する香り。

 ちなみに、ライラックの花言葉の「初恋」がここにかかっています。

 ミュシャがラストにその香りのするマフラーを外して「もう大丈夫」というところは、まさにミュシャの「独立」を表現しました……。(伝われっ! 笑)



 この後、開花祭編とそれから編を合わせてお話は第五部で完結するわけですが……ミュシャの独立編は、そんな開花祭編とそれから編につながる大切なお話となりました。

 個人的には結構お気に入りの章で、ミュシャに感謝でいっぱいです。

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