第三章 王城編 裏話1
毒にも薬にもならない、お話の裏話や伏線解説です。
王城編の第三十話「王妃様からの手紙」~第三十八話「城下町」までをここでは少し裏話を踏まえつつ、お話します。
※ネタバレを含みます。
ネタバレが大丈夫だよ! という方、すでに完結まで読んだよ! という方はこちらを読むと、よりお話が楽しめるかな、と思います。
*第三十話 王妃様からの手紙
マリアのもとに、王妃様からの「ディアーナの専属調香師になってほしい」という依頼がくる回ですね。
王城編の一話目として、ガーデン・パレス編での王妃様からの調香依頼の結果と、その調香依頼が一体何だったのか、ということが明かされています。
ここの、王妃様からの手紙では、第三十六話「ワンピース」への伏線となる、お礼のワンピースが入っていたり、王城編の後から続く「調香師との出会い編」につながる伏線になっていたり、と色々細かな仕掛けがあります。
あとは、マリアの祖母、リラが王妃様専属の調香師だった、というところになぞらえていたりするので、お話全体としてもかなり重要な章になっています。
ちなみに、ディアーナのお誕生日は秋なので、まだまだしばらく先なのですが、一応そこについては番外編の方で少しだけ触れていますので、ぜひ。
余談ですが……マリアがここで、ケイとシャルルの二人に何かお礼をしなくては、と考えているのですが、このお礼が正式に出来たのは、実は、お話の都合もあって、かなり後のことになってしまいました。(調香師との出会い カントス編の第七十八話「騎士団本拠地」に書かれています)
*三十一話 お墓参り
マリアが祖母のお墓参りに行く回です。久しぶりに、シュトローマーさんも登場しております。
マリアが花屋で買っていったライラックのお花は、リラの名前にかけているものですが、シュトローマーも同じものを買っていっています。
紫のライラックの花言葉は「初恋」。シュトローマーはリラに思いを寄せていたので、ライラックのお花をお供えする意味が、少しマリアとは違うかもしれません。
ワインボトルもお供えされていますが、これはもちろん、シュトローマーからのものです。
ちなみに、ここでマリアが着ているお洋服は、第三話「洋裁店」でミュシャからマリアがもらったお洋服です。(すごくどうでもいい余談でした)
お洋服デザイン集と合わせてお楽しみいただけましたら幸いです!
*三十二話 祖母の過去
シュトローマーから、祖母、リラの昔話を聞く回になっています。
個人的には、なぜ、辺境のパルフ・メリエに王妃様が調香依頼をするのか? とか、リラやマリアがどうして優れた調香師か、ということを一度書いておいた方がいいかな、という思いもあって、今までのちょっとした疑問みたいなものを解決してくれたりしています。
いろいろと悩むマリアに、亡くなった祖母、リラの代わりにシュトローマーがいろいろとアドバイスをくれる回で、過去の話をしつつ、お話を前に進めていけたら、とこのような形になりました。
また、この回では、ディアーナに代わってマリアとシュトローマーが、王女が婚約するということの大変さとか、責任、みたいなものを先に書いています。実際の婚約の話はもう少し後なのですが、ディアーナの口から語らせるよりも、という意味も兼ねています。
こう書くと、結構目白押しな回でしたね。(笑)
*第三十三話 決断
マリアとアイラが相談して、専属の調香師になるかどうか、答えをだす回です。
ここで、マリアがエディブルフラワーののったケーキを注文しますが……実は、マリアは大きな決断をする時(した時)、必ずこれを食べています。(とはいっても、マリアの大きな決断は、ここの王女の専属調香師になるところと、旅立ちを決意したところの二回なのですが……)
旅立ちのところのお花のケーキは、シャルルさんが持ってきてくれますが、それは、ここの回を思い出して書きました。(というどうでもいい裏話があります)
ここで、アイラがシャルルへの思いを少しだけ告げています。この時は、本気か冗談か、あえてわからないようにしていますが、この後、これが本気だったことが判明しますね。
そして、アイラはマリアへ「こうした方がいい」というのではなくて、その代わりに「人生は一度きりだ」という言葉を贈ります。
これがのちに、マリアのいろんなチャレンジを前向きにとらえてくれるようになっているのですが、実際に描写としては出てこないので……お話の中で、前向きにいろんなことに挑戦するマリアの姿に、アイラのアドバイスを思い出していただければ幸いです。
最後に、夢にリラが登場して、再びタイトルと同じキーワードを発していますが、これもマリアの背中を押すものです。
ちなみに、最後の行、マリアが手紙になんと書いたのかは明かされていませんが、こちらは、次の第三十四話「ディアーナの想い」を読んで確かめていただければ、一目瞭然ですね。
*第三十四話 ディアーナの想い
ディアーナの本心と、そしていよいよ婚約準備が近づいてきたぞ、ということがわかる回です。
ちなみに、このお話のなかで、ディアーナにお友達がすくないことが書かれているのですが、これは後に、マリアとディアーナがお友達、家族のような関係になる理由の一つです。
同性で、かつマリアのようなタイプの人と一緒にいれば、自然とディアーナもほだされてしまう、という感じです。(笑)
また、ディアーナがここで婚約者の誰もピンとこない、と言っているのですが、実はこの時、シャルルが辞退して、次の婚約者候補を選んでいる最中だったので、ディアーナはエトワールのことを知りませんでした。
そして最後に、マリアが調香の教育を受けたことも、ここで書かれていますが、こちらは、前のお話第三十三話「決断」の最後につながっています。
*第三十五話 予期せぬサプライズ
リンネと洋裁店に訪れる話になっています。
ガーデン・パレス編で、何度かリンネとは洋裁店に行こう、とか、また遊ぼう、とお約束していましたので、その伏線(?)回収になっています。
ここのタイトル、リンネにとってはミュシャに会える、というサプライズで、ミュシャとマリアの両親にとっては、突然マリアが返ってきた、というサプライズだったりします。
ちなみに、この後のマリアが王城勤めになった、ということもある意味このタイトルに続いているところもありますね。
ちなみに、最初はミュシャもつっけんどんな感じでしたが、なんだかんだリンネに服を選んであげたりと、少しだけこの回で距離が縮まっている感じが伝わればいいな、と思います。
*第三十六話 ワンピース
マリアが王城勤めになったことが判明する回ですね。
第三十話「王妃様からの手紙」でお礼として贈られてきたワンピースの伏線にもなっています。
ワンピースに合わせる靴とカバンは、それぞれこの後の二話(第三十七話「ミュシャの靴」と第三十八話「城下町」)で出てきますが、どちらも、ミュシャのデザイナーとしての実力だったり、ミュシャのお話を少しここで掘り下げたりしたいと思っていたので(この後の収穫祭編に備えて……)こういう形になりました。
*第三十七話 ミュシャの靴
ミュシャが、父親から譲り受けた(ある意味母親の形見的な)靴をマリアに贈る回。
事実上の、ミュシャのプロポーズ回かもしれません……。今考えると、ですが……。
ミュシャの家族のことだったり、ミュシャのマリアへの気持ち、みたいなものがぎゅっと詰まっている大事な回になっていて、個人的には印象深い回になりました。
最後の方で、ミュシャがこの思いを伝えられる日がくるんだろうか、と思っているんですが、こちらは、収穫祭編のミュシャの告白の伏線になっています。
*第三十八話 城下町
マリアとミュシャが、カバンを買うために城下町へ訪れるお話です。
城下町は、一応これから先何度も出てくる町なので、ここでしっかりめに書いています。騎士団の本拠地があったりとか、いろんなお店(街の広場は露店ですが、こちらはお店ですね)があったりとか、細かく記載しているので、ぜひぜひそちらも楽しんでいただけましたら幸いです。
ここで最後にケイとマリアが再び遭遇するのですが、ミュシャの独立編のための仕込みとして、ミュシャとの接点をどうしても後々のために作っておきたかったので(一応、洋裁店にケイも何度か訪れている描写があるので、この時点でケイと面識がないわけではないのですが)ここで登場していただきました。
ちなみに、こういうところどころで出てくるケイは、マリアとの運命を感じさせる要素と、ミュシャの背中を押すための(早くしないと取られるぞ、という感じですね)仕込みだったりもします。




