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キャラ紹介・設定・番外編 等  作者: 安井優
本編裏話・伏線解説(ネタバレ含む)
57/88

第二章 ガーデン・パレス編 裏話2

毒にも薬にもならない、お話の裏話や伏線解説です。

ガーデン・パレス編の第二十一話「前進」~第二十九話「調香師の役割」までをここでは少し裏話を踏まえつつ、お話します。


※ネタバレを含みます。

ネタバレが大丈夫だよ! という方、すでに完結まで読んだよ! という方はこちらを読むと、よりお話が楽しめるかな、と思います。

*第二十一話 前進

 桜を「塩漬け」にすると香りがたつ、という仕組みに気づいた回です。

 かなり、タイトルに悩んだ記憶があります。(どうでもいい裏話)


 一応、この回は、リンネがサラダにドレッシングではなく、塩をかけて食べる、というお話から、第十七話「香りの正体」の伏線回収をしています。

 ちなみに、サラダにお塩をかけて食べる人なんているの!? 無理やりな流れだな、と思われた方が多くいらっしゃるかも、と不安なのですが、実際に私がお塩かけてお野菜食べるのが好きなので、こればっかりはご容赦ください……。(笑)


 そして、このお話の中で、後半に二日の時間経過が示されていますが、この二日は、桜を塩漬けしている時間です。実際、桜の塩漬けも最低二日程度はお塩につけるみたいなので、それを参考にしました。

 実際は、もっと漬けたかったところなのですが……日数換算というか、お話の中の時系列に合わなくなっていってしまうので、断念したという裏話があります。



*第二十二話 久しぶりの休息

 久しぶりにシャルルさんの登場回ですね。

 後半は、リンネと二人でお休みを楽しむ回になります。


 ここは、もう、言わずもがな……というか……次の第二十三話「運命の出会い」のためのお話になります。

 チェリーブロッサムの香りを完成させるため、どうしてもトンカビーンズを出したかったので、こういう形でマリアに休息をとっていただくことにしました。(ちなみに、この時点でマリアはほとんど徹夜に近い状態でぶっ通し、という感じです)


 後半のお出かけでは、リンネがおしゃれ好きで、ミュシャのお洋服が好きなことが判明しますが……これは、後々かなり大事な設定なので、早めにここで伏線として描写しました。



*第二十三話 運命の出会い

 マリアがトンカビーンズに出会う運命の回!


 マリアは、普段あまり運命だのなんだの、という言葉を使わないのですが、ここの回だけは唯一自分から「運命の出会い」とトンカビーンズに言っています。(ちなみに、相手が人ではなく、物だから、という理由もありますが)マリアにとっては衝撃的であり、まさに、王妃様の調香依頼にはかかせない大切な香りでした。


 最後、リンネがマリアに「ガーデン・パレスにいてほしい」とお願いをしますが、マリアがこれにあえて触れないのは、残れない、ということをわかっているから、ということと、自分には「パルフ・メリエ」という帰るべき場所があるから、ということがあります。

 マリアの比較的リアリストな部分と、相手への配慮の二つを表せたら、と思い、最後はああいう形になりました。



*第二十四話 マリアのチェリーブロッサムノート

 チェリーブロッサムの香りを完成させる回です!


 かなりしっかりめな調香回でもあり、一応、ノート(香りの速度)についても記載していますが、結構な地の文なので、皆様、読むのが大変だったんじゃないかな、と今更ながらに思う回でもあります。(反省しております)

 第十八話「材料集め」のチェリーを伏線回収している回でもありますね。


 ここの調香回では、マリアが、いかに忠実に「桜」の香りを再現しようとしているか、というところに重きを置いて書いています。

(実は、何度か出てくる調香回でも、重きを置いている部分が違っているのですが……こちらについては、都度都度、裏話の方でお話できれば、と思います)


 ここでは、王妃様が感じた「桜」の香りを再現するために、異国情緒、ときめき、などの感情的なイメージを踏まえつつも、どちらかというと「香り」自体のバランスや再現度を優先しています。

 香油も作っていますが、実はこれ……この後、第二十六話「王女ディアーナ」でディアーナに渡すためです! マリアが、自分の分にしよう、とここでは言っていますが、二十六話への伏線になっていました。

 当然、王妃様の分として「香水」を渡しているので、マリアの手元には残りませんでした。(苦笑)


 リンネへの香り作りを最後にしていますが、こちらは、この次の第二十五話「友達」で渡しています♪



*第二十五話 友達

 チェリーブロッサムの香りのお披露目回です!


 前回で作り終えてるんじゃないの? と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、一応、この後微調整をしたり、アルコールとなじませるのに三日ほど時間がかかったり、といろいろあるので、そういう意味で、改めてこの回を設けました。


 裏話としては……少ししか、描写していないのですが、食堂でどんちゃん騒ぎを始める、というところが、後のクレプス・コーロ編で「収穫祭の時にちょっとしたボヤ騒ぎがあって」のところへの伏線になっています。

 とにかく、どんちゃん騒ぎが好きな研究員たちが、お酒の失敗をするのも無理はないかな、という感じですね。(苦笑)


 そして、リンネへの香りは、言わずもがな、前のお話の最後で作ったものです。ちなみに、ここでリンネのイメージとしてあげた香りは、後ほど収穫祭編で、マリアが作ったアロマキャンドルにも使われていますので、探してみてください!



*第二十六話 王女ディアーナ

 王城編へのつなぎの回であり、ディアーナ登場回でもあります。


 登場したばかりのディアーナはつっけんどんな感じですが、これは、あくまでも王家の人間として、振舞わなければならない、というディアーナの子供ながらの背伸びです。

 ちなみに、どうしてディアーナがガーデン・パレスへ来たのか、ということについての補足は、番外編 第二十五・五話「王女様のわがまま」にて書いておりますので、ぜひ。


 ここでは、ケイが初めてマリアの調香師としての実力を感じる場面でもありますが、「香り」に興味のなかったケイが感動しているので、マリアの腕の良さ、みたいなものをそこから感じていただければ嬉しいな、と思い、あえてケイに確認していただきました。



*第二十七話 最後の日

 マリアがガーデン・パレスからお別れする回ですね。

 ある意味、ガーデン・パレス編の事実上の最終話です。(この後のお話は、王城編へのつなぎと閑話休題の意味が大きいので……)


 お迎えにきてくれた騎士団の男は、最初にマリアをガーデン・パレスへと送ってくれた方ですが、相変わらずシャルルの憎い采配です。(笑)


 そして、最後にリンネの回想によって、タイトルにもなっている「調香師は時を売る」のフレーズが出てきます。

 ここでようやく、本編のキーワードみたいな感じで、説明することができました。

 二人のお別れを寂しいものにするのではなくて、できれば、また会おうね、というポジティブな感じで締めくくりたかったので……タイトルと一緒に、香りのもつ力、みたいなものを感じていただけるよう、考えた記憶があります。


 少しでも、文字から、そんな香りのもつ素敵な力を、感じとっていただけていたら幸いです。



*第二十八話 ケイの看病

 タイトル通り、風邪をひいたマリアをケイが看病する回です。

 安直なタイトルは、内容を思い出させるのにはいいのかもしれません。(苦笑)


 一応、王城編へのつなぎを兼ねた閑話休題的な内容なのですが、王妃様からの謝礼を、というシャルルの言葉があり、ケイもそんなわけで高級そうなトランクケースを持ってきているので……マリアの調香は気に入ってもらえた、ということがここでわかるようにはなっています。


 また、この次の第二十九話「調香師の役割」で、薬と調香の関係について早めに話しておきたかった(クリスティ編の伏線ですね)ということもあり、ケイに薬を探してもらっていたり、ケイとマリアの関係を少し進めたかったので、最後にはちょっと大胆な(?)マリアを描写していたり、と細かく後々のお話の伏線をちりばめています。



*第二十九話 調香師の役割

 二章の最後のお話にして、調香と薬の関係を少し話している回になります。


 王妃様の謝礼を渡して、王城編へのつなぎをしているのですが、それと同時に、クリスティ編への伏線にもなっている回です。(マリアのセリフ「調香師の力では、助けたくても助けられない」というのは、まさに今後のことを表しています)


 とんでもなく分かりにくい伏線を一つ、せっかくなので、お蔵出しすると……。

 最後の文章に「一番星が輝き始めたころ」という表現を使っているのですが、これは、次の王城編でキーマンとなる騎士団の青年、エトワールの登場を暗示しています。(詳しくは、キャラクター裏紹介をご覧ください)



 二章は全体を通して、次の王城編(個人的に、お話全体を通して一つ目の大きな山場として設定した部分)につながるための章で、もりだくさんな感じになりました。

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