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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
14 家族旅行篇
463/4299

14-14 我が儘兄妹

 2014/05/28 20時20分

 内容に少々無理な展開があったため、一部変更しました。

(改)が今回直した文章で、(元)がこれまでの文章です。

 どこを直したかはネタバレになるので後書きの方に簡単に書いておきます。


 ご迷惑をおかけしました。

(改)

「ん? ……おお、これは? 意匠は異なるが、おそらく同じ職人の作だな!」

「でしょう?」

「……あの」

 2人で話し始めてしまった青年とベアトリクス。

 青年も金髪にみどりの瞳。『兄様』と呼んでいたことから兄妹だろうか、とエルザは思った。

 それよりも今は仁からもらったナイフである。

「……あの、そろそろ返して、いただけませんか?」

 おずおずと遠慮がちにエルザが青年に話しかけた。

 するとその青年はエルザを見て驚いた顔をする。

「ん? ……おお、美しいお嬢さん、お名前は? 僕はアルベール・ベルタン・ド・シリカナイトと申します」

「エ、エル、ザ」

 いきなりのことに狼狽しながらも律儀に名乗るエルザ。

「エルザ、か。いい名だ。ショウロ皇国風ですね」

 アルベールはそんなエルザの左手を取り、その甲に口付けをした。

「な、なに、するの」

 驚いたエルザは反射的に手を引っ込めた。ショウロ皇国には女性の手の甲に口付けをする習慣はない。

 ラインハルトに付いて他国を巡った経験上、そういう習慣にも接してはいたが、今回のそれは生理的嫌悪感を伴っていた。

 アルベールの唇が触れた手の甲に、ナメクジが這ったように嫌な感触が残っている。だがアルベールは悪びれる素振りもない。

「これはこれは、初心うぶなお嬢さんだ。貴族の習慣に慣れておられないのかな? でも大丈夫。僕が少しずつ教えていってあげよう」

 エルザを捕まえようと手を伸ばす、その手をエドガーがやんわりと押し止めた。

「失礼。これ以上ご主人様を煩わせないで下さいませんか?」

 アルベールは一瞬、きょとん、とした顔をしたが、次の瞬間には歪んだ笑みを浮かべた。口調もがらりと変わる。

「ふん、生意気にも自動人形(オートマタ)を所持しているようだが、庶民の娘に選択権があるとでも? 王位継承権13位の僕が可愛がってやろうと言うんだ、光栄に思うがいい」

「それはあなたの主観です。私のご主人様はそれを望んでおりません」

「ふふん、そんなことは関係ない。この僕が望んだ、それがすべてだ!」

 アルベールが左手を挙げた。

 それに呼応して、武装した兵が現れる。その数、10人。

「ごらん。僕の護衛たちだ。ベアト、エルザ嬢を連れ帰る。短剣のことはそれからゆっくり問いただそう」

 ベアトリクスは溜め息を吐いた。

「兄様のお好きなように」

 彼女の隣にも、いつの間にか8人の護衛と1人の少年が現れていた。

「さあエルザ、おいで。今なら乱暴なことはしないで済む」


「……アルベール様、こんな無法がまかり通ると思っていらっしゃるのですか?」

 展開に付いていけなかったステアリーナも我に返り、一歩進み出てアルベールに苦言を呈した。

「ふん? えーと、誰だったかな? 年増は覚える気が無くてね。……ああ、思い出した。ステアなんとかと言ったか。魔法工作士(マギクラフトマン)風情が僕に意見かい?」

「み、身分は関係ありません。無法は無法、それだけですわ」

 その言葉をアルベールは鼻で笑い飛ばした。

「ふふん、無法だって? どこが? ……僕は、気に入った女性を歓待してあげようというのだよ? 僕の傍に侍ることができるなんてこの上ない名誉じゃないか?」

「ですから、それは貴方様の主観です。それを嫌がる女性も大勢いるのですよ」

「それこそ余計な事だ。この街は我が父の領地、そして僕は嫡男。父のものは僕のもの、いただいて何が悪い?」

 話が通じていない。噂に聞く『我が儘公子』とはこれほどの愚か者だったのか、とステアリーナはうんざりした。

「さて、戯れ言を聞くのにも飽きた。エルザ、来い」

「……いや、です」

「ほう? そうなると、少々手荒なことをしなくてはならなくなるよ?」

 アルベールの言葉に合わせて、護衛の1人が進み出た。


「ご主人様、もっとお下がりください」

 エドガーはエルザを庇うように立つ。

隠密機動部隊(SP)のお二方はご主人様をお守り下さい。そしてバリアを」

 姿を見せずにエルザを守っている隠密機動部隊(SP)、マロンとプラムに一声掛け、エドガーは武装した護衛達の前に立ち塞がった。

 その言葉を受け、マロンとプラムはエルザの両脇に姿を現す。

「ん? まだ護衛を付けていたのか? ふん、ただの庶民ではないというわけか。面白い。連れ帰ってゆっくりと尋問してやろう」

 アルベールは狂気とも言える笑みを浮かべた。

「生意気にお前も自動人形(オートマタ)を連れているようだが、僕の護衛も全部自動人形(オートマタ)なんだよ」

 セルロア王国は小群国では最も技術的に進んでいる。その最たるものが自動人形(オートマタ)・ゴーレム技術。

 かつて統一党(ユニファイラー)に属していた筆頭魔法工作士(マギクラフトマン)、ドナルド・カロー・アルファの教えを受けた者も数多くおり、統一党(ユニファイラー)が無くなった今でも、その技術は残っているのだ。

「それも、特別製だ! まずは、その小賢しい自動人形(オートマタ)を破壊してくれよう」

 アルベールが顎をしゃくると、護衛自動人形(オートマタ)はエドガーに襲いかかった。

 街中のため、武装は左手に小さなバックラー、腰にショートソードという軽武装とはいえ、丸腰のエドガーはいささか不利である。

 護衛はショートソードは抜かずに、まず盾でエドガーを殴りつけようと左手を振り抜いた。

 エドガーはそれを機敏に避け、振り抜いた左手が戻るところを捕まえ、身体ごと捻った。ショウロ皇国騎士の武技、『腕返し』である。

 人間に近い動作をする自動人形(オートマタ)は、関節の可動域も人間に近い。よって、人間相手の技は有効なのだ。

 手首と肘に大きな負荷が加わった自動人形(オートマタ)だが、『触覚』や『痛み』を感じることはない。ゆえに力任せに振り解こうと腕を引き寄せようとした。

 だが、捻られたままでその動作は悪手。肘関節に大きな負荷が掛かり、なんとか振り解けはしたものの、ダメージは大きい。左肩が半分外れた状態になってしまった。

 アルベールはただの我が儘公子というわけではないらしく、エドガーの戦い振りを見て、瞬時にその危険性を察した。

「4体で掛かれ」

 更に3体の自動人形(オートマタ)がエドガーに襲いかかった。前後左右から殴りかかる。

 ショウロ皇国では、エルザの父ゲオルグが所持する人形兵2体を手玉に取ったエドガーであるが、この護衛自動人形(オートマタ)はそれらとは格が違っていた。

 2体の攻撃はかわしたエドガーであったが、3体目の攻撃が右肩を掠めた。その衝撃で僅かに体勢が崩れ、ギリギリで躱せたはずの4体目からの攻撃を背中に喰らってしまう。

「エドガー!」

 エルザの叫び。

 前によろけたエドガーの顔面を、護衛自動人形(オートマタ)が蹴り上げる。後方にのけ反ったその後頭部を、背後にいた護衛自動人形(オートマタ)が蹴り付けた。

 再び前方に倒れこむエドガーの顔面を狙って、蹴りが放たれる。

 だがその蹴り足を、エドガーは両手で抑えるように抱え込むと身体を半回転させ、背中で体当たり。

 しかし体重差がありすぎ、相手はよろけただけ。逆にエドガーを抱え込んでしまった。

 羽交い締めの形で拘束されるエドガー目掛け、もう1体の護衛自動人形(オートマタ)が右拳を振り上げ、襲いかかる。

「エドガー、危ない!」

 が、対するエドガーは、両脚で地面を蹴り、その両脚を抱えるように縮め、水平に蹴り出した。

 当然、襲いかかった護衛自動人形(オートマタ)に蹴りが命中。反動で、エドガーを拘束していた護衛自動人形(オートマタ)は後方に倒れる事になる。

 弾けるように倒れた2体の護衛自動人形(オートマタ)。エドガーは身体を捩って拘束を振り解いた。

 が、残った2体の護衛自動人形(オートマタ)はついにショートソードを抜いた。

「そ、そこまでするのかい!?」

 呆気にとられて見ていたサキだったが、ようやく再起動した。エルザには2体の隠密機動部隊(SP)が付いているから当面は心配ない。ならば。

「アアル、エドガーに加勢するんだ!」

 その声に反応したのはベアトリクス。

「あら、加勢するの? なら私も」

 ベアトリクスも自分の護衛自動人形(オートマタ)4体を動かしたのである。

 エドガーに比べ、アアルの性能はやや劣る。8体の護衛自動人形(オートマタ)対エドガー・アアル。勝敗は目に見えているかに見えた。


「くうう! ジン! 早く来てくれ!」

 既に周囲にいた人々は逃げ去り、商店もいつのまにか扉を閉めていた。そんな中、走ってくる人影が3つ。

「……みんな、無事か?」

 仁とハンナ、礼子である。

「ジン、兄……」

「ジン! 良かった……」

「ジン君……」

 エルザは仁に駆け寄り、サキとステアリーナはほっと息を吐いた。

「ん? 何だ、あいつは? ……一時停止だ!」

 突然の闖入者に、我が儘兄妹も一時休戦とばかりに停止の指示を出し、配下の護衛自動人形(オートマタ)は動きを止めた。

「話は礼子経由で聞いた。なんか大変だったみたいだな?」

 隠密機動部隊(SP)が内蔵した魔素通信機(マナカム)を使い老君に連絡し、更に老君は礼子に伝えていたのだ。

 それを聞いて仁たちは急いで戻って来たのであった。

 明らかにダメージを受けているエドガーの様子を見てその顔色が変わった。

「……エドガー? 奴等と戦っているのか?」

「そうなんだよ、ジン! あいつ、エルザを連れ去ろうとして、それを拒んだら無理矢理!」

「わかってる」

 仁は、縋るように後ろに隠れたエルザを見、次いでアルベールを見た。そしてベアトリクスが手にしているエルザのナイフも。

「礼子、とりあえずナイフを取り返してきてくれ」

「はい、お父さま」

 その言葉を聞いたベアトリクスが反応する暇も与えず、礼子は瞬時にそのナイフを奪い、仁の横へと戻って来た。

「ご苦労さん。……エルザ、もう盗られるなよ? ……バリア」

 手の中のナイフがいつの間にか消え、仁の手に渡っていることに気が付いたベアトリクスが、魔法を放ってきたのである。

「『火の弾丸(ファイアバレット)』!」

 だが、その魔法は、すべて仁とエルザの手前で防がれ、一つとして届くことはなかった。

「……何だっていうんだよ? いきなり火魔法を撃ってくるなんて!」

 仁の言葉を聞いたベアトリクスは、ふん、と笑った。

「私のナイフを盗んだからよ!」

 仁は呆れた。

「……おいおい、これはエルザのナイフだぞ? 泥棒はそっちじゃないか」

「何ですって! この私に向かって泥棒とは! 覚悟なさい!」

「……なあ、こいつって、ひょっとして頭がおかしいのか?」

 まったく話が通じていない。そばにいたステアリーナに仁が尋ねる。彼女は首を振って残念そうに答えた。

「まあ、彼女たちはちょっと特別かもしれないわね……」



(元)

「ん? ……おお、これは? 意匠は異なるが、おそらく同じ職人の作だな!」

「でしょう?」

「……あの」

 2人で話し始めてしまった青年とベアトリクス。

 青年も金髪にみどりの瞳。『兄様』と呼んでいたことから兄妹だろうか、とエルザは思った。

 それよりも今は仁に作ってもらったナイフである。

「……あの、そろそろ返して、いただけませんか?」

 おずおずと遠慮がちにエルザが青年に話しかけた。

 するとその青年はエルザを見て驚いた顔をする。

「ん? ……おお、美しいお嬢さん、お名前は? 僕はアルベール・ベルタン・ド・シリカナイトと申します」

「エ、エル、ザ」

 いきなりのことに狼狽しながらも律儀に名乗るエルザ。

「エルザ、か。いい名だ。ショウロ皇国風ですね」

 アルベールはそんなエルザの左手を取り、その背に口付けをした。

「な、なに、するの」

 驚いたエルザは反射的に手を引っ込めた。ショウロ皇国には女性の手の甲に口付けをする習慣はない。

 初めての経験にエルザは身震いをした。アルベールの唇が触れた手の甲に、ナメクジが這ったように嫌な感触が残っている。だがアルベールは悪びれる素振りもない。

「これはこれは、初心うぶなお嬢さんだ。貴族の習慣に慣れておられないのかな? でも大丈夫。僕が少しずつ教えていってあげよう」

 エルザを捕まえようと手を伸ばす、その手をエドガーがやんわりと押し止めた。

「失礼。これ以上ご主人様を煩わせないで下さいませんか?」

 アルベールは一瞬、きょとん、とした顔をしたが、次の瞬間には歪んだ笑みを浮かべた。口調もがらりと変わる。

「ふん、生意気にも自動人形(オートマタ)を所持しているようだが、庶民の娘に選択権があるとでも? 王位継承権13位の僕が可愛がってやろうと言うんだ、光栄に思うがいい」

「それはあなたの主観です。私のご主人様はそれを望んでおりません」

「ふふん、そんなことは関係ない。この僕が望んだ、それがすべてだ!」

 アルベールが左手を挙げた。

 それに呼応して、武装した兵が現れる。その数、10人。

「ごらん。僕の護衛たちだ。ベアト、エルザ嬢を連れ帰る。短剣のことはそれからゆっくり問いただそう」

 ベアトリクスは溜め息を吐いた。

「兄様のお好きなように」

 彼女の隣にも、いつの間にか8人の護衛と1人の少年が現れていた。

「さあエルザ、おいで。今なら乱暴なことはしないで済む」

「……アルベール様、こんな無法がまかり通ると思っていらっしゃるのですか?」

 展開に付いていけなかったステアリーナも我に帰り、一歩進み出てアルベールに苦言を呈した。

「ふん? えーと、誰だったかな? 年増は覚える気が無くてね。……ああ、思い出した。ステアなんとかと言ったか。魔法工作士(マギクラフトマン)風情が僕に意見かい?」

「み、身分は関係ありません。無法は無法、それだけですわ」

 その言葉をアルベールは鼻で笑い飛ばした。

「ふふん、無法だって? どこが? ……僕は、気に入った女性を歓待してあげようというのだよ? 僕の傍に侍ることができるなんてこの上ない名誉じゃないか?」

「ですから、それは貴方様の主観です。それを嫌がる女性も大勢いるのですよ」

「それこそ余計な事だ。この街は我が父の領地、そして僕は嫡男。父のものは僕のもの、いただいて何が悪い?」

 話が通じていない。噂に聞く『我が儘公子』とはこれほどの愚か者だったのか、とステアリーナはうんざりした。

「さて、戯れ言を聞くのにも飽きた。エルザ、来い」

「……いや、です」

「ほう? そうなると、少々手荒なことをしなくてはならなくなるよ?」

 アルベールの言葉に合わせて、護衛の1人が進み出た。

「お前も自動人形(オートマタ)を連れているようだが、僕の護衛も全部自動人形(オートマタ)なんだよ」

 セルロア王国は小群国では最も文化的に進んでいる。その最たるものが自動人形(オートマタ)・ゴーレム技術。

 かつて統一党(ユニファイラー)に属していた筆頭魔法工作士(マギクラフトマン)、ドナルド・カロー・アルファの教えを受けた者も数多くおり、統一党(ユニファイラー)が無くなった今でも、その技術は残っているのだ。

「まずは、その小賢しい自動人形(オートマタ)を破壊してくれよう」

 アルベールが顎をしゃくると、護衛自動人形(オートマタ)はエドガーに襲いかかった。

 街中のため、武装は左手に小さなバックラー、右手にショートソードという軽武装とはいえ、丸腰のエドガーはいささか不利である。

 護衛はショートソードは抜かずに、まず盾でエドガーを殴りつけようと左手を振り抜いた。

 エドガーはそれを機敏に避け、振り抜いた左手が戻るところを捕まえ、身体ごと捻った。ショウロ皇国騎士の武技、『腕返し』である。

 人間に近い動作をする自動人形(オートマタ)は、関節の可動域も人間に近い。よって、人間相手の技は有効なのだ。

 手首と肘に大きな負荷が加わった自動人形(オートマタ)だが、『触覚』や『痛み』を感じることはない。ゆえに力任せに振り解こうと腕を引き寄せようとした。

 だが、捻られたままでその動作は悪手。肘関節に大きな負荷が掛かり、なんとか振り解けはしたものの、ダメージは大きい。左肩が半分外れた状態になってしまった。

 アルベールはただの我が儘公子というわけではないらしく、エドガーの戦い振りを見て、瞬時にその危険性を察した。

「4体で掛かれ」

 更に3体の自動人形(オートマタ)がエドガーに襲いかかった。前後左右から殴りかかる。

 ショウロ皇国では、エルザの父ゲオルグが所持する人形兵2体を手玉に取ったエドガーであるが、この護衛自動人形(オートマタ)はそれらとは格が違っていた。

 さすがにエドガーといえども4体同時には捌ききれず、背中に盾での一撃を喰らってしまう。

「エドガー!」

 エルザの叫び。

 前によろけたエドガーの顔面を、護衛自動人形(オートマタ)が蹴り上げる。後方にのけ反ったその後頭部を、背後にいた護衛自動人形(オートマタ)が蹴り付けた。

 再び前方に倒れこむエドガーの顔面を狙って、蹴りが放たれる。

 だがその蹴り足を、エドガーは両手で抑えるように抱え込むと身体を半回転させ、背中で体当たり。

 しかし体重差がありすぎ、相手はよろけただけ。逆にエドガーを抱え込んでしまった。

 羽交い締めの形で拘束されるエドガー目掛け、もう1体の護衛自動人形(オートマタ)が右拳を振り上げ、襲いかかる。

「エドガー、危ない!」

 が、対するエドガーは、両脚で地面を蹴り、その両脚を抱えるように縮め、水平に蹴り出した。

 当然、襲いかかった護衛自動人形(オートマタ)に蹴りが命中。反動で、エドガーを拘束していた護衛自動人形(オートマタ)は後方に倒れる事になる。

 弾けるように倒れた2体の護衛自動人形(オートマタ)。エドガーは身体を捩って拘束を振り解いた。

 が、残った2体の護衛自動人形(オートマタ)はついにショートソードを抜いた。

「そ、そこまでするのかい!?」

 呆気にとられて見ていたサキだったが、ようやく再起動した。

「アアル、エドガーに加勢するんだ!」

 その声に反応したのはベアトリクス。

「あら、加勢するの? なら私も」

 ベアトリクスも自分の護衛自動人形(オートマタ)4体を動かしたのである。

 エドガーに比べ、アアルの性能はやや劣る。8体の護衛自動人形(オートマタ)対エドガー・アアル。勝敗は目に見えているかに見えた。

 今回、こっそりゴゥアを訪問するということで、隠密機動部隊(SP)を連れてこなかったのが完全に裏目にでた。

 まさかこんな騒動に巻き込まれるとは誰も想像していなかったのだ。

「くうう! ジン! 早く来てくれ!」

 既に周囲にいた人々は逃げ去り、商店もいつのまにか扉を閉めていた。そんな中、歩いてくる人影が3つ。

「……何がどうなっているんだ?」

 仁とハンナ、礼子である。

「ジン、兄……」

「ジン! 良かった……」

「ジン君……」

 エルザは仁に駆け寄り、サキとステアリーナはほっと息を吐いた。

「ん? 何だ、あいつは? ……一時停止だ!」

 突然の闖入者に、我が儘兄妹も一時休戦とばかりに停止の指示を出し、配下の護衛自動人形(オートマタ)は動きを止めた。

「いったい、どうしたっていうんだ?」

 一方、事情がわからず面食らう仁。だが、明らかにダメージを受けているエドガーの様子を見てその顔色が変わった。

「……エドガー? 奴等と戦っているのか?」

「そうなんだよ、ジン! あいつ、エルザを連れ去ろうとして、それを拒んだら無理矢理!」

「え?」

 仁は、縋るように後ろに隠れたエルザを見、次いでアルベールを見た。そしてベアトリクスが手にしているエルザのナイフも。

「礼子、とりあえずナイフを取り返してきてくれ」

「はい、お父さま」

 その言葉を聞いたベアトリクスが反応する暇も与えず、礼子は瞬時にそのナイフを奪い、仁の横へと戻って来た。

「ご苦労さん。……エルザ、もう盗られるなよ? ……バリア」

 手の中のナイフがいつの間にか消え、仁たちの手に渡っていることに気が付いたベアトリクスが、魔法を放ってきたのである。

「『火の弾丸(ファイアバレット)』!」

 だが、その魔法は、すべて仁とエルザの手前で防がれ、一つとして届くことはなかった。

「……何だっていうんだよ? いきなり火魔法を撃ってくるなんて!」

 仁の言葉を聞いたベアトリクスは、ふん、と笑った。

「私のナイフを盗んだからよ!」

 仁は呆れた。

「……おいおい、これはエルザのナイフだぞ? 泥棒はそっちじゃないか」

「何ですって! この私に向かって泥棒とは! 覚悟なさい!」

「……なあ、こいつって、ひょっとして頭がおかしいのか?」

 まったく話が通じていない。そばにいたステアリーナに仁が尋ねる。彼女は首を振って残念そうに答えた。

「まあ、彼女たちはちょっと特別かもしれないわね……」

 ジャイアニズム……w

 独裁に近いと一部の人間だけが大きな権力を持ち、我が儘になるようです。他にも理由があるかも?


 お読みいただきありがとうございます。


 20140528 13時11分 誤記修正

(誤)と仁は思った。  それよりも今はエルザのナイフである

(正)とエルザは思った。  それよりも今は仁に作ってもらったナイフである


 20140528 13時50分 表記修正

(旧)ー

(新) 今回、こっそりゴゥアを訪問するということで、隠密機動部隊(SP)を連れてこなかったのが完全に裏目にでた。

 まさかこんな騒動に巻き込まれるとは誰も想像していなかったのだ。


 を、「8体の護衛自動人形(オートマタ)対エドガー・アアル。勝敗は目に見えているかに見えた。」の後に追加。

 面目次第もないことです。隠密機動部隊(SP)の事失念してました。m(_ _)m


 20140528 20時20分

 内容を修正しました。

 SPに関しての記述を大幅に変更、エルザの警護に当たらせました。

 同時に、SPから礼子経由で仁に連絡がいっているということに。

 ご迷惑をおかけしまして申し訳ないと反省しております。


        21時54分 誤記修正

(誤)左手を取り、背に

(正)左手を取り、その甲に


(誤)右手にショートソード

(正)腰にショートソード


(誤)背中喰らってしまう。

(正)背中に喰らってしまう。


 20140529 11時56分 表記修正

(旧)セルロア王国は小群国では最も文化的に

(新)セルロア王国は小群国では最も技術的に


 20140529 15時48分 表記修正

(旧)ショウロ皇国には女性の手の甲に口付けをする習慣はない。 初めての経験にエルザは身震いをした。

(新)ショウロ皇国には女性の手の甲に口付けをする習慣はない。

 ラインハルトに付いて他国を巡った経験上、そういう習慣にも接してはいたが、今回のそれは生理的嫌悪感を伴っていた。

 06-44でアーネスト王子がやってました……orz


 20160310 修正

(誤)展開に付いていけなかったステアリーナも我に帰り

(正)展開に付いていけなかったステアリーナも我に返り

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― 新着の感想 ―
んーこれは一旦誘拐して記憶消去してから洗脳しましょう!
[気になる点] 途中から同じ文面が張り付けられているのはなんでしょか?
[気になる点] 何で、そもそも短剣だっけ?売られてるの?あの時駆けつけたのラインハルトだっけ?普通、回収しとくよね?
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