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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
01 カイナ村篇(3456年)
22/4299

01-09 ハンナは力持ち?

 まことに申し訳ないことですが、話の中に出て来た魔法についての設定を変えたため、一部文章を書き換えました。

 それで(新)(旧)として、明記しておきます。

 尚、ストーリー展開には一切影響ないのでご安心下さい。


 どこをどう直したかは本文を御覧頂くか、後書きの末尾で。


 ではご迷惑をおかけしますがどうぞよろしく。  作者拝

 まだ暑さの残る9月、ローランドがやってきた。コンロを見たローランドとエリックは、

「……もう驚き疲れました」

「ジンさんが王都の主席王国魔法工作士だと言われても信じそうです」

 などと、そんな呟きを漏らしながらも、コンロの製法を仁から買い取ると共に、魔石の買い取りも引き受けてくれた。これでカイナ村には小麦粉に続いて外貨獲得の手段ができたわけである。

「それでですね」

 更に仁が言いかけると、まだ何かあるのかと、疲れたような目を向けてきたので、

「いえ、ローランドさんの馬車というか荷車を見せていただこうと思いまして」

 と言うとローランドは怪訝そうな顔をした。

「荷車をですか? またどうして?」

 当然の疑問ではある。

「荷車がもっと軽く動かせるようにならないかと思いまして」

 と、仁が考えていたことを言うと、

「荷物を減らせばそりゃあ軽くなりますよ、でもそうしたら運べる商品が減ってしまい、儲けが出なくなってしまいます」

 とローランドが言う。だが仁が言いたいのはそういうことではない。

「いえいえ、そういうことではなくてですね、車輪が軽く回るように改造をですね」

 と説明するが、2人ともぴんと来ないようなので、論より証拠と、仁は2人をマーサの家へと連れて行った。

「あれ? おにーちゃんと、おみせやのおじちゃん、どうしたの?」

 マーサはいなかったが、留守番のハンナがいたので仁はちょうどいいと、

「うん、ちょっとハンナのリヤカーを見せてあげようと思ってね」

 とハンナに告げた。

「あたしのリヤカー? うん、いいよ。すぐもってくるね!」

 そう言ってハンナは納屋へと向かい、すぐにリヤカーを牽いて戻ってきた。片手で引いて、なおかつ走りながら。その様子を見たローランドとエリックはびっくりする。

「な、なんだかすごい眺めです……」

「あ、あんな小さいのに力持ちなんですね」

 2人とも顔が少し引き攣っているが、仁は笑いながら、

「まあ、ちょっと自分で引っぱってみてくださいよ」

 と言ってハンナのリヤカーを牽かせてみる。

「ん……? 何ですか、この軽さは!?」

 すぐに違いに気が付いたようだ。そこでベアリングとその効果を説明。また、車輪を空で回して見せ、それが長い時間回り続けているのを見れば、

「なるほど……ジンさんが言う意味がようやくわかりました。で、私どもの荷車もこれを備え付けていただけると?」

「ええ。どうです?」

「是非お願いしたいですね」

 それで早速荷車を運んできてもらい、車輪、車軸、ベアリングを交換。更にゴムタイヤも付けた。

「あの、ジンさん、この車輪に付いているものは?」

「ああ、ゴムタイヤですよ」

「ゴムタイヤ?」

「まあ、試しに乗ってみてください」

 空の荷車にローランドとエリックの2人を乗せ、仁が牽いてみせる。ボールベアリングの効果はすばらしく、力のない仁でも楽に牽くことができた。また、ゴムタイヤによる乗り心地の改善にも目を見張る。

「おにーちゃん、あたしにもやらせて」

 見ていたハンナが楽しそうに言うので替わってやると、

「あたし、ちからもち!」

 とか言いながら、2人が乗った荷車を楽しそうに牽いていた。

「あ、あはははははは……」

 ローランドとエリックの2人は完全に引いている。まあベアリングの効果なのだが。

 そんな一幕もあって、最終的にベアリングによる軽快化とゴムタイヤによる乗り心地の改善は理解してもらえた。

「いやあ、ジンさん、この改造はすごいですよ。本当に、お金はいらないんですか?」

「ええ、でもその代わり、この村へ来る回数を増やしていただきたいんです」

 それを聞いたローランドは商人の顔つきになって、

「なるほど、そのための先行投資というわけですね」

 と、仁の意図を正しく理解してくれた。

「ええ、まあ」

「でも納得の性能ですし、コンロが売れれば、魔石の買い付けも必要ですからね。わかりました、いきなり1ヵ月1回に増やすのは無理かもしれませんが、3ヵ月に2回は来られるよう努力しましょう」

 ということになり、仁は当初の目的は果たせた、と胸を撫で下ろした。が、今度はローランドの方から、

「ところでジンさん、あそこで子供たちが遊んでいる丸いもの、あれももしや……?」

 と、指差す方を見る仁。そこにいたのはドッジボールを投げ合っている子供たちだった。

「ええ、そうですよ。ボールっていって、タイヤと同じ材質でできています」

「うーむ、これも売っていただくというわけには?」

「あ、ああ、かまいませんよ」

 森の『お茶の木』からは結構な樹脂が取れることがわかったので使い道を模索していたところだ。

 そういうわけでゴムボールも売ることになった。製法については難しすぎるので今回は製品としてのゴムボールだけである。最初は野球ボール、手まり、ドッジボールそれぞれ50個。

 全ての商談が済むとエリックがそわそわし始めた。なんとなく理由を察した仁は、

「エルメ川へ行くと涼しいよ、一緒に行こう」

 とエリックを誘う。断り切れず、エリックは仁と共に川へと向かうが、川に着くとその顔が喜色に彩られた。

 というのもエルメ川では水着姿のバーバラが浮き輪を付けて川に浮かんでいたからだ。

「ジ、ジンさん、彼女がつかまっているあれは何ですか?」

「ああ、あれは浮き輪っていって、泳げない人でもあれを付けていれば浮いていられるんだよ」

 2人の会話が耳に入ったのか、エリックを見つけたバーバラが手を振ってきた。エリックはすぐにでも水に入りたそうな顔をしていたが水着を持っていない。そこで仁は、

「エリック、泳ぎたければあそこに小屋があるから、着替えてくれば?」

 そう言ってこっそり持ってきていた新しい水着を出して渡す仁。こうなるだろうと思って用意した物だ。

「あ、ありがとうございます!」

 それをひったくるように受け取ったエリックは着替え用の小屋目掛けてダッシュしていった。

 そうして日が傾くまで泳いだエリックとバーバラ。エリックは商品の整理を手伝わなかったこと、バーバラは家事そっちのけで遊びほうけていたことで、2人とも仲良く怒られていたのは余談である。

 もう夏も終わりというある日の1コマであった。

 ローランドが村を訪れる頻度の表記が間違っていたので修正しました。

 (誤)2箇月に3回を(正)3箇月に2回に。


 現代の自動車も人1人で押して動かせますからね。

 お読みいただきありがとうございます。



 20130909 10時50分

『軽量化」魔法はまだこの世界のはありません。少なくとも既知魔法には。

 理由として、重力を操る系があることにすると、空飛んでもおかしくないので、無いことに修正します。

 ご迷惑おかけします。


 20140506 20時45分 旧バージョンを消しました。


 20140506 表記修正

(旧)見せて上げよう

(新)見せてあげよう


 20160505 修正

(旧)1箇月1回/3箇月に2回

(新)1ヵ月1回/3ヵ月に2回


 20190831 修正

(誤)だが仁が言いたいのはそう言うことではない

(正)だが仁が言いたいのはそういうことではない。


 20200122 修正

(誤)まだ残暑の残る9月、ローランドがやってきた。

(正)まだ暑さの残る9月、ローランドがやってきた。

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