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第十九話:ガーデンパーティ

――黒石英の石畳が敷かれた外回廊に黒いクリスタルランプが並び、月明かりとともに辺りを照らす。

 招宴と言う名のガーデンパーティがはじまった。

 

 ビスチェタイプのドレスを着た私をエスコートする男装姿のケッティ。



「何か嫌な感じがするんだよ」

「視線がチクチクするのぉ」


 逆側に並ぶ中型犬程の大きさになったスコルとハティが訴えかけてくる。

 たしかに尖った視線が感じられる。


 警戒されているのか、怖がられているのか……



「少しの間だけ我慢してくれる?」


「頑張るぅ。じゃあ美味しそうなの食べてもいい~?」

「とってもいい匂いがするのぉ」


「もうちょっとだけ待ってね」


 そんな事を話していると、黒ベストに黒パンツ姿の黒猫執事が、分厚くカットされたグリル焼きの肉を皿に取り分け持ってきてくれた。


「こちら宜しければお食べになってください」

「ありがとう、助かるわ」



 外側はカリッと焦げ目がついて、内側はピンク色、柔らかそうな焼き加減。

 少し遠目に見ても力強いお肉の旨味が伝わってくる。


 スコルとハティが口を半開きにし、ゆだれを垂らしている。

 ハァハァ言いながら目で求めてきたので頷いてOKを出した。

 お腹が空いていたのか、肉の魅惑に我慢できなかったのか、激しい勢いでガツガツ食べている。


「この肉凄~く旨いんだよ!」

「美味しいのぉ」



 まわりを見渡せば私と幻獣二匹以外は全て猫耳。

 猫の国なのだから当然だが――――

 少し距離を置かれ注目はされているが誰も話しかけて来ない。


 そんな事を思っていると女王スカーサハが姿を見せた。

 一言挨拶し、私達に前へと手招きしてくる。


「ここに紹介したい者がいる。

 妾が認め地下迷宮(ダンジョン)へと入り、それがこのルシファーを筆頭とするパーティだ。

 そして昨日、この者達によって永きに渡り水晶に眠っていた蛇竜ヴィーヴィルが討伐された。」


「あの噂は本当だったのか――」

「まさか蛇竜を!?」


 女王の発言に周囲がざわめいた。



「ルシファーと申します。

 隣に並びますのはケッティ、スコル、ハティです。以後お見知りおき下さい」


「蛇竜ヴィーヴィルの討伐は伝承で語られて来た通りとなった。

 我らケット・シーは、これよりルシファーの目となり耳となり協力を誓おう」


 よく分からないが女王スカーサハが協力を誓ってくれた。

 友好的な関係を結べたのは嬉しい。


 その後、猫貴族達が女王へ挨拶に訪れ、女王自ら横に立つ私達を紹介してくれる。


「聞いたところではあのヴィーヴィルを瞬殺したとか――――」

「ルシファー様、お強いのですわねぇ」


 地下迷宮(ダンジョン)での様子や世間話を交えつつ、先程まであった壁は徐々に無くなっていった。

 そんな中で丈の長いローブを纏った♂猫が近づいて来る。


「ルシファー様、我輩シュトレールと申す。実は我輩、ディオニュソス様の遣い魔でして、お礼を申し上げたく参りました。

 <港町シパリラ>での事には大変感謝しております」


「シュトレール、久しいですニャ」

「これはケッティ殿。ご無沙汰しております。それで…………ディオニュソス様は御無事でありますか?」


「ああ、今は元気にしてるわね。プロエレフシの森に居るわよ」

「――それは良かった。後程詳しく伺わせて頂いても宜しいですか?」

「ええ、いらっしゃな」

「ありがとう御座います。他の方もいますゆえ今は御挨拶まで」


 シュトレールは真剣な表情で頭を下げ離れて行った。

 その後も女王スカーサハから様々な人物の紹介を受け、気が付けばかなりの時間が流れていた。

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