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第1話 学園

第1話更新です!今回の話数では殆ど設定等には触れませんので悪しからず。次話から少しづつ説明させて頂きます。

 精霊が生存数を減らしたファルニクス。

 『fairy・vanished・day』を境にファルニクスっ新暦に突入して早8年が経った。

 新精霊暦8年、旧精霊暦の精霊と人間たちの華やかな繁栄の時代は終わりを告げ過酷な時代になって早くも8年(・・)

 今までの様に生活や魔術に精霊たちの力を借りる事が難しくなった時代、生存の危機に立たされた精霊と人間の関係も色々変化してしまった。

 ファルニクスの大地を覆っていたマナが8年前に消失したが為に、精霊達は否応なく人間から錬成されるマナに頼らなければならなくなった。

 対価として差し出されていたマナの意味が大きく変わったのも新精霊暦になってからだ。

 今まで人間からお願されて(・・・・・)力を貸していた精霊たちが人間にお願して(・・・・)マナを錬成して貰っている。


「っと。ここまでの説明は何回もしてるだろう?そうだな……。私が授業をしているのに窓の外を眺めているスェル!君に少し質問をしてみよう。いや~、授業を無視して外を眺める余裕があるんだ、簡単だろう?」


 壇上に立つ麗しい女史、メロイック先生はあからさまな呆れ顔を浮かべ窓の外を眺めていた俺に声を掛けてきた。

 ここは王立精霊教導学園ジョルジアナ。

 人と契約を交わした精霊と契約者たち“精霊士”の学び舎の園……。

 で、今は授業中っと。

 メロイック先生に名指しされた俺は静かに教室の一番後ろの席から立ち上がる。

 俺の名はスェル。苗字は学園では登録して無いので、ここでは名前だけだ。

 いや、まぁ……諸事情により苗字は伏せてるんですよ。

 今期新入したてのピカピカの一年生。一年生と言っても歳は16になるんだけどね。

 精霊と契約している者だけが入学できる学園で教育期間は3年。

 精霊と契約していれば何歳からでも入学できる。

 だからクラス内の年齢はバラバラだ。下は9歳から上は21歳まで歳問わず混在している。

 俺はクラスの皆を一瞥してから先生の方に目線を向ける。


「そうだな。ファルニクスの現在のマナ量について答えて貰おう」


 メロイック先生は黒板に書かれている“マナ”という文字を白い指し棒で叩く。


「えっと、8年前は完全にマナは消失して0%だったけど現在は8年前の10……20%?まで回復しました」


 俺はうろ覚えな答えを返す。


「なんで君は疑問形で答えているんだ?昨日も授業で教えただろう!外ばっか見てないで授業に集中するように!!」


 俺は先生の叱咤を受け椅子に座りなおす。


「スェルの答えは間違いだ。いいか?現在ファルニクスのマナ量は全盛期の15%しか無い。15%ぐらいマナ量が回復したところで生き残った精霊たちの生命維持は難しい。もし君たちの契約している精霊を契約破棄して世界に送り出してもマナ摂取が足りず、スグに死亡……アストラス界に戻されてしまうだろう」


 精霊はマナを摂取出来なかった場合、こちらの世界ファルニクスで顕現し続ける事が出来ず単一精神世界アストラス界に戻ると言われている。

 一回アストラス界に戻ってしまうと長い年月を掛けないと自我を形成出来ず、こちらに顕現に至るまで数百年単位の時間が掛かるらしい。


「今ようやく15%までマナ量は回復したが、回復の最大の理由は大精霊様達(・・・・・)が姿を消した事によるものだ。姿を消された理由は判明していないが一番有力と言われているのは『少しずつ回復してきているマナを大精霊様達が顕現していると他の精霊たちが生命維持の為に必要量のマナを摂取出来ないから、自ら姿を消した』と言う説だな」


 大精霊……四大元素を司る精霊達の頂点。

 火の大精霊イフリタ、地の大精霊ノウム、水の大精霊ウンディ、風の大精霊シルフィ。

 5年前ファルニクスの大地から突然姿を消したとされる大精霊。


「ふ~ん……、中々的を得ているじゃない人間ども」


 幼い少女の声と共に俺の太腿の上に腰掛ける様に10歳くらいの燃えるような赤髪をしたゴスロリ衣装の可愛らしい女の子が姿を現した。


「おい……勝手に現れるな。今は授業中だ、さっさと戻れプラーミャ」


 俺は太腿に腰掛けている少女、プラーミャに声を掛けるが俺の話を無視して黒板の方に目線を向けている。


「私はスェルの契約精霊なの。授業ばっか受けないで、もっと私()に構ってよ……」


 そんな無茶な事言われても授業は大事だよ?授業受けないとメロイック先生に怒られる。


「先生!!授業中にも拘らずスェル君が契約精霊とイチャコラしてます!!」


 隣の席の男子が挙手をしながらメロイック先生に俺とプラーミャの事を報告している。

 俺はすかさず隣の席の男子を睨みつけるが時すでに遅し……、鬼の形相で俺を睨みつけるメロイック先生が視界の端に映る。


「報告ありがとうグラッジ。そしてスェルは契約精霊共々廊下に立ってなさい」


 俺は学園に入学した際に友達になった悪友のグラッジに恨みの目線を向け、太腿に座っているプラーミャを一旦降ろしてプラーミャの手を引きながら廊下に向かう。

 向かう際にクラスの女子から


「ロリコン」


「幼女趣味なんて最低」


 など罵詈雑言が投げかけられる……。

 辞めて欲しいものだ、俺はロリコンじゃない!たまたま契約した精霊が幼女の姿なだけだ。

 廊下に出る際にグラッジを一瞥すると悪い笑顔を浮かべ俺を見ていた……。

 ハハッ、後で半殺し確定だ!俺は自分の身体から漏れ出す魔力を抑える事が出来ずに垂れ流し状態のままグラッジに殺意を込めた笑顔を送る。

 グラッジは今更ながら自分が危険な状況下にある事に気付いた様で、顔の前で両手を合わせ拝むように懇願の眼差しを向けてきた。

 学園に入学する際、魔力量を測定した結果によると()の俺は学園トップの魔力量を誇っているそうだ。

 そんな俺が自分の精霊に沢山の魔力を魔力変換してマナを精製して、精製したマナを譲渡すればするほど精霊は生命維持以外にマナを使用する事が出来る。

 つまり8年前からマナ消失の弊害により衰退の一途を辿る精霊の協力の下でしか顕現出来ない“魔術”を苦労なく使用する事が可能なのだ!グラッジの泣き叫ぶ顔が見物だな。

 それに魔力量や魔術の事は周りに知られても問題は無い。

 大事なのは魔力をマナに変換時の効率だ。

 魔力が有ってもマナ変換時にロスが生じてマナ量は減ってしまう。

 この効率が精霊士としての優劣を決める、俺は周りの誰にも言ってないが俺のマナ変換率は100%なのだ。

 そう、一切のロスなく魔力をマナに変換出来る。

 学園トップの魔力にマナ変換率100%の変換効率……今の俺なら大精霊とは言わないが今契約している精霊達以外に中位の精霊ぐらいなら1~2体も囲い込むことも可能なのだ!!

 まぁ疲れるから囲まないけどね。


「ねぇ、この学園に本当に居る(・・)と思う?」


 プラーミャは廊下で俺の手を握ったまま問い掛けてくる。


「ああ、かならず居るはずだ。俺達の故郷を滅茶苦茶にした奴が!」


 俺は自分でも分かるくらいに顔を歪めプラーミャの手を強く握り返した。

 今回の主人公には色々秘密がありそうですねー(棒

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