タマタマキックは致命的
「うおおおおおお!! あっ、あっ、あーん!!」
きょ、局部に、使う当てもない局部に何かが衝撃したッ!!
今すぐ何が起きたか確認したいが、意識はあるものの極度の空腹で瞼を開く体力は残っていないッ!!
「なんでこんな所に産業廃棄物が捨ててあるのよ。せっかくの初日の出が台無しじゃない。うっわ、しかもヒゲ伸びてるしいつもより汚い」
「お姉ちゃん、言い過ぎだよ。きっと何かあったんだよ。お兄ちゃん、大丈夫? 起きられる?」
なるほど、状況は理解した。耳を澄ませば、キモい汚いキショいなど、周囲のざわめきが聞こえてくる。
どうやら日の出間近で渚に人間どもが集まり、僕は打ち上げられた何かとして悪しき意味での注目を浴びているのだ。
僕のすぐそばに立っていると思われるのは雪姫たんとアリス。せっかく雪姫たんが心配してくれているのだから瞼をパッチリ開いて大丈夫アピールしたいところだが、残念ながら空元気さえもできぬ容態だ。
そうか。僕にも心配してくれる人がいるのか。なら、生きてみれば良かったかもな。死んで後悔とは正にこのこと。
だがそんな人に看取られて締めくくる人生、結果的には満更でもなかったな。
なんだかんだ他人に危害を加えず、環境に優しく食料問題にも取り組んできた僕を、神は見放さなかったということか。
だがアリス、キサマは許さん。タマタマキックさえなければ、僕は命を落とさなかった。弱ったからだにこの激痛は致命傷。痛みを訴え叫んだ僕は、とうとう深い眠りへ墜ちた。
お読みいただき誠にありがとうございます!
次回、最終回です! お楽しみに!




