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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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94P

「いや、意味分かんねえ……」


 そういった野原先輩の言葉にその場にいた奴、そして聞き耳を立ててた人達全員が共感した事だろう。もしかしたら山田先輩は平賀式部のお兄ちゃんと思ってるかなり危ないやつ……なのかもしれないと野々野足軽は思った。


「ええー何それ〜どういう事なの?」


「実の兄妹ってわけじゃないでしょ? そもそも苗字違うし。てかあんたに妹がいるなんて聞いた事ないわ」


 山田先輩の周囲にいる派手な女子がそんな事を言ってる。彼女たちはきっと平賀式部のライバルなんだろう。いや平賀式部は彼女たちのことなんてライバル視なんてしてないと思う。そもそも存在も認識なんてしてない。けど彼女たちはきっと平賀式部をライバルと思ってる。


 だからこそ、なんか必死というか……相手が敵なのかどうなのか見極めようとしてるかのような瞳の奥に獣のような獰猛さが野々野足軽には見えていた。


「あははは、まあそうだよな。簡単にいうと、幼馴染……みたいな?」


「え? まじかそれ?」


「こんなことで嘘ついてどうなるんだよ」


 なるほど幼馴染み……幼馴染み……と小さな声量でその言葉を野々野足軽は噛み締めてるようだった。


「なんだそんなことか……」


 逆にそんな風に呟いたのは桶狭間忠国だ。彼は別に気にしてない風だ。


「な、なんとも思わないのか? だって幼馴染みって……かなり大きくないか? 特に平賀さんはそんなに知り合いなんていない。友達だって……そんな中、幼馴染みってかなり重要性高いぞ」


 野々野足軽はそんな風に桶狭間忠国に訴えた。というか……ここで一番気になってることは実はそんなことではない。本当のところは……


(なんで平賀さんは俺に幼馴染みのことを伝えなかったんだ?)


 −−ってことである。だって伝える機会はあった。朝のやりとりの時、友達は野々野足軽だけと彼女は言ってた。けど幼馴染みは居たってことおおおおお!? って感じである。


「確かにそうかもしれない。だが、今のあいつの言葉だけでそれを信じるなんて出来ない。確証なんてない。それに幼馴染みが全員特別な関係……なんて訳はないですし。普通にただ近所だった間柄でも一応は幼なじみでしょう?」


「そうだけど……」


 明らかに山田先輩の言葉的には親しい間柄だったと感じる様に話してる。それこそ昔、結婚の約束をした−−みたいな定番くらいやってそうである。


「幼馴染ね……でもお前、全然学校では喋んないじゃん」


「それはほら、彼女の意思っていうか。そういうの知られたくない年頃なんだよ」


 なんかそんな風に野原先輩と山田先輩が言ってる間にとりあえず野々野足軽はスマホで平賀式部に確認することにした。


『例の犯人が幼馴染とか言ってますが本当でしょうか?』


 的なとても畏まった文になった。これはもちろん野々野足軽の緊張もあるが、相手が平賀式部だからこそ、丁寧にしなきゃ……という意識が働いたせいでもある。そしてそんな文章に対して秒で返信が返ってきた。


『無理』


 −−と。日本語の難しさを野々野足軽は感じてた。

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