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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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葬夏を掬うpart6

 とりあえずこのままコンテナに入れておくことはできないだろうってことで、野々野足軽は子供たちを解放することにした。けどそこで大切なのは自分の正体を明かすかどうか? でも野々野足軽の中では決まってた。

 正体は明かさない……明かすつもりはないのだ。だからとりあえずコンテナの中の子供たちには眠ってもらうことにする。野々野足軽は視界に入ってなくても見ることができる。透視をしてコンテナの中の状況を確認する。

 何が起こってるかわからないから、みんな不安がってる。


「おや?」


 なんか精神を不安定にしてるのか、一人の女の子から力が漏れてる。


「ああぁぁぁぁああああ! ごめんなさい、ごめんなさい」


 そんなことをいって自身の体を抱えて小さくなるその子の影がひろがっていく。すると……それはその場にいた子供たち全員を飲み込んで消えてしまった。


「おいおい……」


 放置してたのがまずかったか……と反省する野々野足軽である。とりあえずあの場所から連れ去るのを優先させたんだけど……やっぱりちゃんと計画は必要だったな、と思う。その先……を考えてなかったから空中で悩むことになって、何が起きてるのかわかってなかった中の子供たちは不安定になってしまった。実際あの子じゃなくても、ほかの子の力が暴走する可能性は高かった。


 そこに気が回らなかったのは野々野足軽の落ち度といえる。だってこれまでそういう子たちに対処してきたんだから、精神の安定が力に影響を与えるなんて超能力者の第一人者として、野々野足軽はわかってるべきだった。

 せめて、コンテナの中の子供たちに「もう大丈夫」とか「傷つけるつもりはないから」――とかいう声をかけるだけでも、中の子供たちの精神は違った可能性は高い。もちろん、すぐに野々野足軽の言葉を信頼することはできないだろう。

 でも……何も言われないよりは、一言でも声をかけてもらってたら、心にかかるストレスはきっと違ってたはずだ。それなら、力の暴発もこのタイミングではなかったかもしれない。もう少し引き延ばせてたかも。


「いや、後悔は後だ。まずは追いかける」


 そう意識を切り替えた野々野足軽はとても頑丈な荷物を船で運ぶための大きなコンテナの扉を力を使って無理矢理こじ開けた。


 メリメリバキャ――とかいう音と共に切り離される扉。コンテナの中に外の明るさか入り込む。でも、透視してた通りに、もうこのコンテナの中には誰の姿もない。

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