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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第六十五話Part7

 晴天という蒼が広がってる。さっきまで陽の光もとどかなくて、木々は元気をなくして、雑草さえもしなってたのに、今や降り注いだ光を必死に浴びるように地上の命が天を見てる。

 そしてそれは言葉を発せない植物や生命だけじゃない。神主のような服を来た奴とその周囲にいる顔に布をかけた集団。そいつらもただ天を仰ぎ見てた。そして涙を流してる。


「ああ、主よ。やはり貴方は来てくれた。間違いなどなかった。世界に闇が広がる時、門の向こうから天を晴らす者があらわれるだろう――そのとおりです。空に浮く門。そしてそこから現れる者……いや主よ。我らは貴方の慈悲を受け取ります」


 そういって神主の人が膝をついて空の消えゆく大きな門にむかって土下座をする。それに他の者達も続いた。そしてしばらくそうし続ける。再び顔を上げたとき、天の門は消えていた。そしてそこには彼らと、そして、中途半端に人間に戻ってる領主がいた。


「許さん! 許さんぞ! 儂の! 儂の野望を邪魔しおって!!」


 まだまだ大きいが、領主はどうやら立ち上がれないようだ。体をうまく動かせてない。口はよく回るようだが、体はそれについていってない。そこにぞろぞろと神主のような男たちがやってくる。


「貴様ら、私に力を! 早く供物を差し出せええ!」


 そんな滅茶苦茶なことを叫んでる。そこに一人の小さな男の子が前にだされた。

それを見て領主はヨダレを垂らす。


「そうだ。早くこっちにこい! 食ってやる。それで力を取り戻すのだ!」


 今の領主に人を食うことができるのかはわからない。でも領主はもうまともじゃない。ある程度人に戻ったとはいえ、人に戻り切ることはできないようだ。領主はおかしくなってる。


 そんな領主に子供を近寄らせる奴ら。それを領主はニタニタと見てる。領主はその子を贄だと思ってる。疑うそぶりもない。でももう口が届きそうなくらいの距離。領主がその大きな口を開けて首を伸ばす。それに対してその子がやった。


 服の中に隠し仕込んでた脇差し。それにを使って領主の口へと刺し貫いんたんだ。


「あぎゃあああああああああああああああああああああ!?」


 領主の断末魔の叫びが響く。そして更に取り囲んでた布をかぶった物足が刀を静かに抜いた。そして……


「やめろ! 貴様ら儂が誰だがわかってるのかあああああ――あっが」


 彼らはただただ刀を一つずつ領主の体に差し込んでいった。それは彼の息の根が完全に止まるまで、終わることはなかった。


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