第六十五話Part1
ギギ……ギギ
暗い府屋に響く、木が擦りあってるような音。揺らめく炎の明かりが隙間から細く伸びて、音が続くと次第にその光が広くなっていく。
「あ……う……」
「それと、それ……あとはそれだな」
髷の様な変な帽子をかぶってる神主のような服を着た男。それが何やら白い服を着た黒子のような人たちに指示をだす。その指示にしたがって顔の前に布をかけてる奴らがこの部屋にいたボロボロでガリガリの子供や女性を無造作に連れていく。そして再び、彼らは素早くその場を後にして、残された者たちは暗闇に覆い隠された。
そこにいる皆が呪ってる。誰かこんな場所を壊してくれって。
連れ出された者たちは清められて、そして今までに見たこともないような量の食事を前にしてた。豪勢……とは違うが、とにかく量がある。どんぐりのような木のみ。白くない米。草の茎を湯がいたもの……あとはそこらの水。それらが沢山ある。他にもつけ物とか……でもそれでも今までろくに食事を与えられてこなかった彼らにとってはまちがいなくごく馳走だ。
許しが出てとにかく食べた。食べて食べて食べまくって腹いっぱいになった。でも……許されなかった。初めて彼らは腹がはち切れんほどにものを食べた。いや、最後は押しこまれたといっていい。実際無理矢理口に突っ込まれてた者もいた。
まるで妊婦のようになってしまった腹。吐き出さないように口を詰め物と縄をされた。誰も動けない。裸にむかれて、何やら儀式が始まった。赤い染料で肌になにかを書かれてる。
するとひりひりとしてくるじゃないか。でも身じろぎすると、思いっきり蹴られた。体にあざができる。でも耐えるしかない。そして全身に何かをかいた後、背中に焼き鏝をおしつけられる。
どうやら焼き鏝の印の場所が背中にちゃんと空いてるようだ。最後の仕上げとして、そこに焼き印をいれている。
「んんんんんんんんん!!」
ある者は耐えがたい声をだし、ある物は、気絶する。ある物は床に暖かい液体をつき散らした。死んだ奴もいるかもしれない。そうやって腹がポッコリ出てて、変な文字が描かれた者たちは、どこかへと移動させられる。もちろん服なんてない。
窓もない箱に押し込まれて、馬に引かれてどこかに連れていかれる。それが碌な場所じゃないのは誰もがわかってた。




