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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第六十四話Part2

 猩々の腹に押しつぶされたと思われる幾代。そしてその巨体が地面に落ちた衝撃波。大きな振動と、大きな砂埃が吹き荒れる。


「ギャオギャオギャオ!」


 そんな咆哮を上げてる猩々。まるでゴリラが吠えてるみたいなウホウホの凄い版? みたいな感じの声だった。どうやら「やってやった」……そんな気持ちがあふれてるのかなんか嬉しそうに見えるのが小頭はきにいらない。だから強い視線を向けてた。

 射殺せそうな視線。でも視線で相手を殺す事は出来ない。そんな力が目覚めたら別だろうが、小頭は今現在も力に目覚めてない。だから猩々はそんなの全く気にしてないだろう。いや、小頭の視線なんて気づいてもないだろう。

 でもそれでも悔しいからみる。すると気づいた。砂煙のせいで見えづらいが、何か……今何か光ったように見えたんだ。


「あなた……」

「うん」


 何やらお母さんとお父さんが意見を合わせてる。そんな二人の小頭は指を刺して声をあげる。


「あれ! みて!」

「何が?」

「いいから、あれ! あそこおばあちゃんが直前までいた場所だよ!」


 距離感的にそんな感じだと小頭は思ってる。お父さんとお母さんは一刻も早くここを離れた方がいいとか思ってそうだが、小頭は執拗に「ほら、あれ!」といってジタバタしてる。

 それにお爺ちゃんも……


「お、おおおおお!」


 とか声にならない言葉を上げてる。そうなると気になってきたお父さんもおかあさんも小頭がさし示してる所へ視線を向けた。


 それは今やはっきりとわかる。もっとあいまいなのかと思ったお父さんとお母さんだけど、そこは確かに光ってた。それにその正体もわかった。

 ならそこにいる筈の幾代なのか? いいや、それは違う。


「二人とも! ……ありがとう」


 そんな風に小頭はつぶやく。その声は幾代のサイドにいる鬼二人には聞こえないだろう。けど、小頭はいいたかったんだ。彼らが間に合ったから、おばあちゃんはまだ生きてくれてる。

 鬼二人はおばあちゃんがつぶされないように、直前で同じ場所までいって僅かな空間を作り出してようだ。

 いくら猩々がデカいといっても、あいつの肉体はただの壁じゃない。肉体……がどうなってるのかまではわからないが、肉体とはぼこぼこしてるものだ。それに弾力性だってあるだろう。

 そして鬼二人の力なら、あの巨体にだってまけない。それになんか鬼たちはその体を発光させている。

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