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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第六十一話Part3

 外に必死に訴えかける野々野小頭。けどどうやら彼等にはそんな心配は必要なさそうだった。鬼男が派手にぶっ壊した土手。その土埃からでてきた気持ち悪い見た目の妖怪……いや妖怪はそっちがきっと正しいんだろう。

 そんな奴らを焦ることなく鬼男は処理していく。その姿に危なげなんてない。でもそれはブラフじゃないだろうか? だってあの仏像のような妖怪はその攻撃を当てることで、対象を意のままに操る力を有してるようだと小頭は思ってる。

 そうなるとこのいきなり現れた妖怪たちに対応させてる間に……という感じのなのかと小頭は思った。流石に鬼女は自分の身体の異変には気づいてるだろうから、そこら辺わかるだろうけど、いま来た鬼男や幾世はきっとわかってないだろう。


「なんで……こんな……なにがあったのですか?」


 そんなふうに幾世は混乱してる。まあボロボロの鬼女に小頭たちがまとわりついてる状況である。何があったのか気になるのは仕方ないだろう。でもそんな幾世は狙いやすいだろう。


 もちろん小頭にはその兆候とかがわかるわけじゃない。だって小頭は本当に何もないから。ただの一般人……それが野々野小頭だ。


パキンパキン!


 そんな甲高い音が聞こえる。いつの間にか鬼男が幾世の背後で拳を握ってた。そしてその拳が幾世の髪をなびかせた。


「え?」

「気にするな、お前の力で皆を助けてやれ」


 イケメンか! 鬼男は多くを言うことはない。けど、必要な言葉は紡ぐんだよね。


「あんたは大丈夫なのよね?」

「私をあんた達人間と一緒にしないでよ」

「それにしてはボロボロだけど?」

「守ってあげたからよ」

「そう……よね。ありがとう。家族を守ってくれて」


 小頭たちよりもよっぽどボロボロになってるであろう鬼女。鬼女は人間を馬鹿にしてるような感じに言ってるけど、そうじゃない。彼女は強いものとしての責任を請け負ってた。軽そうな言動してるけど、その身を以てちゃんと守ってくれてた。

 それがわかったから、幾世も素直にお礼を言えた。


「そんなのいいから。さっさとこいつらどうにかして。傷を介して操ってくるみたい」

「なるほど……なんとかしてみます」


 小頭達を救おうとしてる幾世に対して、実は攻撃が集中してたり……してたりするのかもしれないが、鬼男がそこら辺はうまくやってくれてる。だから幾世はその力を高めて小頭達を助けることに集中できる。

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