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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第六十話part4

 なんとか鬼女はあの仏像のような妖怪の策略を力でどうにかしてる。小頭達がその体にとりついて、さらにはその小頭たちに向かって妖怪は攻撃を仕掛けてきてる。見えない攻撃だ。それだけにやっかい。いくら見えなくてもその攻撃が脅威じゃないのか? というと、そんなことは全然なく、普通に小頭達にとっては致命傷になりえる攻撃だ。

 もちろんだけど、小頭達を操ってるのはあの仏像のような妖怪のはずだ。そしてそれによって鬼女の行動を制限してる訳で、ここでもしも小頭達を殺してしまったら、鬼女が自由になってしまう。そうなったらあの仏像のような妖怪もあっという間に倒れされるだろう。


 それを避けるためにも小頭達に致命傷はつけるつもりはないだろう。でもだからって傷がついたら痛いわけで……意識と肉体が今は小頭は切り離されてる。小頭以外もそうなのか? というのは正直確かめようもない。

 でも同じ状態になってるのをみるにきっとお父さんやお母さん、お爺ちゃんだって同じだと小頭は思ってる。だから痛みは今は気にならないかもしれない。でも、人間は致命傷を受けなくても、死ぬことはある。

 それは出血多量とかである。攻撃を受け続けると、それが起こる可能性はあるし、意識が戻った時に募ってた痛みが一斉に小頭たちに襲い掛かる可能性だってある。そうなったらショック死……とかだって起きるかもしれない。小頭とかお母さんたちはまだ耐えられるかもしれないが、すでに老年に足を突っこんでるおじいちゃんは危ないかもしれない。


 まあそこまで鬼女は考えてないだろうが、煩わしいはずなのにその攻撃からうまく小頭たちを守ってた。でもそのおかげでろくに反撃できないし、逆に鬼女の体には傷が増えていく。普通ならどんどんと苦しくなってくるはずだ。

 なにせ追い詰められてるんだから当然だろう。鬼女は少しずつ仏像のような妖怪との距離を縮めてる。歩くペースで確実に……けど向こうも安全策を取ってる。ある程度近づかれたら距離をとってる。

 でも鬼女は小頭たちがその体に張り付いてるから激しく動くこともできない。それでも一歩ずつ、再び歩き出すんだ。


「意外……」


 暗い空間で小頭はそんな風につぶやいた。だって ここまで鬼女が我慢強いとは思ってなかった。もっと短気な女だと思ってた。でも、まるで獲物を追い込む側のように、鬼女にはまだ余裕がみえる。どういうことなのか? そんなことを思ってると、次に移動しようとした仏像のような妖怪が背後を阻まれたことで判明した。


 奴の背後は丘の壁。どうやら鬼女の奴は奴を自由にさせてるように思わせつつ、実はその移動先を誘導してた……みたいだ。それがどうやって? なのかは小頭にはわかない。でも、この状況になったのは確か。これなら歩きながらも仏像のような妖怪に逃げ場はない。

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