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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十九話Part4

「い、いやあああああああああああああああああああああああ!!」


 そんな風に小頭は暗い場所で声を荒げた。それでも小頭の体が鬼女の体から離れることはない。だから更に沢山の太い針のようなものが鬼女の体をいくつもいくもささる。

 その度に――ザシュ――ザシュ――って音が聞こえてた。小さな穴から遠ざかって外の様子は見えないはずなのに、その音が鬼女がどんな状況なのか、小頭に伝えてきてた。

 自分たちのせいで鬼女がヤバい状況に陥ってる。それは確実だ。だからこそ、再びその状況を見るなんてできない小頭だ。その場で震えるしか……するとその時だ。


「はっ、この程度?」


 いやいやいや、である。今どういう状況なのか、しっかりとは把握してない小頭。けど、今の鬼女の傷は決して「この程度」で済ましていい傷ではなないだろう。


 グイッと小頭は手や腕を使って、涙を拭った。泣いてる場合じゃないと思ったからだ。しっかりと見てないと……そうでないともしも体を取り戻せたときに、その時にまた混乱することになってしまう。

 そしてまた足手まといになってたら? そんなのは自分が許せないとおもった。小頭は自分が足手まといなんてわかってる。だって小頭はついてなんて行けないからだ。小頭の周りはなぜか「超能力」に目覚めた人たちが多い。

 けど小頭はそんなことはない。だから自分ではどうしようもないことがいっぱいあって、自分がいたって……ということだってある。けど求めてくれるから……必要としてくれるのなら、せめて足手まといにはならないようにしようって思ってるんだ。


「こんなの……滅茶苦茶だよ……」


 狭い穴から覗くと、そこには鬼女が自身に刺さった棘というか棒というか? そんなのを引き抜くのが見えた。体を貫通してるそれを……鬼女は自分自身で抜いてる。


「ぬああああああああああああああああああ!!」


 ズボッと音がしそうなほどだった。緑色の血が沢山ついてる。けど……それでも鬼女は笑ってる。こんなのはなんでもない……というように。それから次々と体に刺さった棒をぬいて、脚や腕を貫通してるのも抜いていく。

 

「ほら、軽くなった」


 いや、まだ小頭たちは組み付いてるんだけど……それに別に傷が塞がったわけじゃない。ダメージが回復したわけじゃない。でも、鬼女は何も怯んでない。それに対して相対してるはずの仏像のような妖怪はどんな反応をしてるのか? 

 確かめたいが、今の小頭には自分の身体を動かす権利がない。だから体が見てる部分しか見えないわけで、組み付いてるから今の小頭には鬼女しか視界に入らないのだった。

 その顔にも鬼女の血とか降り掛かってた。絶対に無事じゃないのに、鬼女のその目がやけに輝いてるのはわかる。


『ちょっと楽しくなってきた』


 ――くらいにはしか思ってさそうで、小頭もようやく今の状況を冷静に見つめないとと思えた。


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