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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十八話Part3

「探すって、あんたの力ってそんな感じじゃない――でしょ!」


 ズバーン!! と鬼女が拳を振るってそろりそろりと近寄ってた鬼の小さい版みたいな奴が消し飛んだ。残ったのは下半身と腹の一部だけ。思わず幾代は顔をそらした。ドチャっと後方に倒れるそれ。とことこと近づいた鬼女はそれの足をとって取りあえず門の方に投げた。 

 死体だとしても、この世界のじゃない存在の痕跡は残したくない……ということなのかもしれない。もしも誰かが回収とかしたら、そこそこ大事にはなるだろう。だってあれは本物……だ。実は世界中にある聖杯とか、聖遺物とか、そんな贋作まみれの代物じゃない。

 本当に生きて動いてたやつである。生々しさが違うだろう。だから死体だとしても鬼女は門の向こうに送ったのかもしれない。


「まあ、やるのならさっさとしなさい。じゃないと――」


 その時だった。


「きゃあああああ! お父さん!!」


 そんな小頭の声が夜空に響いた。その方向を三人は一斉にみる。そして真っ先に向かおうとしたのは鬼男だった。既に地面を蹴って空中に体が飛び出てた。けど、それを鬼女は驚異的な反射速度で妨害した。


 それは鬼男を地面にたたきつける形になって、その勢いを利用して逆に鬼女が前方に飛びでてた。鬼男の勢いを鬼女が奪った形だった。


「きさま」


 明らかに鬼男は怒ってる。当然だろう。だっていきなり妨害されたあげくダメージまで与えられたんだ。地面にズドーン! ってね。流石に鬼男の形に地面が陥没してる……なんて事はない。でも絶対に痛かったはずだ。文句の一つも言いたくなるのは当然だろう。

 でもそんな鬼男を鬼女は別に気にしてないようだ。


「ごめんごめん。でもいいでしょ? 私が行っても」


 まあ実際、鬼女が行こうと鬼男が行こうとどっちでもいい、というのは確かだろう。二人とも強いから、そこらの妖怪になんか負けやしない。でもなんでわざわざ? とは幾代は思った。幾代だって家族が心配だ。

 でも鬼女は一人で行く気みたい。そして幾代の気持ちだってわかってるのかこういってきた。


「こっちは一人で十分。あんたはさっさと見つけなさい」


 ってね。それぞれが役割をこなすことで目的を確実に果たせる。そういうものだ。だから幾代は家族の事は鬼女に任せることにした。そのくらいの信頼はちゃんとあった。


「私に敵を近づけないでください」


 それに鬼男は頷いてくれる。


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