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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十七話Part3

「どうしたのおばあちゃん?」


 野々野小頭はおばあちゃんのつぶやきを拾ってた。だからその疑問を口に出す。するとおばあちゃんは少し考えをまとめるように沈黙を数秒貫く。


「おい! どうなんじゃ?」


 おじいちゃんがそんな風におばあちゃんをせかす。けど、それはよくないことだ。いつもは二人のやり取りに割り込む……なんてことはしない野々野小頭だ。だっておじいちゃんはどっちかというと小頭は苦手というか? いや、かわいがってくれてるのはわかる。

 おじいちゃんに怒鳴られたことなんて小頭にはない。甘々だろう。けど、おじいちゃんはおばあちゃんには亭主関白よろしくな態度をとってるのだ。

 自分には優しいが、おばあちゃんには厳しい。お父さんにもそうだ。それが亭主関白ってやつなんだとはわかってる。

 昔はどこもそうだったらしいし、おじいちゃんたちの時代はそれが普通だった。そういう時代だったんだ。だから別におじいちゃんの態度は何もおかしなことはない。別におばあちゃんも辛そうにしてる……とかはない。寧ろおばあちゃんは軽く受け流してる。

 でも大きな声を出されると怖いと思うのは女の子として普通ではないだろうか? 思わず体がビクッとなってしまうのは仕方ない。だって大人の男の人ってだけで小頭のような女の子にとっては大きくて強い人……なんだ。

 だからこれまでは何かおじいちゃんに対していう……なんてできなかった。ただ与えられるだけだった。でも……小頭は今やおじいちゃんよりも大きくて強い奴をしってるのだ。


「やめておじいちゃん。おばあちゃんは考えてくれてるんだよ。邪魔しないで。お願い」

「小頭……」


 かわいいかわいい孫にそんな風に言われてはおじいちゃんはおばあちゃんの肩を揺さぶって返事をさせる……なんてできない。おじいちゃんにとっては小頭の為だった。だってかわいい孫の質問に答えるのはじいじとばあばの義務くらいには思ってるからだ。

 でもその孫にやめて……と言われたら「ぬおおおお!?」――である。心の中では慟哭を上げてる。


 そんな風なやり取りをしてると、おばあちゃんが静かに口を開く。


「おかしいと思わない小頭?」

「おかしい?」

「そう、これはおかしいわ」

「なんの話じゃ?」


 おばあちゃんの言葉に対して小頭もおじいちゃんたちもわかってない。でも前提の知識が小頭とおじいちゃんたちでは違う。

 それはおばあちゃんもわかってる。だからまずはこれまでの事を簡単に説明してくれる。


「私たちはこの町にあふれた妖怪たちをあの門に戻すために力の強い妖怪たちを封印することで利用したの。力の強い妖怪たちに命令を出させてこれだけの数の妖怪を縛って門の向こうへと返そうとしてる。

 それはこの通りおおむねうまくいってるわ」

「なるほどの……ならばどうしてそれに抗ってる奴らがおる? 漏れてる奴らは何なのじゃ?」


 おじいちゃんの疑問はもっともだ。でも小頭はたまたまそういう個体がいてもおかしくない……と思ってた。なにせめっちゃ多いのだ。すべてにいきわたらなくてもおかしくはないように思えた。

 でも……


「そうですね。私も最初はただたまたま漏れたのがいるのだ思ってました。なにせ多いですし。けど……こんなに次々と現れるのはおかしくないですか? これは漏れてる……というよりも……」


 嫌な予感が小頭にも走った。だからそのあとの言葉は小頭が紡いだ。


「まさか、解除されてるの?」

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