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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十七話Part2

「あははははは! あはははそんなもんなの!! もっと気合入れなさいよ!!」


 とてもうれしそうな声を上げて笑ってるのは鬼女だ。彼女は楽しそうに洗脳から逃れてる妖怪たちの相手をしてた。そして対照的に鬼男はとても黙々と自身の仕事をこなしてるって感じだ。

 鬼女は明らかに戦闘を楽しんでる。遊んでるといってもいい。だって明らかに鬼男はうまく門に送ってるからだ。それなのに……鬼女が目を付けた妖怪は投げられても門でも扉にたたきつけられるし、地面にめり込ませられてるしで、対応の差がえぐいことになってる。

 一撃と共に向こう側……元の世界に送られてる妖怪がいるのに対して、相手が違うと何回も何回も痛い目を見ることになる。

 それがなんとも理不尽な事か……と野々野小頭は思う。


「あの人たち、強いのね」


 それはお母さんの言葉だった。眼下に広がる妖怪たちの列。そこで暴れまわる鬼二人。戦いに反応してる妖怪は列の中にはいない。洗脳状態だから自身の意識が希薄になってるんだろう。


 だから二人とも遠慮はない。でも小頭は結構ハラハラしてる。


「ああ、もう! 遊んでる場合じゃないでしょ!」


 そんな文句の声が出てしまう。だって鬼男はともかく、鬼女は門の向こうに投げれるのに、わざとそれをしてないのは明らかだ。敵を痛めつけるのを楽しんでるように見える。


「ほらほらーもっと頑張ってえ」


 そんな風に楽しんでる鬼女に向かって、別の妖怪が攻撃をしかける。それは猫耳があって、しっぽがあって、極端に吊り上がった目を持ってる。猫女? とか言われる妖怪なのかも。尻尾は二つあった。

 でも……


「ふん、遅いわよ」


 それはない。鬼女は遅いとか言ったが、小頭にはそんな風には見えなかった。だって猫女は猫らしいアグレッシブな動きをやってた。そのスピードはかなりのもので、遠目だからなんとか見える……くらいだ。それにあそこは門の光があるから視界を確保できてる。門自体が光ってるんじゃなく、門の中……異界へと通じてる謎の空間が謎の光を放ってるのだ。

 それが光源になってる。月明かりがあるにはある。けど、雲で隠れることもある。それに対して、異界が放つ光は門が閉じない限りなくなることはないだろう。

 そんな不思議な光があるから、通常の人である小頭たちでも、視界を確保できてる。それでもなんとか見える……程度。だから猫女が遅いなんてない。

 でもきっと鬼女的にはあの程度は遅いんだろう。実際猫女の鋭い爪と、鬼女の拳がぶつかったとき、鬼女の拳は刃物よりも鋭そうな猫女の爪を砕き、そしてそのまま腕まで砕いてた。

 そしてそのまま吹き飛んでいく猫女。そのまま追い込みをかけようとした鬼女。けど、そこにさらに別の妖怪が現れる。


「また……」


 おばあちゃんがその光景をみて、ポツリ――とそういった。

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