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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十五話Part5

「小頭……よかった」


 野々野小頭はお母さんにギューとしてもらう。中学生もあと一年もなく、高校生も見えてきてる今日この頃。親に甘える……というのは極端に恥ずかしくなってしまった野々野小頭だが、けど今だけは……今くらいはいいって野々野小頭は思った。お母さんにぎゅーとされると小頭は安心するようだ。そしてふと、お母さんは鬼男を見る。


「え?」


 あんぐり……である。多分お母さんも同じなんだ。おじいちゃんと同じ、そしてお父さんももう、鬼男を野々野足軽とは認識してない。


「だ、誰ですか!?」


 まさにビックリ! という風にそんな風に叫んだお母さん。けど鬼男は何かを言うことはない。寡黙な奴だけど、ちょっと何か言うことがあるのでは? と小頭はぎゅーとされながら思う。けどこういうやつ……というのは小頭はわかってる。だから自分がフォローをしてあげないといけない。それが今の自分の役割なんだとおもってちょんちょんとお母さんをする。


「小頭?」

「大丈夫だよお母さん。彼は不愛想だしでっかいし、角とかあって人間じゃないけど――」

「角!? ほんと!! 人間じゃない!? なにそれ!?」


 あっ、と小頭は思った。ちょっと余計なことを言ったかもしれない。お母さんはオーバーなリアクションで小頭が言ったことに反応した。どうやら鬼男の大きさのせいで角とかは目に入ってなかったらしい。でもパッとみで流石に人間としたら大きすぎと思わないだろうか? 鬼男は190くらいあるんだ。めっちゃデカい。ふつうの人間……とはとても思えないはずだ。

 けど小頭のお母さんは細かなことを気にしない性格だったんだった。


「だだだだだ、大丈夫だよ。お父さんがいるんだ!」


 とても声が震えてるが、お父さんが大切な家族を守ろうとしてる。それはとてもうれしいことだし、お父さんのことを見直したって感じも小頭はある。けど……下手に対立してはいけない。だってお父さんなんて鬼男に取ったら枯れかけてる枝葉みたいなものだ。もしもお父さんが鬼男に一発入れたとしてもダメージは1……いや下手したら0だろう。

 けど鬼男がお父さんにパンチしたらきっと一発KOだ。間違いない。だから下手に対立したらいけない。


「――二人とも落ち着いて。その人は悪い人じゃないから」

「でも、人でもないんでしょう? 角あるし」

「それに、僕たちはこの人を足軽だと……そうだ足軽は!?」


 今更だけどお父さんがそれに気づいたらしい。そのおかしさがようやく表面化してきたから、大切な息子の事にまで至ったんだろう。もう隠しとおすことは不可能だ。なのでおばあちゃんと視線を交わした小頭は、おじいちゃんも加えてこれまでの事、きちんと説明することにした。ちなみに既にあの白い霧はなくなって、いつもの食卓が戻ってきてる。


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