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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十四話Part6

「本当に……信じていいの?」


 スマホを見せて、誠意を見せた野々野国人。その中にはそのまま彼女とのやり取りが残ってた。消す……なんてことはしなかった。むしろ見せることで、なんのやましさもないって証明することが出来ると思ったからだ。

 消したら、黒を確定することはできないだろう。だから誰でもそれを安易にやりたがる。けど同時に白を証明することもできなくなる。むしろ消したら疑念を持たれることになる。消したということは、そこにやましいことがあったと言ってるようなものだ。

 だからあえて国人はそのままを見せた。ただの友達としてのやり取りしか国人は彼女とはやってない……それをちゃんと証明するために、そのままにしてた。まあ懸念があるとしたら、婚約者の「友達」としての定義のあり方になる。

 だってそこらの友達と恋人の境目はきっと人によって違うだろう。どのくらいの距離感を友達と呼んで、どれだけなら恋人になるのか……それは人によってまちまちだ。だからこそもしかたら肉体関係一つなくても「許せない!!」――となる可能性だってある。それはしかたない。

 だって捉え方は国人にはどうにもできないからだ。その時は精一杯説明するしかないと思った。でも今……ありのままの野々野国人の誠意を受けて、婚約者は迷ってる。そして迷ってるということは許される可能性があるってことだ。


 次の一手はとても重要だ。どうするのが正解なのか、野々野国人は必死にかんがえる。これまでにないくらいに頭を使う。幾通りもの選択肢を頭で巡らせる。さらに土下座して謝るか? 言葉を尽くす? 誓約書を書く? それとも……それとも……


「私には未来が見えないよ」


 そんな声に心臓がきゅっとなる。それはきっと自分の責任だと国人は思う。婚約者は裏切られたと思ったことで「先」が見えなくなってしまった。マリッジブルーとも重なったのかもしれない。それによって国人と結婚しても幸せを想像することができなかった。

 そしてそれは今も続いてる。だから……信じたいけど、不安でたまらない……そういう状態何だと思う。実際先のことなんて国人だってわからない。絶対に幸せにしてやるなんて……現実主義者の野々野国人にはなかなか言えない。

 それだけの根拠が今はないから……二人でなら楽しく過ごせると国人は確かに思ってる。でもそれを一生となるとどうなんだろう? 見えないことが不安なのは誰でも一緒だ。

 それは婚約者も……そして国人も……結婚は人生を背負うことだ。お互いに……婚約者に「俺を信じろ!」といいたい。でもそれを言い切るだけの自信が野々野国人には……その時だった。


 ガツン!


 そんな衝撃が頭におきた。何が起きたのか国人はわからない。だって周囲を観たって誰もいない。いるはずがない。なのに確かに衝撃があって……そして親父の言葉が野々野国人には聞こえてた。


『男をみせんかい!! このバカモンが!!』


 父親の強引で昔気質なところはそんなに好きじゃなかった。けど……確かに父親はちゃんと家族を守ってた。大人になってその責任と強さがわかった。だから……だからその言葉は……

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