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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十四話Part1

「だ、大丈夫そうですね。お大事に」


 これ以上関わってはだめだ――という警報が野々野国人の頭には鳴り響いてる。ようやく距離を取ったのだ。なのにまた関わる? そんなことをするべきじゃないって野々野国人だってわかってる。

 だからすぐに回れ右をした。でも……その体が後方に引っ張られる。どうやらスーツの裾を掴まれてるらしい。


「ちょっと話しましょうよ」

「いや、その必要は……」

「私達は大人でしょう。ケジメくらいとってもいいんじゃない?」


 子どもみたいに何もいわずに自然消滅を願う……というのは彼女はいやらしい。だからこそ、話してケジメを付けたいといってる。けど彼女は口がうまい。それに対して野々野国人はそんなに口がうまくない。

 国人は営業をやってるが、つくづくこの仕事は自分に向いてないって思ってるくらいだ。だから会話は危険だと国人は思ってた。だって言いくるめられそうだからだ。そして「これくらいならいいのか?」となって「いいんだ」と思わされて、ズルズルと関わっていってしまいそうだった。

 それがそう想像できてしまう。だから国人は彼女……とはこれ以上対話をしたくない。でも……大人として考えたとき、それでいいのか? とも思ってしまう。大人ならたしかにケジメ……は大切だろう。


「ねえ、お願い」


 そう彼女は真摯にいってくる。そのときホームに電車が入ってくる。彼女のまとまってる髪の毛先が揺れる。目を伏せてる彼女の長いまつ毛も揺れてて、それはきっと風のせいで、自分の性じゃないと……国人はわかってる。

 けど……


「電車で移動する間だけなら……」


 ――と言ってしまった。すると彼女は顔を上げて「ええ」といった。プシューと扉が開く。中から数人がでてこようとしてたから、彼女は半分脱げてたヒールを急いで履き直して国人と共に、横にどける。

 その時ピッタシと国人の後ろについた彼女。そしてなぜか未だに服を掴んだままだ。もう逃げる気はない。それにやけに近い。だからちょっとドキドキしてた。電車の中に入って、空いてる席の中、二人は席に座る。本当なら1席分くらい開けたい野々野国人だったが、彼女はそんなことをせずに野々野国人の隣に……それこそ肩が触れそうな距離に座った。

 野々野国人の右側は端っこでその先に席はない。だから国人は逃げ場はなかった。


(し、しまった……)


 そんなことを思ってしまう野々野国人であった。


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