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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第五十二話part4

「君は別に僕に恋してるわけじゃない。そうだろう? そんな奴と結婚しようとしてるのか?」


 代わりに婚約する……ということはそういうことになる。野々野国人はまったくもってそんな気はないが。恋してもない……愛してもない相手と結婚する気が彼女にあるのか? と思う。そんなのはおかしいだろう。だから、そのおかしさに気づかせようと思った。


「気付いてないの? 私はそれなりに君のこと気に入ってるよ。嫌いな相手と式場になんていかないわ」

「でもそれはまだ気に入ってるだけじゃん。恋とかじゃない。そうだろ?」

「……そうね」


 認めたよ。彼女は野々野国人には恋してない。愛してない。婚約なんてのは恋して……愛してるから結婚に向けて歩くことだ。なのに、彼女はそうじゃない。そこには……


「焦ってるのか?」


 この際だからぶっちゃけてそれを言ってみた野々野国人である。いつもの国人ならそんなデリカシーのないことは言わないだろう。なにせ国人はやさしいからだ。でも今はあえてそれを口にした。だって彼女がとち狂ったことを言ってるから……ちょっと距離を置きたいと国人は思ってる。


「焦る? 別にそれだけじゃないわ。本当に……君ならいいって思ったの」


 最後の部分はなんかささやくような……そんな声音だった。彼女なりの色っぽい私……なのかもしれない。男を落とす定番テクなのかもしれない。本当に耳元でそれをやられたら野々野国人としてはやばかったかもしれない。だって女性と接近したことなんて本命の彼女以外、それこそ数えるくらいしかない。

遠足で並んで歩いてるときとか、集会でがやがやしてるときとかだ。そんな程度でしか女性とのふれあいを知らない国人なら危なかった。これが電話越しではなかったら、恋に落ちてたかもしれない。

 もう自分がもらってあげないと! ――と思ってしまったかも。でも電話越しだったからまだ我慢できた。正気を保てた。


「そんなの……適当に言ってるだけだろ」


 なんとか動揺も悟られないようにと、国人はいつもの声音でそう返した――つもりだ。けど国人はしらない。彼女のほうが何枚も上手だということを。電話の向こうでニヤニヤとしてるということを。だから彼女はさらに攻める。


「私と一緒の時……楽しくなかった? 私は……楽しかったよ」


 そういわれたら自然と国人の頭にはここ最近の彼女との式場巡りの記憶あふれだす。式場を二人で巡って話して、食事をしてた。その時の野々野国人は党思ってたのか。どう感じてたのか……それは……


「こっちも、楽しかった」


 自然とそんな言葉が野々野国人の口から出てた。


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