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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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???話PartD19

 界門の向こうへと消えた岩の蛇。世界の空を覆いつくしてて、この世界をまさに掌握せんとしてたあの存在は恐怖心をこの世界の誰しもに蒔き散らかしたと思ったら、再び界門の中へと消えていった。けどまだその影響は残ってる。界門からは大きくなったり小さくなったりのまるで脈動を繰り返してるように見える。そして界門が動くたびに、そこから途方もない力と共に、何やら物騒な音が聞こえてた。

 いったい何が起きてるのか……それを知ることは世界にとどまってる側では知ることはできない。けど……


「足軽……」

「あんさん……」

「兄さま……」


 そんな風に界門の近くで野々野足軽と共に戦ってた彼女たちはつぶやく。何が起きたのか、彼女たちだって理解してない。でも……感じてた。そして彼女たちは信じてた。野々野足軽を。普段はちょっと頼りなさそうに見える少年。けど、その行いも、信念も一緒に彼女たちは感じてきたんだ。

 彼女たちは思ってる。いうなれば野々野足軽は甘ちゃんだと。やけに情けないし、あんまりきつい事はやりたくなさそうに反対するし、面倒な事は極力避けようとする。でもあの男は甘くてちょろかった。なにせなんだかんだ一番面倒な事を野々野足軽はやってきたのだ。軍属でもないのに、世界の難題だった界門を閉じる作業に同行してくれた。もちろんそれは彼の目的と合致してたから……というのもあるだろう。

 けど、それだけじゃないとわかってる。結局甘ちゃんの野々野足軽は困ってる人を放っておける奴じゃないのだ。とことんお人好しなのだ。そして野々野足軽は誰かを信じる事を先にやるんだろう。誰かからの信頼よりも、自分から信じていくやつだ。それが危うくもあるが、けどだからこそ、あれだけの力を持ってて、野々野足軽は善なんだろうと彼女たちは思ってる。


 そんな野々野足軽だからこそ信じれる。やられたなんて微塵も彼女たちは思ってない。その時、界門から岩の蛇が現れた。思わず反射的に戦闘態勢に移ろうとする彼女たちだが、その体は言う事をきかない。乗ってきた式神たちから飛び出すような事は出来なかった。

 けどどうやらその必要はなかったらしい。界門から再び出てきた岩の蛇の頭はかなりボロボロで、さらには大きく一回ほえた。それはまるで拒絶? 嘆き? 彼女たちにはまるでそれが「いやだいやだ!」――と言ってるように感じれた。そして直後、岩の蛇の頭は再びズルルルルル――と界門へと戻っていく。

 いや、岩の蛇の頭は抵抗してる。でもまるで綱引きで引かれてるのか様に、岩の蛇の首は伸びて……伸びて、伸びて……ちぎれそうなほどに伸びつつも、その頑丈さ故、どんどんと界門へと引き戻されていってる。

 そしてついには全てが界門へと消えるとき、再び岩の蛇の頭は叫んだ。それはまるで……


「たすけて」とか「ごんめなさーい」とかだったのかもしれない。


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