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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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???話PartD8

 足軽はなくなった左手薬指を見つめてる。そして動かす。なくなってるのに動かす? と思うかもしれない。けど、まだ野々野足軽には薬指の感覚がある。

 握ってみても……別に違和感はない。そこに物体として指がなくなっただけで、まだあるような感覚がある。これはただの幻覚なのか? と野々野足軽は思う。実際今まで欠損なんてしたことないから、こういうものなのかどうか判断がつかない。

 けどこのままでいいわけはないだろう。


「幻覚を感じなくなったら、脳がなくなったって認識したってことだからな」


 このままではダメだけど、ある感覚があるから危機感が起きにくい。


「これは……」


 なくなった人差し指。そこに集中してると気づいた。この指はここにある力によって奪われた。そのせいなのか、このなくなった指を意識すると、不思議とこの場の力の別の姿が見えてくる。

 相容れない筈だった力。強大で強力なだけだった力。全く新しい……沢山の力が集まってできた別種の力のせいで、何のとっかかりもなかった訳だけど……この左手薬指には僅かな繋がり……とでもいうのか、あの力がみえた。

 奪われたから、野々野足軽の体の中で、そこだけが……左手薬指だけが、ここの力に触れたからその影響を受けたんだろう。でもそれは弱い。まだ……まだ弱い。


「これは覚悟を決めないとな」


 薬指だけじゃ弱い。だからもっとささげないといけない。いうなれば供物とでもいうのか……自分自身を供物とすることで、野々野足軽はここの力と繋がろうとしてる。


 次は左手をささげた。でもまだ……だから左腕……けどまだ……ならば次は? 右手? いや、野々野足軽は手がなくなるのは困ると思った。だから足にした左足だ。けど足りない。だから脚もささげた。痛みはないから、ここまできたら馴れて来たまである。この後を考えたら悲惨かもしれない。けど……それは今は意図的に考えないようにしてた。

 でもまだ……あと少しのような気がする。体は難しい。半分にしたら、内臓がどうなるかわからない……ならばこれ以上もう……とか思った野々野足軽。

 けどまだ……求めてる。そしてあと少しで繋がれる気がしてる。そこで思った。


「脳は左脳と右脳があるよな……」


 とね。もしかしたら死ぬ可能性がある。でもここまできてある意味確信してることがある。確かに野々野足軽はこれまで左腕に左脚をささげた。けど……やっぱりある。そうあるのだ。

 確かに物体としてはなくなってる。けど……力として、そこには変わらず腕も脚もある。それは幻覚じゃない。確かなことだ。

 だから……


「受け取れ」


 自身の頭の半分、顔の半分を野々野足軽はささげた。

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