表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
742/871

???話partD2

「あ……あしがるうううううううううううううううううううう!!」

「お前様ああああああああああああああ!!」


 彼女たちには突き刺さった攻撃が野々野足軽の体を引き裂いたように見えたんだろう。だからそんな風に叫んだ。どんどんこの界門の領域が強くなっていき、それに伴ってこの化け物は強くなっていってる。そして逆に彼女たちは力を使いにくくなってる。足軽はこの世界の住人ではない。だから影響は彼女たちよりも低いだろう。

 けど、それでも……だ。それでも足軽自身が感じてた。自分の力と目の前の敵。その差が確実に開いていってるのを。


「よくも……よくも足軽をおおおおおおおおおお!!」

「ダメ! 一人でなんて無茶よ!!」


 一番ちっさい子が飛び出した。その子は目の前の現実を受け入れる事が出来なくなって、なくなった筈の力をどこかから絞り出して突貫していく。でも……一撃だった。その一撃で、彼女は吹き飛ばされて意識を手放した。なんとかその子を残りの二人がキャッチしたが……もう立ち向かう気力もない。


 どうやら矮小な彼女たちにはこの幾本もの首を持つ蛇は興味ないようだ。もう何もできないだろうと思ってるんだろう。だからこそ、その首は外を求めた。界門が脈動を打つ。それはこれまで聞いたこともないような現象。そしてどんどんと界門事態が大きくなっていく。領域が広がってこの世界に赤紫の空が広がる。そしてその界門から次々と岩の蛇の首が出てきて、世界の空を……覆いつくした。

 それはまさに絶望の光景。この世界の人たちは思っただろう。


『終わりだ』


 ――と。でも世界を覆いつくした蛇の頭は空から世界を見渡し、そしてその口で全てを飲み込もうとした時だ。ひときわ強い――


ドクン!! 


 ――という脈動が界門から響き、世界に風となってそれが広がった。それは今までのまとわりつくような気持ち悪い風じゃなかった。

 寧ろ、その風は涼やかだった。その次の瞬間だ。岩の蛇の鱗とも言えるその岩がまるで地面にたたきつけられた縄のように大きくしなったところからはがれだした。そして蛇たちの雄たけびが響く。


「何が……起こってるの?」

「これ以上進化でもしようというのかえ?」


 恐れ……それがまだあった。けど……蛇の様子がおかしいことに気づく。岩を剥がされた蛇は一つ……また一つ……と界門に逆に吸い込まれていく。そしてその蛇は間違いなく恐怖を叫んでた。


「これは!!」


 二人は顔を見合わせた。そしてその顔は喜色に染まってる。脈動が界門から伝わる度にしなってその岩を剥がされた蛇は界門の中へときえていく。いつしか脈動が起こる前にと、蛇たちは界門へと突っ込んでいってた。すると膨らんでた界門がさらに膨らんで、その内部でドガン! やらバガン!! やらの音が聞こえる。そして界門事態が限界まで膨らんで地表にまで届きそうな時だった。


 一気に界門が縮む。まるで豆粒のように縮んだ開門。その中からいきなり一匹の蛇の頭が出てきた。そしてその蛇は大きな悲鳴を上げて再び小さな界門へと吸い込まれていく。するとその場にはいつもの空と、異界の影響がなくなった世界だけが残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ