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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十七話Part9

(あと一人……)


 一人は扉が開いた瞬間に押し倒すことに成功した。背中を強打して、そのダメージはいまだ抜けきってない。そしてもう一人は手近にあった枝葉で目を狙う事でダメージをあたえた。それは良い判断だったと少年は思ってる。

 だって自分の細腕では大人に大したダメージ与えることはできないと思ったからだ。いくら運動に自信があったとしても、大人と子供の違いは大きい。これがもし高校生、せめて中学生ならまだ正面からだって立ち向かう算段は出来たかもしれない。

 けど少年は小学生だった。しかもまだ小学生も半分くらいである。全然たりない。大人を負かせる……とは思えなかった。


 ここまではとてもうまくいった。でもあと一人はどうするか? 暗闇のなか、提灯を持ってたその大人はまだこの闇になれてない。それならば……


「おい! 大丈夫か? くっそ、どこに……ひょ!?」


 変な声を出す大人。何やらガサッ――とした音があらぬ方向から聞こえた気がした。目を細めて音がした方向を見る。


「そこ……か。あんまり大人をなめるなよガキ」


 そういってその人はじりじりとその場所に近づいてく。その人からは暗闇の中、なんとなく人影があるように見えてた。木の裏にかくれてるつもりなのかもしれないが、尻が見えてるんだよ! という気持ちである。けど……


「あれ?」


 そこには誰もいやしなかった。暗闇しかなかった。完全にただの見間違いだっだ。暗いから、ぼんやりと見えた草木をただ見間違えただけだった。


「おい! あそこっ――だ!」


 片目をつむって、涙目の大人がそういう。でも一番無事な大人にはその「あそこ」――がわからない。見えない。ただ音は確かに聞こえた。二人分の足音、それがこの場からとおざかってるように聞こえてた。


「くそ! あのガキ……」


 明かりも何も持たずにこれ以上進むのは危険だと大人としての判断をした彼等はいったん他の村人たちと合流することにした。。暗闇で、それに次々に同じ村の仲間がやられたことで動揺してしまったが、落ち着いて残りの二人もある程度復活すると冷静になれた。


 そうなんだ。何も焦る必要なんてない。幾代はあの少年と山にいる事は確実だ。奴らが民家に逃げ込めないようにして、山の中で追い詰める。そうすればいずれは捕まえる事ができる。そう彼らは考えてた。


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