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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十七話Part3

 どうしたらいいのか……どうしたらこの少女のためなのか……それを少年は考える。でも一回の小学生男子である少年には良い解決策なんてのが簡単に思い浮かぶわけもない。

 そもそも少年は自分がそんなに頭いいとも思ってないし、何なら考えるのは苦手な方だとわかってる。


「じゃあ、こいつを返すのか? それはない! 駄目じゃ」


 自分に問いかけると、すぐにその答えはでた。せっかく連れ出したの、助け出したのに再びあそこに戻す? それはない……そう思った。やっぱり親に相談するのが一番だとは思う。

 でも……もしも相談したうえで、親が彼女をあの村に返すことだって考えられた。そもそもが保護者はあの村の連中だ。正当な方法で奴らが訴えたら親のほうが不利になるんではなかろうか? 

 そうなると匿って……なんて言えない。


「どうしたらいいんじゃ?」


 少年は冒険活劇が好きだった。自分で身体を動かすのが一番の少年だけど、テレビでやってるアクション系の映画とか、冒険をするアニメとか、ヒーロー系の特撮とか……そんなのは大好きで食いついてみてた。

 勿論だけど、道端に落ちてる伝説の剣を拾うのだって日常だ。そんなテレビの向こうのヒーローたちは格好良く誰かを助けてた。巻き込まれた人々……敵に捕まった人とか、町中を壊す怪獣たち……そんなのをただ倒して……それを「格好いい!」――と少年は思ってた。


 自分もヒーローになれる……そう思ってたのかもしれない。けど……現実はただ助けたらいいってことにはならないと、今少年は痛感してる。だってこの先の展望が……ビジョンがない。


「こ、こうなったらいっそ村に戻って火でもつけるか?」


 なんか過激な事を少年は言い出した。でもそれは少年が考えた真面目な手段だ。


「あの村があるから連れ戻されるのなら、あの村がなくなったらいいはずじゃ」


 そんなちゃんとした理由なのだ。「よし」……何かを決意したのか、少年は再び幾代を背負った。そして山を進む。月明かりだけが頼りの森の中を進んで、山の中の古びた建物にたどり着く。

 そこは物置小屋とでもいうか、そんなところだ。人が周囲にいないことを確認した少年はその中に静かに幾代を横たえる。そして一度家に戻ろうと思った。そこで火を付ける道具をもってまた村に……と思ったんだ。本気で彼は村をなくす気になってた。


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