第四十七話part1
「や、やったぞ!」
少年はそんなふうに息を上げながらも興奮してた。なんとか忍び込んだ村の中。そこから城の屋内へと進み、猫たちの誘導に従って少年は地下の鍾乳洞へと入った。実際村人が十全にいれば少年はここまで来ることは出来なかっただろう。
なにせ鍾乳洞の道はそこまで広くなく、もしも追いかけられたらどこかで行き止まりに行き着いてしまうだろう事は明白だった。少年は全く持ってこの、鍾乳洞の構造をしらないのだ。だから危なかった。
花月様が猫たちを捕まえるために村の大人集を外へとやってたから、監視が最低限になってたのだ。まさか助けを得てもう一度村に戻ってくる……なんて思ってる奴はいなかったんだろう。
なのでこの鍾乳洞を進み、牢の境も超えて最奥へとたどり着いた。そこに近づくにつれて、どんどんと甘い匂いが強くなっていってた。
「なんだこれ?」
臭い……そう少年は思った。だから口に自分の服を引っ張って口に当てて息をするようにしてた。それがどれだけ意味があるのかなんて少年はわからない。でもそうしないといけないと思った。
口と鼻を服で覆った少年は猫をみる。この猫たちは大丈夫なのか? と思ったのだ。でもどうやら猫は気にしてないらしい。不思議な猫だ……とおもった。だって少年が知ってる「猫」という動物はもっと繊細……いや傲慢? 気難しい生き物……という印象だった。でも……なんかこの猫たちはどうやら育代をとても気にしてるらしいとわかる。
犬はとても飼い主を大事にすると知ってる。それは彼の家も犬を飼ってるからだ。放し飼いだからどこかに勝手にいくこともあるが、小さいときはいつだって少年の傍にいて守ってくれていた。
そんな義理堅さがあるのが犬だろう。猫はもっと気まま? な奴らだとおもってた。けど……この二匹の猫は少年のこれまでの猫の認識を根底から変えてる。なにせとても義理堅いからだ。
危険を冒しても、危険だとわかっててももう一度戻ることを選択して二匹は育代を助けようとしてる。こんなに頑張ってだ。
「なんだ唄?」
へんな音と歌声が聞こえてくる。でも少年の視界の先はもやもやとしたピンクの煙で埋め尽くされてた。でも猫たちは躊躇なくそこに入っていく。だから少年もついていった。そして中に入ると少しずつ中の光景が見えて来た。
内側に入ると、なぜか外側から見るよりも中が見えた。そして既に猫たちが走ってるのを確認した。そしてその先に……寝かされた育代を彼はみた。そして次の瞬間、猫たちが壇上にとびかかるじゃないか。
なんというスピード感。でもおかげでなんか向こうは混乱してる。何も打ち合わせなんてなかった。けど……少年は思った。
(今しかない!)
――と、そして上手く少年は育代を確保する事が出来た。猫の事は気になったが、猫たちはこういってるような気がした。
『早くいくニャー!』
――てね。




