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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十六話Part5

 ミイラの双眸に光が灯り、動き出す。でもどうやら下半身はもろくなってたらしい。いや、坐禅を組んでたせいで複雑化してて、それを解くという行動が無理だったのかもしれない。

 だからミイラは自身の下半身を諦めたのかもしれない。それよりも美味しそうな獲物に我慢できなかったのか。下半身がバキッといって上半身と離れる。そしてそのまま作られた壇上に倒れ込む。服をズルズルと引きながら、幾代が寝させられてる場所を目指すミイラ。

 そしてその腕が木組みを掴み、上半を上を向ける。次の瞬間、幾代の寝てる場所にそのミイラの皮と骨だけの腕が現れる。


 ガシッ――


 縁を掴み、更に頭が現れる。虚の中の光が幾代を捉える。それはきっと思っただろう。


【うまそうだ】


 ――と。迷いはなかった。それは贄で間違えない。だからミイラは大きく口を開く。


「カーカシャシャシャシャ」


 そんな音なのか、声なのか……それが漏れる。そしてそのままその口を幾代に勢いよくぶつけようとしたその瞬間――


「みゃあああああああ!!」

「ニャアアアアアア!!」


 二匹の猫がミイラに飛び込んだ。二匹のタックルよってミイラは幾代が眠ってる場所から押し倒される。元々がミイラだ。どうやって動いたのかなんてわからない。筋力だってないだろう。


「この!! 儀式の邪魔をするなああああああ!!」


 花月様の叫び。でも猫たちも負けてはなかった。


フシュウウウウウウウウ!!


 と二匹は毛を逆立てて威嚇してる。それにちょっとビビる花月様。だから彼女は後ろの奴らに命令をした。


「猫を捕らえなさい!!」


 その言葉にその場にいた子どもたちが叫びながら猫に駆け寄る。楽器を演奏とかしてる白装束の老人たちは動かない。儀式を中断させたくないのかもしれない。


「こうなったら私が……」


 そういって花月様はうるさくなってしまった周囲から目を離して幾代へと視線を向けた。けど……その時だ。


「は?」


 花月様の間抜けな声がその場に漏れた。なぜなら、寝てたはずの幾代がその場から消えていたからだ。そんな事ありえないと思って花月様は目を擦る。けどそこにはやっぱり幾代はいなくて、動いてたはずのミイラもいつもの場所に鎮座してた。

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