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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十五話part6

 洗脳は解けてたと思ってた。けど違う。一時的なものじゃない。ずっと……そうこの村の子供たちはずっと洗脳されてた。いやそれは、子供たちだけじゃないのかもしれない。

 大人たちの妙な連携。それに村の外に対する態度……村の結束感とかなんかも……異常……なのかもしれない。そんな風に育代は思いだした。


「ここにいたら……私も……お姉ちゃんみたいに……」


 ぶるっと体が震える。すると白猫と黒猫の二匹が力が抜けて座り込んでしまってた育代の手をペロペロとしてくれます。ちょっとざらっとした猫の舌。でも心配してくれてるんだって育代にはわかった。だから二匹を優しく撫でた。


「ありがとう」


 そういった時だ。


「育代ぉぉぉぉぉ!!」


 ビクッと体がはねた。泉の反対側。育代たちがやってきた方向から目を血走った花月様が見え……見え? 育代は疑問に思う。なぜか……それは花月様が何だか普段よりもとても……そう女性にこういっては失礼かもしれないが、とても老けてるようにみえたんだ。


「花月……様?」


 あれは本当に花月様なのか? と疑問が混じった声。でも格好は育代が見た花月様の格好そのものだ。でも今の花月様は目が血走ってる……だけじゃない。その顔にはしわが刻まれて、見える部分の肉体もなんか……皮と骨だけの様な……そう――チラッと泉に鎮座してるミイラを育代は見た。


(一緒みたい……)


 そう、今の花月様はまるでこの泉に鎮座してるミイラのようだったのだ。今までの花月様はまるで年齢不詳の美女だった。少なくとも育代にはそう見えてた。大人な綺麗なお姉さん……みたいな? そんな感じだった。なのに……今の花月様はそんな名残は一つもない。今は本当にただの皮と骨のおばさん……お婆さん? になってる。


「えっと……玉手箱でも開けました?」


 不思議過ぎて育代はそんなことを思わず聞いてしまってた。すると老いた花月様はその体のどこにそんなパワーがあったのか? と思うように――


「きぇえええええええええ!!」


 ――と叫んで走り出した。とっても走りづらい筈の和装なのに、そのフォームはとても綺麗だった。腕と脚をしっかりと振って背筋を伸ばして迫ってくる。それは……


「ひっ!?」


 ――とても怖かった。猫たちと一緒に育代は再び逃げた。でもその時だ。


「あぁ!?」


 そんな間抜けな声が聞こえたと思ったら、花月様はドボンと泉におちてた。きっと和服の裾でも走ってる最中に踏んでしまったのだろう。そして……


「あぶっ!? ぐえっ……」


 ガボガボとして顔を出したり沈んだりしてる花月様。これは……溺れてるのでは? それを悟った瞬間、育代は泉に飛び込んでた。


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