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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十三話Part5

 再びなにか怪しげな薬を花月様は幾代に飲ませようとてる。小さな瓶に入ったそれは青いような……紫のような……光の当たり方によって見え方が変わるような液体だ。小さな瓶の半分くらいに入ってるそれ。量は少ないが、それだけで効果覿面ということなのかもしれない。濃縮されてるみたいな?


 でもこの前と同じだ。別に幾代はそれに疑問を持ったり逃げたり、拒否したりもしない。キュポッ――と言う音とともに、蓋を開けた花月様。そしてその瓶を幾代は受け取った。わずかな間、その瓶を見つめる幾代。

 それにはもしかしたら幾代のちょっとした抵抗……があったのかもしれない。でも……「幾代」――といって微笑む花月様。その声に促されて、幾代は瓶を口にもっていく。そして瓶の縁が幾代の唇に触れて、頭を上に傾ける。


 中の液体が幾代の口に流し込まれる。一瞬嫌な顔をするも、幾代は喉を動かしてその液体を飲み込んだ。すると彼女は喉を押さえて――


「かはっかはっ!?」


 ――と喉を掻きむしるようにする幾代。そしてそのまま、幾代は倒れた。それからも儀式は続いていく。



「どうしたんやお前?」


 そんな風に思わず幾代に声を賭けたのはこの前絶縁宣言された男子だった。思わずといった感じで声をかけた。前と同じような朝の時間帯。登校してきた幾代を見て、彼は思わず声をかけた。

 でも当然だけど、幾代は相手にしなかった。少しだけチラリ……と彼を見て……それだけだ。上履きをはいて……いや、まともに履くことも諦めて、かかとの部分を踏んづけて教室を目指して歩きだしてる幾代。でも……彼女はふらふらとしてた。足だって擦るように歩いてる。ほぼ足が上がってない。


(おかしい)


 ――と彼だって……いや誰もが思ってるはずだ。調子が悪いのは明らかだった。さっき思わず彼が声をかけたのだって、その顔がとても具合悪そうだったからだ。土気色……といえばいいのだろうか? そんな顔色を幾代はしてた。

 今まで体調が悪いとか言われても、そんなのの見分けは彼はできてなかった。でも今の幾代を見て土気色の状態がわかったと言っても過言じゃない。それでも、その時は……


「なんじゃあいつ」


 ――とそんな態度取るのならしらん! という気になってた。でも彼はすぐにそれを後悔することになるんだ。

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