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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第二章 きっと世界は変わってない
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第四十三話Part2

「見なさい。しっかりと……」


 そういってその女性はゆっくりと紐の先の緑の石を揺らしだす。けどそんなのを素直に見る必要性を少女は感じない。だからプイッと顔をそらす。けど、そんな少女に対して女性はクスっと口角を上げて笑う。彼女の口の周りには特徴的な模様? が描かれてる。赤い塗料で描いてるのか、円と直線と点を組わせてある。


「幾代、見なさい」


 その声は静かに響く。一回のその言葉で少女……幾代はビクンとなった。けど抵抗してるのか、顔が正面を向いても幾代は目を閉じてた。


「幾代」


 再び女性がその特徴的な模様の口で言葉を紡ぐ。すると幾代の目が開く。それは一体どういう原理なのだろうか? 力……を使ってる? なにかそういう力が女性にはあるのかもしれない。


「またいい子に戻りましょうね」


 揺れる緑の石を幾代は見つめてる。すると次第にその瞳から生気が失われていってるかのようだった。瞼は重たげに下がり気味になって、その半開きの口からは涎がたれてる。


「さあ、もうわかってるでしょう?」


 彼女はそういって幾代を見下してる。そしてそんな言葉に呆けてる感じるの幾代はこういった。


「はい、花月様」


 ――と。


「よろしい。いい子ですね」


 石をしまって、彼女はニコニコとして幾代をほめそやす。でも、幾代は全く反応してない。ただうつろな目で彼女……花月様とかいう女性を見てた。


カンカンカンカンカンカン……


 どこか遠くで聞こえてるその音も、もう幾代には聞こえなくなってる。



「ごめんなさい。もう私に関わらないで」


 それは朝早くの学校だった。田舎の小学校は、朝早くても結構騒がしいらしい。小学生が部活とかあるのかどうかわからないが、既にそこそこの生徒がそこにはいた。下駄箱で出くわした二人は、周囲の注目を浴びつつ、そんな会話をしてる。


「関わらないで? なんじゃそれ?」


 そんなジジ臭い言葉を発してるのは同年代の少年だ。丸坊主の頭に、短パンにTシャツというなんともシンプルな装いである。いや、周囲の男子なんて大体そんなものだった。


「だから、私にもう関わらないで。喋りもしないで」

「ふ、ふん! 最初っからお前なんぞと関わっとらんわ!!」


 幾代の言葉に真っ赤になって、男の子は廊下を急いで走っていく。そんな男の子の後ろ姿を幾代はただじっと見つめてた。

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