第四十二話part1
「えっと、何かわかった?」
とりあえず小頭はカメラの事を伝える前に鬼男にそう聞いた。だってもしも、スマホのカメラと鬼男の角。それが同じものを指してるのだとしたら別にわざわざ伝える必要もないと思ったからだ。実際、こっちの文明の利器がこんな謎の力に対してどれだけ有効的かなんてわからない。
いろんな作品を見てきた小頭だけど、現代の文明が何か異世界? 異界? から来たような存在にあんまり有効に作用してるのってみたことない。日本の作品では特に顕著そうな気がする。やっぱりそれは主人公たちを有用にするためなんだろう。
主人公たちの力だけが有効なら、それだけで特別視出来る。でも案外海の向こう……海外の作品なら、現代の兵器とかがよく効いてたりする印象はある。なんだって銃で解決……みたいな? 小頭はどっちが好きとかは別にない。どっちでも面白ければいい……というタイプだ。面白ければ……でもその事態が自身に降りかかってくるとなると、手元にある文明の利器が有効であることを願わずにはいられない。
スマホで解決出来たら面白くない? そんなのしるか!? ――という気持ちだ。なにせ小頭は当事者なんだ。そんな面白いとか面白くないとか、考えてられないのだ。
「反応はある。だが、あいまいだ。複数にも一つにも感じられる。全てを吹き飛ばせれば関係ないが……」
「なるほど、じゃあこれは役に立つ?」
そういってスマホを見せる小頭。これが何なのかはもう鬼男も知ってる。こっちの通信手段だ。それと暇つぶしの道具でもある。そんな認識だろう。実際何も間違ってなんてない。その通りで、スマホ自体にはなんの攻撃手段もない。
けど今はこのスマホが役に立つかもしれないと、小頭は思ってる。
「みてて」
小頭はスマホの画面を鬼男にも見えるように高く伸ばす。一応二人とも見えるくらいにとどめて、それで手首をひねってスマホを左右にゆっくりと動かす。すると……四角い枠がある方向で出てきた。
「これは?」
「これは簡単に言うと、カメラがそこに何かあるって認識してるってこと」
「なるほど」
簡単にそんな事を言うと、それだけで鬼男は納得したようだ。ただそれだけでよかった。疑う事はしないらしい。わずかに鬼男は角も気にしてたように見えたが、それはほんの一瞬。
「行くぞ」
そういうと彼は薄かった繋がりを再び強固にした。つまりは彼は小頭を抱き寄せた。再びゼロ距離である。
「――――――――――――!?」
声にならない声を上げてる小頭だけど、鬼男はそんなことは気にしてない。スマホが示した場所にすぐにたどり着いた彼はその拳をまっすぐに突き出した。




