表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
56/871

55P

「それで野々野君。娘は学校ではどんな様子なのかしら? この子ったら、そういうことは全く言わないから」


 そんな質問が飛んできた野々野足軽はちょっと驚いた。だってなんか二人は仲良い親子……というふうには見えない。失礼だが。だって今だって食事を一緒にしてはいるが、そこに会話はなかった。もちろんペットのことを話すときには会話はあったがでもそれだって平賀式部の最初の言葉は「報告したいことがあります」とかだった。それに対して平賀式部の母親の言葉も「どうぞ、手短に」とかだった。


 会社かな? とか野々野足軽は思った。いや、野々野足軽は会社員の経験なんてないが……それでも事務的な感じで言い合ってるからそんな感じがしたというだけだ。少なくともなんか親子っぽくはなかった。


 けどこうやって平賀式部のことを聞くということはそれなりに関心はあるんだなってことで安心した。


「ちょっとマ−−お母さん」


 今ママと言いかけた? 野々野足軽はこの親子が不仲……のように見えたのは自分の価値観の押し付けだなって考えを改めた。きっと周囲には冷めた親子関係に見えるかも知れないが、それでこの家はなんの問題もないんだろう。そもそもがこの平賀式部の母親は全力で愛情を表現するタイプには野々野足軽にだって見えない。


「あなたは何も言わないじゃない。問題ない−−としか。それに友達だって連れてきたことがありません。私には親なのですからあなたの学校での様子を知る義務があります」


 言ってることは何も間違ってはない。それに対して、平賀式部は野々野足軽に向かって「わかりました。言ってやって下さい野々野君」とか言ってきた。それに対してちょっと困惑する野々野足軽。


 なんとかそんなに賢くない頭を使って言葉を絞り出す。


「えっと……そうですね。式部さんは学校では一目置かれてますよ。成績も優秀ですし、その……かわいいですから」


 なんか言ってて恥ずかしくなってきた野々野足軽。本人がいる前で可愛いとか……言葉を間違った−−と思ってたりしてる。それに下の名前で呼ぶのもはずかしい。なにせ平賀さんっていうとどっちも平賀だからまずいかなって考えた末の下の名前で呼ぶことだ。


「それで友達は? どうせこの子のことです。一人で読書でもしてるでしょう?」


 間違ってない。さすがは母親だ。確かに一目置かれてることは間違ってないが、そこらの女子高生のように、仲間内でけたたましくおしゃべりしてるってわけじゃない。むしろ誰かが近づいたところを見たことがない。男子はその容姿で引き寄せるが、女子には煙たがれてる。


 いや、それこそクラスの最初期とかなら、女子はむしろ平賀式部を取り込もうとしてた。でも彼女が全く靡かないから、敵と判断したようだ。


「私には彼がいるから」


(ん?)


 野々野足軽はドキンとした。


「なるほど。二人は恋人同士だというわけね」


(んんん !?)


 野々野足軽の心臓が弾けそうなほどに踊ってる。思わず反対しないと−−と立ちあがろうとしたとき、白くて小さくてすべすべの手が野々野足軽の手に重なって出鼻をくじかれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ