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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
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394P

 その日、何人の人がその声を……叫びを聞いてたのか。ある30代、山を登ってた男性はいった。


『あれには驚きました。最初はそれこそ気の所為だと思ったんです。それか熊か……でも明らかに熊とは違うし、なんか空の方から聞こえてました。それにその日は色々と変な音がしてたじゃないですか。それに天気もなんかおかしかった。私は今日は早くに帰ろうと思ったんですよ。

 山登りで大切なのは無理をしないことですからね。それを見誤ったら簡単に命を落とす……それがわかってましたから。なので帰ることにしたんですが、私はその途中で見たんです。空を飛んでる……そう、あれはゲームとかでよく見るドラゴンのようでした』


 10代、教室の片隅で。


『皆がざわざわしてました。変な音がして、そしてしばらくして聞こえてきた変な声。咆哮とかそんなのでした。自分は窓際の席で、その日はずっと外を見てたんです。他の皆も、ずっと外が気になってたと思います。こっそりと授業中でもスマホで情報収集してる奴らもいましたね。その内天気が変になったりもしましたね。空に変な影もあったし……』


 様々な人々。


『自分は竜巻を見ました。とっても大きくて、けど気象庁にはそんな記録はないって言われましたよ。でも動画にも取ってたのでSNSに上げたんですよ』

『私は叫び声を聞きました。この世のものとは思えないような……そんな恐ろしい声でした』

『私は大きな何かが飛んでるのを見ました。それにすっごく風がそのときは激しかったんです!』


 そんな様々な声がその日はネットに溢れてたという。



「大丈夫か!?」

『私はなんとも。そちらの方が大丈夫ですか?』


 野々野足軽を風の女性が心配してる。それもそうだろう。なにせ野々野足軽はかなり力を消耗してる。それを風の女性はわかってる。てかさっきのドラゴンのブレス。それもある程度は風の女性がその風によって野々野足軽をまもってくれていた。


「まだやれるさ」

『それは助かります』

「助かる?」


 ふと疑問を口にする野々野足軽けど、その時、遂に口だけじゃなく、バリバリと空が剥がれるようになって、大きく裂けた空間からドラゴンが出てきた。


「こいつ――」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 そんな咆哮をドラゴンは上げた。ビリビリと体を押し返すようなそんな音圧があった。けどどうやらドラゴンは焦ってるようだと野々野足軽は感じた。


「こいつ……形が……」


 そうドラゴンの体は風の少女が中にいたときのようにはっきりとしてるわけじゃない。むしろ限界が近そうにみえた。結構不安定というか……その力だってかなり落ちてて、今にも綻んでしまいそうな……そんな危うさがある。そしてそんなドラゴンは野々野足軽を見てない。

 じゃあ何をみてるのか……それは風の女性を見てるように野々野足軽は感じた。そして彼女も……眼の前のドラゴンを見て眉毛を下げてる。痛ましそうにみてるようだ。


『ごめんなさい。私のせいです』


 そんな事を風の女性はいった。

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