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ある日、超能力に目覚めた件  作者: 上松
第一章 超能力に目覚めた少年
394/871

392P

(ちょっと誰よ!)


 ポカっとされた風の少女は感動を台無しにされたからか、怒ってる。まあけど野々野足軽的には助かったといえる。なにせさっきのままでは地上がどうなってたのかわからない。風の少女の気持ちに呼応したことで強力な竜巻ができてた。自分たちを囲んでたから、もしかしたら野々野足軽達が動かなかったら、あの竜巻も動かなかったのかもしれないが……全く動かない竜巻って自然現象的にどうなんだろうって野々野足軽は思う。

 もしも誰かがこれを観測してたら……一体何を思うのか。困ることにならないといいなって思ってたから、さっさと消えたのはありがたい。別に何も起こさなくて感謝を述べられるのなら、野々野足軽だって素直に受け入れることが出来るんだ。けど変に自然現象として発生するからどう受け止めればいいのか困るってだけだ。

 でもきっと彼らは風そのものだから、その心が自然に表れやすいとかあるのかもしれない。もちろん普段はもっと気を付けてくれてるんだと思う。だって気持ちに呼応しまくってたら、自然法則的な風の流れなんて生まれなくなりそうだ。そうしたら化学が意味をなさなくなったり……するかもしれない。


(よかった! お帰り!!)


 そんな事をいって、風の子は少女へと抱き着いた。それにはちょっと怒ってた風の少女もその怒りのぶつけ先を見失ってる。それは風の子が本気で喜んでる……それがきっと伝わってるからだろう。


(ごめん……助かったわ)

(僕じゃないよ。彼が助けてくれたんだ!)


 そんな事をいって注目される野々野足軽。そうなるとちょっと気恥ずかしい。なにせなんというか? ちょっと消化不良気味だからだ。予想外に風の少女を開放できたから、これでよかったのか? みたいな気持ちがちょっとある。いや、よかったのは間違いない。風の子と風の少女、その存在を見てるとそれは間違いないと思える。


「えっと、俺はやれることをやっただけだから」

(それでもです。あなたは私の希望になりました!)

(うん! 僕たちの希望だよ!)

「い、いやー……それほどでも……」


 恥ずかしがる野々野足軽。なにせ希望なんて……そんなのは真正面から言われることなんてなかったからだ。どう受け止めればいいのか……野々野足軽が傲慢な奴なら正面から受け止めて「がっはっは」とかできたかもしれない。でも野々野足軽はそんな奴じゃない。

 そもそもそんなに褒められたことなんてない人生をあゆんでたのが野々野足軽である。褒められ馴れてないのだ。


(本当に……)

(本当に……)

((ありがとう))

(ぼく『わたし』をもどしてくれて。これで、元に戻れる)

「え?」


 何を? と思った野々野足軽。すると抱き合ってる二人がなんかとけていくようにみえる。二人の風が混ざり合ってる。なにが起きてるのか野々野足軽はわかってない。風の少女と風の子の姿が消えて、そして強い風が一瞬拭いた。思わず目を閉じるほどの風。

 けどどこか優しい……暖かい……そんな風だった。


『ありがとうございます』


 そんな声が聞こえる。目を開けると、一人の女性が見える。さっきまでの風の子でも、風の少女でもない。もっと大人に見える女性だ。体の全体は自然に溶けてるようにみえる。目を閉じてて、顔は端正なつくり。髪は長く、その人は神聖な雰囲気があった。


「えっと……」


 だれ? と言いたかったが野々野足軽は言葉が出なかった。でもなんとなくわかる。だって彼女は風だ。いや彼女も……か。そして風の子やら少女とかよりもちょっといったような見た目。あれはもしかしたら……


『私は――』


 何か自己紹介? でもしてくれそうな雰囲気だった。けど、それは阻まれた。何故か……それは穴からドラゴンが出てこようとしてたからだ。

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